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第十四回ヒマラヤなんちゃって句会     「ヒマラヤ地」発表!!

Twitter@himahira19で行っていた句会の結果発表の三日目です。

投句締切から約一か月半発表が開きました。スイマセン
余裕やゆとりがあって素敵だなぁと、カレンダーとにらめっこしてふんわりと過ごしていました。
「余裕っしょー!」と、色んなネット句会に顔を出しまくって「フフン俳人っぽいわ」と悦に入っていたところ投句期間終了、待っていたのはいやぁもう選評選評選評の嵐!!選評書くのをすっかり忘れていました。
まるで真冬の雪かサラ金のようにしずしずとノルマが増えていきましたが、
必死に心を込めてどこの句会でもじっくり選句選評しました!
そしてもちろん、ヒマなん句会もじっくりコトコト選ばせていただきましたよ!いやぁよーやるわ。あきれるくらいの感想文の量!
もうすっかり選評廃人俳人!自分に自分をほめてあげたい!!


吟味に吟味を重ねてがっつり選びました「ヒマラヤ地」さぁどうぞ!!


                           歌姫は像に蛙は細き月に いかちゃん


まるで寓話や童話のような一句。
投句期間が十月であり、その期間にジャストフィットした画像をご用意させてもらったのは「ヒマラヤ苺」のときに書きましたが、その心はと言われれば「月を詠んでください」と言っているようなもんなのに、「蛙」!!
春の季語「蛙」!?
もちろん季語指定はしていないですし、なんにも間違いだとかじゃないんです。「蟷螂」も驚きましたが本当にどこから「蛙」が出てきたのでしょう。
なにより兼題写真の不思議で幻想的なイメージとこの句がミラクルマッチしていると感じました。一体どんな物語があるのでしょうか。想像は無限に広がりますよね。物語の冒頭の句なのでしょうか、それとも結末でしょうか。ハッピーエンドなのかそれとも悲しいお話なのでしょうか。
「蛙」が「細き月」になるというのがなにやらソリッドで・・・・。
あれ?「細き月」??「月」が出た出た月が出たヨイヨイ
しかしこれを、季重なり?というのは無粋だとおもうのです。
何故かというと、この句がもし物語の冒頭の句だったら、「細き月がなんやかんやあって元通り蛙になる物語」であるなら「蛙」が主季語だと思いますし、物語の結末だとしたら、「なんやかんやあって蛙は細き月となってしまいましたとさ」というお話なら、折れそうでも煌々と輝く「月」が、最後に輝く主季語になると思うのです。なんだか悲しい物語っぽいですね。
俳句の受け取り方によっていろいろ俳句というのは意味は変わっていくことがありますが、この句はまさにそういう句の代表格でした。
なんともすっとぼけた味もありつつ、どこかほろ苦い切なさもありつつ、
まるで寓話のようで、童話のようで、騙し絵のようで、そして美しい水彩画のような一句でした。ホントどうしてこんなことできちゃうんでしょう。
さすがであります。



ヴィーガンつて三日月くらい食うんだろ 仁和田永

                                
                                     そういやベジタリアンとヴィーガンって何が違うのでしょうかね?
一般的なベジタリアンが肉や魚を食べないのに加え、ヴィーガンは卵・乳製品・はちみつも口にしないということでして、ボクからしたら彼らは一体何を楽しみに人生生きているのかと思ってしまいますね。考え方は人それぞれですが、一体何を食べてるんだろう?奥さん献立考えるとき大変ですよねー・・・。え??「三日月くらい食う」ですって??そうなのか・・・。
あたかも三日月を食べるもののように書いてあるのは、ヴィーガンという特殊な方々のミステリアスな食生活を示しているかのようです。
軽い口調の措辞がその知識の軽薄さを表しているようで滑稽さまであります。なんにもしらない人に「俳句なんて一日100句くらいできるんだろ」くらいなこと言われたことありませんか?「はい!そこで一句!」みたいな。
三日月に手を伸ばして、事も無げに麩菓子のようにぱきっと割って、ぽりぽり食べ始めるヴィーガンの姿が浮かんできました。調理いらずで食べられそうですよね。種もなくて食べられやすそうな。
不思議な一句ですよね。見たことがない景なのにありありと光景が浮かぶようで、句をよくよく見るとヴィーガンも食べられる三日月もその場にはなくて、あるのはただただヴィーガンに疎い作中主体のテキトーな思い込みの独白だけなのです。
一から十までシュールな世界。なのに俳諧味もあって不思議な読み応え。
そして食べられちゃうかも??と震えてる季語「三日月」が、しっかり句の中で心細く輝いているのです。



