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第十二回 ヒマラヤなんちゃって句会         「ヒマラヤ苺」等々発表!!


Twitter@himahira19で行っていた句会の結果発表を5日間にわたり行います。5日間の日程についてはこちらをご覧ください。
                                 「ヒマなん句会」に投句された皆様へ


かわいくないですか?このイラスト!!
いつもの狂ったイラストと大分違うイメージじゃなかったですか?
これは、我らが俳句ポスト並盛連盟のふんわりパパ、染井つぐみが描いてくださったのでした!
近い将来、ご自分のベイビーに「ホーラこれはパパの描いた絵だよー」と言ってきゃっきゃきゃっきゃしたりして・・・・。
いやぁなんて家庭的で幸せで微笑ましくて他力本願な句会なんでしょうか!
ご覧いただいたみなさんの中で「アラ、あたいも絵も兼題にしてもよくってよ??」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ、ヒマラヤで平謝りのDMまでどうぞ!!すぐ採用というより、いいタイミングのときにお出しするので、そのへんはご了承ください。

今回はなんと全110句ご投句いただきました!
最高記録!!ありがとうございます!!

                        
今回も色んな俳句が出そろいました!さっそく各賞の発表をします!!



投句一番乗りの一句!!「ヒマラヤ一番星」は一番星女王降臨!!

          

    

ヒマラヤ一番星


言うことがいつも海月のようなひと 梵庸子      



そして全投句のちょうどど真ん中!「ヒマラヤバットマン」で奇跡です!     

           

ヒマラヤバットマン


くらげぷかり練馬の空じゃあたりまえ ヒマラヤで平謝り


やったね!!初バット!!ホントにど真ん中になるとは思いませんでした!狙ってみたとはいえ、こんなにうまくいくとは嬉しい!!!・・・・
と、言ってもさすがに手前みそすぎますよね。
「アンタ自分で操作したんちゃうん?」と思われてしまいそうです。
なのでさすがに今回は、ボクと前後二名、計三名をヒマラヤバットマンとします!!豪華!!


ヒマラヤバットマン


幽霊や百の睫毛と百の夜 暖井むゆき

海の神うたた寝すれば産む海月 万里の森



ちょうど投句100句目(こちらの事務処理基準)だった句にお送りします!  

       

 ヒマラヤ百式


ゆうらりと空ゆく夢を見る海月 夏湖乃



このみっつの賞は、ほかの賞の候補にもなりますので、          明日以降も、もちろん今日も要注目です!
今回ボク以外(多分)女性ばかりですね!華やかです!


それではどんどん行きましょう!「ヒマラヤ苺」の発表です!


                        研究結果:ゆうれいは液体だった はんばぁぐ

                                  さぁのっけから俳句っぽくない句からご紹介です。
「ゆうれい」を「研究」というのは、海外のちゃんとした機関がやっているというのはうっすら聞いたことはありますが、大真面目な顔で幽霊学会で 「研究結果」を「液体だった」と発表する姿は想像すると笑ってしまいます。あえてだと思うのですが俳句っぽくしなかったのが読み手にインパクトを与えてくれています。
ちなみにボクは「ゆうれい」について、『半季語』(句の場面によって季語と感じたり感じなかったりするというボクの造語)として扱っています。                                      


いうれいの睫毛の手入れヒドロゾア ひでやん

                                 「ヒドロゾア」とは??
上五中七の様子から化粧品メーカーかしら?と思い調べてみると、
何とも面妖とも、美しいともいえる不思議な生き物でした。
「ヒドロゾア」の持つ棘が、まるで目の粗い櫛のようにも見えて、変わった形の睫毛ブラシにもだんだん見えてくるから不思議です。
「ヒドロゾア」と海月との関係は実は深いということでして、その辺の自句自解や、海月通の俳人の評を見聞きすると一気に評価が変わってゆくタイプの句だと思います。ひょっとしたらですけどね。


良いくらげならば沈んでいきなさい  探花

                                 「詩的断定」(で、合ってます?)がビリビリ効いてくる句でした。
くらげ的には沈んだほうが自分のためにいいことなのでしょうか?
悪いくらげとは一体何をしたのでしょうか?
そもそもくらげの良い悪いとは一体なんなのでしょうか?
そしてくらげは一体誰に言われてるのでしょうか?
想像していくと楽しいですね。「良いくらげ」は海底に沈んでいきます。
ゆらゆらと揺れながら休みながら。海底になにがあるかもわからないままに。幻想的で、なのに不思議な説得力のある句です。

                                                                          水槽で私が海月だった頃 まぐまぐ

                                                                                                                            前の句の続きなら、良くないくらげが浅瀬でふらふらしていたら、掬われて連れていかれた海月でしょうかね。
それとも前世の記憶があるヒトが、ふと昔を思い出したのでしょうか。
そこまで考えていると不思議とふわっとした浮遊感を感じさせてくれます。
前世に思いを馳せる心地、海月という生き物のふんわりとした心地、海月の暮らしているのはおそらく深々とした水槽という奥行きの広さ、それぞれを想像すると夏の清涼感を味わうことができます。


あなたがのぞむくらげにはなれなくて 凪太

                                  くらげに何をのぞむのでしょうか?
しかもなれないくらいの難しい事を要求されてるのでしょうか?
いいえ。きっと「あなた」からは何も要求されてはいないのでしょう。
くらげはくらげとして、ただただ漂っているのです。きっと「あなた」に出会い、その「あなた」になにかを要求されているような気持ちになってしまっていて、そうにはなれなくてしぼんでしまっているのかもしれません。
まるで片思いのような寂しい句です。

