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第十二回ヒマラヤなんちゃって句会     「ヒマラヤ地」発表!!


Twitter@himahira19で行っていた句会の結果発表の三日目です。

かわいいおばけのイラストが今回の兼題でしたので、怖い話をひとつ。

ボクが深夜舗装はしっかりされていた山道を、当時持っていた車で走っていた時の事。道路わきで高そうな車が停車していて、なにやらイケメンが手を振っているんですね。故障でしょうか?高そうな車の後ろに停まりました。

「いやぁすいません。誰も通らなくて(深夜三時近く)ケータイもつながらなくって困っていたんですよ。」
「どうかしたんですか?ボクお金持ってません・・・。」
「いや、急に車が動かなくなってしまって、バッテリー切れかなぁ。燃料はいれたばっかなんで・・・。」
「ボクバッテリーつなげるケーブルもお金も持ってません・・・。」
「ああ、俺コードもってるんで、バッテリーつながせてくれたらおkです!あと、逆にお礼しますから・・・。」

向かい合わせにして高そうな車のボンネットにライトが当たるようにして、「じゃあ開けてみます。」・・・??なんだか匂うなぁ?
ボンネットを開けてみると、二人は一瞬固まり各々悲鳴をあげることに!


今回も個性豊かな句が勢ぞろい!「ヒマラヤ地」がヒュードロドロドロ!!



わかめの日アトランティスの市民権 恵勇

                                 

「わかめの日」というのは、5月5日なんですって!歳時記になくて、あえて言うなら「わかめ」が季語になりますが、まぁせっかく「わかめの日」と言ってるんですから、どうにか季語が欲しいと言うなら初夏の季語ということでいいんじゃないでしょうか。
さぁここからです。「アトランティス」「市民権」・・・。
どれもこれも聞きなじみはある言葉なはずなのですが、言葉の乱反射とはこういうことを言うんですね。意味ないことをペタペタ並べただけでしょうか?詩ってそんなのない?取り合わせって言っときましょっか??
でもなぜキン肉マンに出てきた悪魔超人が?
そうお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、この句を一読してみると何故か切ない痛みを胸に感じました。
アトランティスは悪魔超人ではなく、ムー大陸のようにかつてあったとされる幻の大陸の事でしょう。
難しく詳しくはわかりませんが、「ドラえもん のび太の海底鬼岩城」で得た知識が役に立ちます。
高度な文明を持ちながらも沈んでいった大陸。憐れじゃないですか。
今そこにある足元が海に沈んでゆくのに抗うこともできず、幸せな家族ごと消えてしまうのです。ムー大陸からの攻撃でしょうか。
そんなに「アトランティス」大陸の人々は生きていてはいけなかったのでしょうか。「生きる自由を!」「市民権を!!」と叫びながらわけのわからぬままにいままでの日常は消えてゆくのです。
ひとつひとつではなく、十把一絡げに。
・・・ドラえもんの映画って「わかめの日」の頃にやってませんでしたっけ?たまたま沈んでいない国に住む子供たちは、わがままをいいながらも元気に笑って過ごして映画館でドラえもんを観にいくのです。
どうぞこの幸せが末永く受け継がれてゆきますように。


                                                                      ○か×か 幽霊はみなえら呼吸 常幸龍BCAD

                                  

ひとマス開けや記号が印象的な一句ですね。
読んだ方によってとらえ方は色々あるかもしれませんが、古くは『アメリカ横断ウルトラクイズ』のトメさん。福沢朗。最近ならみのもんたでしょうか?問題を出す前、答えを言う前のあの『タメ』!!すごい緊張感じゃないですか??
ボクは人知れずこっそり『ウルトラクイズ大好き人間』でして、言っていいのかわかりませんがYoutubeに残っている(遺っているという表現が合ってる?)のを観ると、ずいぶん古い番組なのに熱いんです!泣けるんですよ!!なんせ・・・・
ああ、ウルトラクイズの話じゃなかったですね。
ひとます開けがまさに、その緊張感を表しているようです。
準決勝あたりでしょうかね?バラマキクイズでしょうかね?
出題者と回答者の息遣いや心音まで聞こえてきそうです。
そこで出た問題が中七下五。なんだか緊張感のない問題ですね・・・。
ただ、この問題の答えって○ですか?×ですか?
どちらにしても根拠を一切出せない不思議な問題ですね。
独特の緊張感の中、この問題を出された回答者の肩透かしな気持ちと、
どうしたらいいかわからない別の緊張感がまた新たに生まれます。
まさか俳句にウルトラクイズを見る日が来ようとは・・・。



濡れた草、水母、幽霊 もしや海 いかちゃん

                                 

