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オリンポス12神、アルテミス


【月の女神】 

  アルテミスは、ゼウスとレトの子として生まれました。双子の兄に、太陽神アポロンがいます。兄が太陽を司ったので、妹のアルテミスは、天上で対をなす月を司りました。アルテミスは、有翼のほっそりした月の女神です。月は、銀色で表現されます。そのため、銀色は、アルテミスのシンボルカラーとなりました。金属の銀も、アルテミスに属します。アルテミスは、頭に三日月の冠を被り、銀色の衣服を着て、足には銀のサンダルを履いていました。所持する銀色の弓矢は、月光を表しています。白馬に引かれる銀の戦車で、夜空を駆けました。 

 【処女神】 

  アルテミスは、純潔を尊び、同じ処女神である異母姉妹のアテナを敬愛していました。アルテミスの石は、貞潔の象徴である真珠です。アルテミスは、純潔の誓いを立てていたで、孤高で冷たい心の持ち主でした。恋愛に自由奔放だった愛の女神アフロディーテとは、対立関係にあります。アルテミスの従者カリストは、ゼウスによって、処女を失い妊娠しました。そのため、アルテミスの怒りを買い雌熊に変身させらてしまいます。ゼウスは、カリストを哀れんで大熊座にしました。しかし、アルテミスは、妊娠する全ての女性に厳しかったわけではありません。子供の誕生と成長を保護し、御産の守護神でもありました。 

 【オリオン】

  純潔を誓ったアルテミスでしたが、一人だけ恋人がいました。当時世界一の美男であり、名狩人でもあったポセイドンの息子オリオンです。彼は、女性もハントしたとされます。二人は、よく一緒に狩をしましたが、その姿を快く思わない者がいました。双子の兄であるアポロンです。元々、アルテミスは、アポロンのみを愛していたので、アポロンは嫉妬しました。アポロンは、巨大なサソリを送り、オリオンを追いかけさせ海に誘導します。海に入ったオリオンは、海中から頭だけ出していました。そこで、アポロンは、アルテミスにその頭を弓で狙い撃ち出来るか試させます。アルテミスは、オリオンの頭だと知らずに、撃ち抜いてしまいました。オリオンは死に、ゼウスによって、星座になったのです。 

 【狩猟の女神】 

  アルテミスは、狩猟や野獣と縁が深い女神でした。その異名は、処女の狩人、動物の女主人、獣を屠る御神、牡鹿を射る女神などです。狩の女神として、弓を持つ姿で描かれます。野生の生き物たちの支配者として、森に住んでいました。森に住むのは、群衆を嫌い、都市を憎んでいたからです。 

  アルテミスがよく連れている鹿は、アルテミスの聖獣の一つとされます。その他、アルテミスの聖獣は、月の聖獣である猪です。ある時は、生贄を忘れた王に対して怒り、カリュドンの猪を送りました。この猪は、英雄メレアグロスたちによって退治されます。ヘラクレスの12の難事の一つであるエリュントスの巨大猪もアルテミスが送ったものでした。

 【復讐の女神】 

  アルテミスは、復讐の女神として、槍を持っています。この槍は、復讐の象徴です。ある時 は、母を犯そうとした者を殺しました。母を侮辱した者たちには、銀の弓矢で、疫病を送り全滅させたとされます。また、アルテミスは、秘密を侵そうとするものを罰します。ある時、狩人のアクタイオーンは、川で沐浴するアルテミスを目撃しました。裸体を見られたアルテミスは、怒り、アクタイオーンを鹿に変えてしまします。この鹿は、50頭の猟犬に襲われ、餌食になりました。アルテミスは、自然の神秘を象徴しています。この神話は、自然の秘密を暴こうとした者が破滅したということです。

 【豊穣の女神】

  元々、アルテミスは、古代オリエント由来の豊穣神でした。ギリシャの先住民族が信仰していたとされます。本来は、大地の豊穣を司る大地母神でした。豊穣、多産の象徴である芥子やよもぎが、アルテミスの聖草です。よもぎの英語名はアルテミシアであり、アルテミスの名前が由来だとされます。アルテミスの聖果は、イチジクです。多くの乳房を持つ木とされるイチジクは、豊穣のシンボルでした。アルテミスの聖木は、糸杉だとされます。松が標章であり、魔力を帯びた柳も聖木でした。象徴とされる昆虫は、蜂です。動物では、猫に変身するとされています。

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