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第十三回ヒマラヤなんちゃって句会     「ヒマラヤ地」発表!!


Twitter@himahira19で行っていた句会の結果発表の三日目です。

だいぶ長い事発表を延期にしてしまい申し訳ありませんでした。
人生いろいろですねえ。
気を取り直してせっせと感想文を書いてます。
そして一周年記念の記念特別付録第三弾!!


第一回から第十二回の「ヒマラヤ天」
句!
最近のモノからだんだん第一回に戻るように並べてみました!
もちろん今回も本人達には無許可です!ごめんなさい。
でもかっこいいでしょ?
こうして眺めていると、ボクの好みがよくよくでてるなぁと思うのですが、みなさんどうでしょうかね?
付録第一弾なんかよりも全然素敵・・・。ってボク本人が言うのはOKですけど、他の人が言うのは俄然NGです!!メッ!


長い事お待たせした挙句引っ張りましたが「ヒマラヤ地」爆誕です!


銀漢をティアラに海をトレーンに   かむろ坂喜奈子

                                        

この句を一読した時、ボクがそういう世代のせいなのか、ついつい思わず、THE BLUE HEARTSを口ずさんでいました。もうそれだけでテンションが上がります。十代から二十代は置いてけぼりな話かもしれませんが、そんなことはお構いなしです。割と今でもソラで歌える事実に驚かされます。
ですがいくらなんでも勘違いであろうと思いなおして調べてみました。
「トレーン」というのは服飾用語で引き裾の事。ウエディングドレスでずるずる引きずるアレのようですね。電車ではありませんでした。
季語「銀漢」を頭に飾り、気が遠くなるくらい広い広い海を「トレーン」にするだなんて、なんと壮大な話でしょうか。
「銀漢」が果てしなく美しく、「海」の広さは美しさ以上にどこか畏れを感じました。まさに人魚姫の未来を暗示しているような。うまくは言えませんがこの句にはスケールと、どこか運命の悲しさや畏れを思わせるという奥深い一句となっていると思いました。
さすがに人魚がでっかくなっちゃったという事ではないでしょう。
人魚姫の心の移り変わりや戸惑い、これからの物語の示唆にもなっているような。美しいばかりではないとにかく壮大で奥深い句だと感じました。



人魚の白息人を三回飲む呪文 里山子

                                  

緊張するときに『手のひらに人を三回書いて飲み込む』という不思議なおまじないの出どころは一体どこからなのでしょうか。
こんなことを実践して本当に緊張せずに事を成した人が一体何人いたでしょう。
けど、判っちゃいるけどついやってしまう人がいるのもまた事実。
かくいうボクも、このおまじないをバカにはできません。
本当に緊張がやわらぎませんか?気のせい??
一体「人魚」はなにに緊張しているのでしょうか。
もうこれだけで、あの人魚姫がなんだか身近に感じます。王子様に会いに行く時でしょうか?魔女に自分の決断を伝える時でしょうか?
季語「白息」は冬の寒い時期の吐く息というのがガツンと効いてきます。
人魚姫の世界は、人魚姫のあの姿ですから我々は勝手に夏を想像していましたが、息が白くなるくらいに寒い季節や海域に住む人魚も当然いるでしょう。「しばれるなぁ」とつぶやきながら手に息を吹きかけて、手のひらに人と三回書いて何かを強く決意する。これまた新しい人魚姫像ですね。



星を得てしまへば銀河欲しくなる 髙田祥聖

                                  

恋をすると強くなるとか、弱虫になったり優しくなったりと色々変化するものだと色んな人が言いますが、欲張りになるという人もいます。
一目会えただけでも幸せだった人が、日ごと夜ごとに声を聞きたい、
自分だけを見てほしい、あれしたいこれしたい・・・。
募る思いとは此のことでしょうか。この句はそんな句なのかもしれません。
もし「星を得てしまへば」、きっとさらに季語「銀河」まで「欲しくなる」という一見ダイナミックな措辞ですが、「得てしまへば」にひっかかりを覚えます。
ひょっとしたらまだ「得て」いないのでは・・・?
童話『人魚姫』は純粋に王子様と出会ってしまったために、もう一度会いたい側にいたい、と願ってしまったために起こった悲劇です。
けれど、人魚姫は自分の先々の悲劇を予見して、行動を止めることができたでしょうか。『私ならそんなことにはならない。させない』とも思わず、
ただただ思うままに行動したのだと思います。それが恋であり愛ですから。
人魚姫が魔女に会いに行く前に、夜空を見上げて呟いた句なのかもしれませんね。どんどん思いを募らせている自分に恐れを抱いていたかもしれません。けどだからといって留まることもできない恋心という情熱と、それらを達観する冷静さを兼ねそろえた上で、季語「銀河」という壮大で美しい季語がこの句に複雑な味わいを与えています。なんて一句でしょうか。



流星が流星に流星になりたい はんばぁぐ


今回たくさんの投句の中で目を引いたというのはもちろんですが、最も目を疑った句かもしれません。しかし何だかわからないと蔑ろにもできない存在感で、一見ぶん投げたような句にも見えますが、ものすごくなにかが込められているような。ボクは基本的に季重なりや字余りをわりと許容する方(気づかない)タイプのようで、すんなり受け止めて呑み込んでから鑑賞したりしますが、同じ季語みっつとは恐れ入りました。何言ってるんだろう?季語ばっかりになってしまってなにかを表現する句になりえるのか?
しかしボクなりに考えるというのが本句会の意味であり意義です。
いやぁ大きな宿題を投下されました。
言葉通り受け止めれば「流星」候補である星が、「流星になった流星」を
みて、ああ「流星になりたい」と思うという事だと思います。きっと。
なんだかイケメン俳優の横浜流星のお話にも思えてきますが、「流星」とは宇宙が地球の大気中に高速で突入し、発光する現象。高度100キロ付近で衝突・発熱して輝き、多くは大気中で消滅する。というもので、『じき燃え尽きてしまうもの』なのです。消えてしまうものの美しさに憧れるというのは、なんだかいずれ泡となってしまう人魚姫の物語に思いを寄せる気持ちにも似て、『ひょっとしたら人魚姫は自分がどうなるかわかっていて、それでも運命のなすがままに自分の身を任せたのかもしれない』という想いでこの句を見直すとなんとも切なくて、ただぶん投げたような句ではないと気づかされます。季語「流星」がここまで重なると、都会ではみられない満天の星空を思わせるところが、なんとも玄人感があるような。
そして我々が見る「流星」とは、けして手の届かないような遠い遠いところの最期の瞬きなのだと思うと、この句の発信する何かが胸に迫ります。

             

以上になります!
明日は「ヒマラヤ天」予想の日!
詳しくはツイッターをご覧ください!!
さぁどの句が「ヒマラヤ天」でしょうかね??ぜひ予想を!!
お楽しみに!


第十四回 ヒマラヤなんちゃって句会
投句受付は10月17日(月)~10月31日(月)です!!
忘れないでねー!!
ヒマラヤなんちゃって句会の今後について


第十三回 ヒマラヤなんちゃって句会 
                

「ヒマラヤ苺」発表!!   
「ヒマラヤ龍」発表!!
「ヒマラヤ天」発表!!

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選句 本文 編集 兼題イラスト/ヒマラヤで平謝り 
見出し画像/ゆきまち          
SpecialThanks/髙田祥聖 カニくん


お試しで作ってみた項目ですので、本当にサポートしていただかなくてもいいのですが、万が一なんとなくそんな気分でしたら・・・!