色々実験的な句が寄せられる本句会ですが、これほどに句点や一文字空けを一句に多用された句はさすがにありませんでした。
それぞれにそうする意味があるのだろうか、句意を読み解きながら意図を探るという事になります。大概は。
ですがこの句に関して言えばスンナリとそうする意味が我々読み手に一読で伝わるようです。本来はそういうところを書くのがこの場なのでしょうけど、そんなこと急に言われても・・・。
「もしや海」という結論に至るにあたって「幽霊」が判断材料にこっそりあるのが面白いですね。井上陽水の『ジェラシー』という曲で、『はまゆりがさいているところをみるとどうやら僕等は海に来ているらしい』という歌詞がありますが、どちらにもなんともすっとぼけた感じの中に不思議な浮遊感を感じます。
この句の主人公は予期せぬ海難事故に遭ったのでしょうか。
作者本人を考えると最期の瞬間まで名句をつぶやきそうな人なので、不思議なくらいこの句にリアリティと詩情を同時に感じさせてもらえました。
そうか、いかちゃんは井上陽水だったのか!(慌てすぎ)



地球外生命の宴あっぱっぱ   キートスばんじょうし

                                  季語「あっぱっぱ」の破壊力ったらないですね。
妊婦さんが着ているイメージがありましたが、改めて調べてみますとずいぶんカジュアルな雰囲気の「あっぱっぱ」が近頃はあるようでして、オシャレでらくちんそうですね。そう、らくちんなんですよ。
「地球外生命の宴」と季語を大胆に二物衝撃させているのですが、怪物季語のおかげで、ものすごく気軽に楽しく、らくちんな「宴」が想像できます。
幽霊も水母(地球の生き物ですが)も「地球外生命」も、なんもかんもあちまれぃー!!という、ごった煮の楽しさ絢爛さを感じました。一句目の「わかめの日」の憐れさの真逆の楽しさを感じましたが、やはりそこはボクの根の暗さか、「ああ、地球外生命だけなんだなぁ」という寂しさも感じます。
まぁ宴はいろんなグループの宴が行われて然るべきなのですが、やはり地球人代表のボクも参加したかったです。幽霊と仲良くなれたら、悪さできやすそうじゃないですか。
なにより楽しそうで仕方ないですよね。なんだかおうちで俳句大賞を、会場側のカフェでながめているような気分です。
いろいろな想いが、季語「あっぱっぱ」の勢い迫力、ふんわりしたのどかさ気軽さが、色々な思いを包んで放って暖めてくれていそうです。



これにて「ヒマラヤ地」は以上になります!
イラスト提供してくださった、俳句ポスト並盛連盟のふんわりパパ、   染井つぐみが選んでくださった「つぐみ地」を発表しちゃいます!


つぐみ地


ため息を四つ内包する海月 つまりの

                                                                                                                           

ミズクラゲの生殖腺のことですね。ミズクラゲは四葉のクローバーの様な柄を指してヨツメクラゲとも呼ばれているそうです。 あの不思議な柄をため息であると断定したのはとても詩的だと思いました。のんびりと漂っているように見える海月も実は海の広大さに飽き飽きとして草臥れてしまっているのかもしれません。ため息が内包されてしまい吐き出せない点が海月の弱々しさを象徴しているようです。



研究結果:ゆうれいは液体だった はんばぁぐ

                                                                                                                       

「ゆうれいは液体だった」という詩的断定に惹かれてしまいました。         イグ・ノーベル賞で猫が液体であるという研究が話題になりましたが、ゆうれいが液体というのも物理学的側面から示せそうな気がしてきます。         また、ゆうれいが夏の季語になるかの問題がありますが、ゆうれいがひんやりとするのは液体だからなのかもしれません(気体(空気)と液体(水)では液体の方が熱伝導率が高いので、同じ温度(低温)でも触れるとより冷たく感じます)。 さらに、「研究結果:〜」の表記もまさに論文発表をしている光景を想起させ、「ゆうれいは液体だった」という説明的措辞を映像に昇華させる効果があると思いました。

                                                                        

以上になります!
明日は「ヒマラヤ天」予想の日!
詳しくはツイッターをご覧ください!!
さぁどの句が「ヒマラヤ天」でしょうかね??ぜひ予想を!!
お楽しみに!


第十二回 ヒマラヤなんちゃって句会 
               

「ヒマラヤ苺」等々発表!!   
「ヒマラヤ龍」発表!!
「ヒマラヤ天」発表!!

あわせて読みたい!恵勇先生の俳句小説シリーズ!  

句養物語 流れ星篇                         句養物語 花野篇

難しい話?鳥の話?いいえ、愛の話です

巣立鳥

ヒマなん句会の歴史のすべて!
 
                   
ヒマラヤなんちゃって句会 アーカイブ
PR 『俳句ポスト並盛連盟』(俳並連)発足してます!!!  


選句 本文 編集 見出し画像/ヒマラヤで平謝り 
兼題イラスト/染井つぐみ                
SpecialThanks/髙田祥聖 カニくん


お試しで作ってみた項目ですので、本当にサポートしていただかなくてもいいのですが、万が一なんとなくそんな気分でしたら・・・!