街場のRe:Relになりたいもんだね:「ヒマラボ×academist "Beyond 1000true Fans Workshop"」
2日間のワークショップをアカデミストさんと開催。
先月に太宰府市と福岡市を跨いで、表題のワークショップをした。
きっかけは、アカデミスト社の柴藤さんの「academist Prize生の合宿を東京から離れた地で行いたい」というご連絡から。
1日目は分散型研究所設立ワークショップ@九州国立博物館(太宰府天満宮解説ツアー付き。馬場さんに深謝)。
2日目は、協賛を頂いた企業の皆さん(乗富鉄工所様、リョーユウ工業様、カマタテクナス様、野島鉄鋼店様、サワライズ社猿渡様)と、オープンイノベーションワークショップ。(BLABOとGROWTH1に深謝)
アラヤ濱田さんと私からも少しお話。
イノベーションは既存の知の新たな組み合わせというけども、研究者とマネジメント、研究者と地域企業、という遠い存在の組み合わせは面白かった。「研究知」で課題解決に迫る、というのは、研究者の専門知や分析スキルなどを切り出して使うのではなくて、ホリスティックに研究者を活かすという感じ。
「研究所を作る」だったけど企業や事業が提案される。北里柴三郎のように、研究を持続させるためにはシーズで食ってく何かをくっつけないと難しいという意識も強いのか。研究者も「稼ぐ」が遠いから、稼ぐことへの提案を素直に聞き入れてしまうのか。
研究者の「実はこれもやってみたい、こうにもできる気がする」をうまく引き出すことが、助け代も引き出すことに繋がることは改めての学び。
私からは、いつも通りシチズンサイエンスの話と太宰府との関わりの話。
ヒマラボができて、研究センターもできて、移住もしてと。
センターを取り巻くお金と組織やコミュニティの関係が現在こういう感じで、それは割と分散型研究所的らしい。
あと、シチズンサイエンス研究センターを作ったときの市民の知的生産マップは割と良かったみたい。何でも作って可視化しておくもんだ。
この黄色でマークされた人たちが地域に満遍なくいて、それらの社会関係をうまく創っていけると探究や学問する文化が生まれるかな、とかね。
知識生産のモード0と3つのAR
あと先日の科学教育学会でも話した知識生産のモード論の話も少し。
ギボンズの知識生産のモード論は有名だけど(モード1がアカデミック、モード2が課題解決)、そこに課題解決でもなくアカデミックでもない知識生産であるモード0を提案してみた表。自由研究的なものや、コミケで発表されそうなものなどなど。それぞれに対応する態度のところは一応「3つのAR」というそれらしいもので整理した。Avocationalは非職業的、とか、趣味的、みたいな意味。
このモード0、モード1、モード2をなだらかに行き来できるか。
鳥類学だと、バードウォッチング的な記録から入った方が(モード0)、その記録を鳥の生態保全に活かしたり(モード2)、日本鳥学会で発表したり(モード1)。そしてまたバードウォッチングに戻ったり。探究や学問する文化作りには、モード1やモード2だけでなく、それを支えるモード0のような実践を大事にして豊かな知識生産のコミュニティを作っていくことが重要だろうなと。上に示したマップの黄色い人たちを自由に行き来できるか、って感じに近いね。
街場のRe:Rel
太宰府で「学問の街を作りたい」という話をすると、私が強力なビジョンを持っているように取られるけど、太宰府に住んでいる人たちも、話を聞くとそれぞれこうしたいという思いがある。それは市民が「テーマ」を持っている状態であり、そのテーマをうんうんとついつい布団の中でも考えてしまう、みたいな人がたくさんいるのが「学問の街」のイメージだ。
うんうんと深めるための行為として研究がある。モード0、モード1、モード2を行き来しながら、テーマをより深める。
深めたいテーマがある人に出会うとサポートしたくなってしまう。
アカデミスト社が最近Re:Relという職種を提案している。
街の人が深めたいテーマを一緒に整理して、連携したら良さそうな人をつないで、お金がいるなら取ってくる(もしくは稼ぐ仕組みを作って用意する)。私が街でやりたいことも、そしてもうやっていること、そしてやってきたことは、こういうことだとは思う。
探究学習も、企業の経営も、街の課題解決も、大人の自由研究も色々。まあみんな、テーマとリサーチ。
街場のRe:Relになるってのがいいんだろうね、と振り返る。
私も学びが多い合宿でした。皆さん、おつかれさまでした。