カウンターアクションにて
閉店前の最終公開日に札幌にいたのは偶然だよ。
うん、さすがにお店の見納めで札幌には飛ばないよ。
行きたいライブがあって行くって決めて、それから公開イベントを知った。
正直あの箱には片手で数えられるほどしか行ってない。
でも最初に札幌に「住んだ」ときに、わりとたくさんの人に会ったのがあの箱だよ。
不思議だねえ。人を繋げるようなオーラがあるんだろうねえ。だから縁だと思って出かけたんだ。
最後の日は誰かいるかもしれないとは思ったよ。
でもわたしはほら、アウェイだから。この店の歴史も知らないし、閉店を悲しんで共感できるような立場じゃないし、ひっそりと訪ねてさっと帰るつもりだった。
隠れるつもりはないけどね。
ステージを眺めて、壁の落書きを眺めて、記念のパスもらって、もういいかなって思ったところであなたに会った。わたしはすれ違うひとの顔、全然見てなかったから、見つからなければそのまま出たかもしれない。
あ、今日来たんだ。
そんな感じ。全然いつもと一緒。
確かにライブハウスってそういうところだ。
そういえば、いつから会ってないんだっけ。
いろいろ立場もあって、自由にお茶も飲めなくなったからさ。
コロナ禍の中で交通事故にも遭っていたよね。
大丈夫大丈夫命に別状ないからって聞いて安心もしたけど、
実は後遺症でギターが持てないって、全然大丈夫じゃないじゃん。
だからトラック作って歌い始めたんだね。
まあこれはこれで良いけど、
あなたのギターはまだ聴きたいからちゃんとリハビリして治してよ。
そういえば帰りがけの階段であなたが言った、「ここはもういい。わたしは新しいお店のこと考える」って、いい餞だなあって思ったよ。
そう、ここは閉店じゃないものね。
グダグダ書いたけどまた来週会うね。
来週って挨拶するの、おかしいな。
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