月光の降ってラプソディー・イン・ブルー モッツァレラえのくし


                                   「ラプソディー・イン・ブルー」は、作曲家のガーシュウィンの自由奔放なファンタジー風の楽曲のことでしょう。さすがに他にないと思います。
簡単に言えばドラマ「のだめカンタービレ」によく出てきてたあの曲です。
で、クラシックの色んな側面の曲ですので「あのサビのあそこ」とも「○○○っていう歌詞のあそこ」という説明がし難いので、通して聴いたことがない方は楽しくもドラマチックで素敵な一曲ですので聴いてみてください。この曲の表情の豊かさがこの一句のキモです。俳句の五割はタイトルですしね。感想文も半分はこの曲の説明になってしまいました。
「月光の降って」で切れて、「ラプソディー・イン・ブルー」が付くという二物衝撃の句なのかもしれないと思いました。
「月光の降って」いる静かな森に佇んで「ラプソディー・イン・ブルー」を浴びている光景。忙しい月夜の街から不意に住宅街に入ったときに浴びる「ラプソディー・イン・ブルー」かもしれないし、これから飲みに行くとき酔いつぶれた時に気が付いた月を見つけた時の「ラプソディー・イン・ブルー」の光景かもしれず、曲の力もあってか想像力は膨らんでいきます。
曲の冒頭の雑多な雰囲気も、後半の荘厳な雰囲気もすべては「月光」を表現するのにふさわしすぎて多分一生「ラプソディー・イン・ブルー」を聴く度に「月光」を思うことになるかもしれませんね。この句のせいで。
この強い主張のある句は頂かざるを得ませんでした。
 


祈るほど無色冬至の歌声は このはる紗耶


今度は歌声が聴こえてきましたね。きっとあの女神の歌声でしょう。
改めて「冬至」を調べてみると、冬のど真ん中十二月二十二日頃の、
日本一昼の短い時期の頃の事みたいですね。ボク柚子湯のわけのわからなさのイメージしかなくて、テキトーに寒い日に柚子湯に入るだけの、人それぞれ文化が冬至だと勝手に思っていました。ボク柚子湯はやっぱり嫌ですね。
そんな年も押し迫った時期に歌われる歌は「祈るほど無色」なのです。
「確かに祈りって透明だし、歌だって色があるわけじゃないし、ただ透明って冬とあうけどなー・・・」程度にしか考えていませんでしたが、気が付きました。「無色」と「透明」は違うということに。
我々は時として祈るように生きていることに気付くことがあります。
些細な祈りもあれば、叶わないと解っていてもささげる祈りがあります。
祈りのこもった歌声は、透き通るほどに無色。ひょっとしたら聴いてる我々が色を付けて共に祈るというのが、この歌声の捉え方かもしれません。
「歌」とは、聴き手が自由にその物語を想像します。歌い手としては「無色」のつもりで放った歌声ではないのかもしれませんが、聴き手の鮮やかな着色によって、元の歌は無色だったような気がしてくるものなのかもしれません。もし歌声が透明だったら、受け取り手はもちろん歌う側も虚しく寂しいような気がします。
この「無色」の「歌声」が季語「冬至」の措辞でなんだか鋭さを増しているようにも思えてきます。鋭いナイフのように研ぎ澄まされた「祈り」のように思えてくる効果があります。
そもそもこの句の「祈り」って、何でしょうね?
ひょっとしたら俳句も祈りに似ているかもしれませんね。
ボクらは誰に刺さるかわからない「祈り」のようなものを俳句に託して投げているようにも思えてきて、なんとも身につまされるような気持ちになってしまうのです。
逆にこの「ヒマなん句会」において、たくさんの方の「無色な祈り」を上手く受け取れなかったかもしれないと思うと、毎度のことながら実はけっこう胸が痛むのです。

                                                                  

以上になります!

さぁどの句が「ヒマラヤ天」でしょうかね??ぜひ予想を!!
お楽しみに!



第十五回 ヒマラヤなんちゃって句会


投句受付は12月5日(月)~12月31日(土)です!!
もう募集中ですよ!忘れないでねー!!
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ヒマラヤなんちゃって句会の今後について


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選句 本文 編集/ヒマラヤで平謝り 
兼題画像/万里の森         
SpecialThanks/髙田祥聖 カニくん


お試しで作ってみた項目ですので、本当にサポートしていただかなくてもいいのですが、万が一なんとなくそんな気分でしたら・・・!