うわばきに水母入れた子立ちなさい 銀紙

                                  緊張感と言えば、この句も不思議な緊張感があります。
先生が静かに静かに話を切り出すときは、大概怒ってます。
そんな時先生がこう切り出したらと思うとおかしくなるのですが、先生が嘘をつくはずありません。「うわばき」に「水母」を入れた子、入れられた子が確かに存在するのです。何と言う事でしょう。
一体どうやって持ってきて何のつもりで「水母」を入れたのでしょう。
想像がバンバン頭を駆け巡ります。実景であることを祈ります。


五度目こそ貴方に逢うわ紅海月 鈴白菜実

                                  情念を感じるショッキングな一句ですね。中島みゆきか石川さゆりか。
上五「五度目こそ」の具体的な数詞が鮮やかにかつ効果的に効いています。
何故でしょうか「五度目」もきっと逢えない予感がしてしまうのは、わずかに季語「紅海月」の哀しみを感じてしまうからでしょうか。
さらにひょっとしたら、初めから四度目も逢えていないような空虚さをも感じてしまいますがいかがでしょうか。
上五で「五度目」と「五」がリフレインで・・・は、ないですが、ひょっとしたらおしゃれな仕掛けなのかもしれません。


若夏や部活サボってソーダガム 由野

                                  ぴょんと兼題イラストを一段飛び出しました。
ただイラストの色合いを思えば、この句の色合いを感じられますね。
季語「若夏」は沖縄の初夏の頃という事らしいので、ひょっとしたら沖縄の学生の句なのか、本州では四月末くらいの話なのでしょうか。
それだと、入学して入部してすぐに「サボって」いるのでしょうか。想像は夏空のように広がるようです。
「ソーダガム」の選択も鮮やかです。シュワっとした感覚が伝わり、ガムというものがなんだか不良感、ヤサグレ感が表現されているようですね。

浜おもと朝を撫でゆくフラの歌 このはる紗耶

                                  季語「浜おもと」とは、浜万年青と書いて「浜木綿の花」の子季語なんですって。さっぱりわかりませんでした。
子供の頃、女優の浜木綿子さん(俳優 香川照之さんのお母さん)のことを、『はまもめんこ』と読んでいたことが懐かしい。
「浜おもと」という花を見ますとなんとも優雅で、遠くで歌われているであろう「フラの歌」が朝に流れてくるとそれだけでリゾート気分を味わえますね。美しく爽やかな景です。なんだか高木ブーの歌声とウクレレが聴こえてきました。「フラの歌」という下五の展開の意外性と共感性を持つ言葉の斡旋はさすがです。読み終えるとまた初めから味わいたくなるような句です。
ちなみにフラとは、ハワイの言葉で踊りの事。フラダンスを訳すと『踊り踊り』という俳人にとって豊かなリフレインを感じさせてくれる五音になりますね。え、そうでもないですか?


取水路にかたち失ひゆく海月 内田こと

                                 「取水路」を改めて調べると、『発電所を困らせる水の生き物たち』という何とも閲覧注意な資料がでてきます。
人間の都合で作られたものに、生き物たちはまんまと乗っかって身を寄せてちゃっかり生きる者もいれば、その命を落とす者もいます。
ただただ海流に流れ漂い、人間の作ったものに身体を切られてゆく「海月」
驚くべき大きさに育ち、大量発生して漁業に大ダメージを与える越前「海月」生きてゆくもの同士のお互いの柔軟さを問いかけるようにこの句は響きます。そりゃ「海月」のせいで寿司が食べられなくなるなら、なんとかしていただきたいものですが、誰がどうやってどうするか問題は山づみのなか、当の「海月」はのんきに泳ぎ、人間の作った「取水路」に導かれ「流入防止網」にとらわれて、その身を引きちぎられてゆくのです。
せめておいしくたくさん食べられたらいいんですけどね。
キクラゲみたいにいかないんでしょうかね。


八月や島の叔母より水彩便   都夜(とうや)ことね

                                   夏休みをゆっくりと過ごしていると綺麗な暑中見舞いが届きます。
叔母の住んでいるのは沖縄でしょうか。
季語「八月」が句を詠み進めてゆくとじんわりと効いてきます。
「八月」は暑いだけではなく、終戦記念日、原爆忌を思い起こさせ、色んな過去を持った沖縄と思しき島から、たぶん美しい「水彩便」が届く。
どんなものが描かれているのでしょうか。
たまには美しい風景を想像することだってボクにはあります。
過去の人も未来の人も見るであろう海の絵でしょうか。
その余白に一句書いてしまうのはやはり我々俳人のさが。
こういう「水彩便」に書かれるにふさわしい一句を詠めるようになりたいものですね。


以上になります!                          明日は皆さんの感想文をご紹介させていただきますので お楽しみに!!


第十二回 ヒマラヤなんちゃって句会 
                

「ヒマラヤ龍」発表!!   
「ヒマラヤ地」発表!!
「ヒマラヤ天」発表!!

あわせて読みたい!恵勇先生の俳句小説シリーズ!  

句養物語 流れ星篇                         句養物語 花野篇

難しい話?鳥の話?いいえ、愛の話です

巣立鳥

ヒマなん句会の歴史のすべて!
 
                   
ヒマラヤなんちゃって句会 アーカイブ
PR 『俳句ポスト並盛連盟』(俳並連)発足してます!!!  


選句 本文 編集 見出し画像/ヒマラヤで平謝り 
兼題イラスト/染井つぐみ                
SpecialThanks/髙田祥聖 カニくん


お試しで作ってみた項目ですので、本当にサポートしていただかなくてもいいのですが、万が一なんとなくそんな気分でしたら・・・!