ヤマメ釣りのポイント
【瀬】
ヤマメは、基本的に川の流れが速く、水深が浅い「瀬」と呼ばれるエリアにいます。瀬は、食料になる水生昆虫や、酸素量が多いエリアです。そのため、ヤマメがよく潜みます。ヤマメは、遊泳力があるので、多少流れが強くても泳ぐことが 出来る魚です。瀬の中心部で、水量が多く、流れが速いエリアを「流心」と言います。特に流心の脇は、捕食場所の一等地です。そこには大型のヤマメが、流下してくる餌を待ち構えています。流下とは、上流から下方へ流れることです。
ヤマメは、川の流れの中に「定位」しています。定位とは、だいたい同じような場所に、自分のポジションを決めることです。ヤマメは、早い流れの脇に生じる緩い流れによく潜みます。そうした場所に潜むのは、餌が流れてきた時、飛び出して捕食するためです。
【カケアガリ】
渓流の地形というものは、一様ではありません。例えば、水底が、深場から浅場へ急傾斜している所を「カケアガリ」と呼びます。カケアガリは、ヤマメの餌となる「小魚」や「水性昆虫」が集まりやすい場所です。小魚は、遊泳力がないので、あまり早い流れにはいません。そのため、流速が緩やかになっているカケアガリに集まってきます。それを狙うのが肉食魚であるヤマメです。
【流れ込み】
上流から下流の淵やトロ場へ、水が勢いよく流れ込んでくる所を「流れ込み」と言います。流れ込みは、餌が溜まりやすく、活性の高い魚が多く集まる場所です。ただし、白泡がたっているあたりは、流れが強すぎるので、ヤマメはあまりいません。流れが強すぎると、ヤマメも体力を消耗してしまうので、少し流れが緩くなった後ろのあたりに、よくポジショニングしています。
また、支流と本流の合流点も、両方から餌が流れてくるので、ヤマメが餌を待っているポイントの一つです。
【落ち込み、滝、堰堤】
渓流には、所々水面が段差になっている「落ち込み」と呼ばれる小さな滝のような部分があります。落ち込みは、餌が集まりやすく、身を隠すこともできるので、ヤマメが棲みつきやすいポイントです。また、夏でも酸素供給量が多いので、活性の高いヤマメがよく潜んでいます。そのヤマメが、棲家とするのが、落ち込みの水流によって、水底がえぐられ、深くなった「カマ」と呼ばれる部分です。落ち込みのヤマメは、以外と手前にいるので、釣りをする時は、手前から順に攻めた方が良いかもしれません。その落ち込みより、段差の高いものが滝です。
渓流には、人工物がいくつもあります。その一つが砂防などの目的で作られた「堰堤」と呼ばれる小規模のダムです。堰堤が、それ以上、魚が上流に進めない高さの時は、その下が遡上してきた魚の溜まり場となります。堰堤は、水流が比較的安定しているので、一年を通して魚がよく潜む場所です。特に寒い時期には、貴重なポイントになります。
【隠れ家、石や岩】
ヤマメも、生きていく上で、餌を食べる必要があります。ただし、その前に自分が、他の生き物の餌になってはいけません。そのため、危険を感じたら、逃げる必要があります。鳥や自分より大きな肉食魚から、身を守るために必要なのが隠れ家です。渓流には、ヤマメの隠れ家がいくつかあります。隠れ家の利用は、なにも逃げるためだけではありません。休憩所としても活用されます。 石や岩は、それ自体が隠れ家です。天敵が来た場合には、そこに緊急避難することも出来ます。
また、石や岩は、流れに変化を起こす障害物です。水面から突き出た岩に、水流がぶつかると、後方に緩い流れが生じます。それが「たるみ」と呼ばれる部分です。たるみでは、流れが複雑に変化し、餌が集まりやすくなります。そのため、石や岩の周りも、重要な餌場です。また、障害物が多くなるほど、ヤマメの警戒心も薄くなります。