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第九回 ヒマラヤなんちゃって句会         「ヒマラヤ苺」等々発表!!

Twitter@himahira19で行っていた句会の結果発表を5日間にわたり行います。5日間の日程についてはこちらをご覧ください。

「ヒマなん句会」に投句された皆様へ


実はこの画像、約11年前の二月末の画像なのです。            そう。実はあの東日本大震災直前頃の画像だったのです。

猫がかわいいからなんとなくパソコンのハードディスクに入れておいただけなんですけどね。                          当時使っていたトラックの駐車場に、朝原付でやってきてトラックと乗り換えて出発してしばらくたってから同僚(いつもの一般審査員と違う子)から電話がありました。                         「いやぁ今車庫に着いたんですけど、ヒマラヤさんのバイクに黒猫がくつろいでたんですよ!おもろいですねえー不吉ですねえー!きっとヒマラヤさんのぬくもりがシートに残ってて、ぬくんでたんでしょうねー。カワイイんで画像送っときますよー!」ブチンツーツーツー。                確か彼はボクと同じか、早い時間に出発しなきゃいけないはずだったのですが・・・・。

そんな呑気な同僚ののどかな画像をお題にしてみました。             今回はとうとう総投句数100を超える全105句!!ありがとうございます! ただただ投句数が増えただけではなく、素敵な俳句ばかりが大集結しました。選句に一苦労ですが、第一回よりかわらず好きな俳句をじっくり選びました!                               総投句数100句超記念として、今回はちょっぴり多目に選ばさせていただきました!そして、100句超え記念の賞も一つ増やしてみました。


今回も色んな俳句が出そろいました!さっそく各賞の発表をします!!


ヒマバット ヒマ作 2


投句一番乗りの一句!季節を先取り!「ヒマラヤ一番星」は瞬きます!!

                                                                          ヒマラヤ一番星

トラックのタイヤの傷や炎天下 はんばぁぐ

                                                                                                                            そして全投句のちょうどど真ん中!「ヒマラヤバットマン」の発表です!


                                                                          ヒマラヤバットマン


白バイの下る三日の箱根かな いくたドロップ


                                                                                                                            そして100句超え記念の賞!ちょうど投句100句目(こちらの事務処理基準)だった句にお送りします! 


名付けて「ヒマラヤ百式」!!!


ヒマラヤ百式

涅槃西輪廻転生先回り 砂狐



このみっつの賞は、ほかの賞の候補にもなりますので、          明日以降も、もちろん今日も要注目です!

                                                                                                                              それではどんどん行きましょう!「ヒマラヤ苺」の発表です!



今回に限り大増量スペシャルです!! 

規定では「ヒマラヤ苺」は全投句の一割なので、105句なら10句前後なのですが、今回はちょっぴり多めに選んでみました!               それでもなかなか選びきれませんでしたがどうにか選びました!


ヒマラヤ苺 ヒマ作 2


                     BKBヒィア蛙の目借時 山本先生

                                     まさかのバイク川崎バイク!!!?念のために調べてみましたが、BKBは思っていたBKBでしかなさそうです。ブンブン!                        近頃テレビはプレバトか菅田将暉のドラマくらいしか見なくなってしまって大分たつのですが、BKBは一回見ただけで何故かよく覚えてます。ブンブン! 関西で活躍してる人だと思っていたのですが、今の今こういう句が詠まれるという事は関東でもすっかり有名な芸人さんになったのか・・・     と思いきや季語「蛙の目借時」ブンブン!。               BKBのネタで眠くなってしまったのでしょうか?                              衝撃的な取り合わせでした。ボクはBKB好きですけどね。ブンブン!  
       


野良猫に敬語で話す新社員 たまのねこ

                                                                                                                              一読して「お疲れな新社員なのだなぁ」と感じました。            物凄く共感してしまった一句で、ボクが若かりし頃、居酒屋でバイトしていた時の頃を思い出しました。大忙しで大車輪の活躍をしてヘトヘトになった後、深夜のコンビニの店員の「ありがとうございましたー」に、居酒屋のテンションで「ぅありがとーざいまぁぁぁーす!」と大声で返してしまいました。にぎやかな居酒屋の店内に響くように深夜の静かなコンビニで・・・。      二度とそのコンビニに行ってません。                 この句の「新社員」に共感できる人は多いのではないでしょうか。    いいところをついた一句だと思いました。               ちなみに「一般審査員代表(ただの俳句シラネの同僚)」の選でもありました。「いやぁ今回いいのばっかで難しいっす!でもこの俳句すごくよくわかりますよ!」とのことでした。 
   


黒猫てふシート予熱器春寒し 濃厚エッグタルト

                                  今回冒頭でお話した通り、ボクの原付で暖をとっていた猫の画像なのですが、逆に考えたら猫がボクのためにシートを暖めてくれているのかもしれませんね。「シート予熱器」というそのものズバリのモノは多分ないと思いますが、それは「黒猫」ですよというのが、なんともかわいく、ファンタジーな雰囲気です。猫は暖まりたくシートを利用し、ヒトは暖かなシートにありつけるという共栄共存的サイクル!!ただ、シートが猫の熱で暖めたくらいじゃ速攻で熱は冷めちゃいますけどね。                まぁヒトの心は暖かくなりますよね。暖かい春が待ち遠しいですね。


原付を飛ばす少年春の闇 内田こと

                                  近頃の若者はどうかはわかりませんが、一昔前の男の子は原付の免許を持つというのは大人の階段をひとつ上るという事であり、猛獣を野に放つという事であり、DQやFFで初めて船を手に入れるような解放感なのです。    目的地などなく、たったの自分一人の力で見たこともない景色を見に何時間でも乗るのです。よくもあんなに体力がもってたなぁ・・・。      季語「春の闇」が非常に面白いですよね。「春の宵」ではないところが、 何か悪さや企みを勝手に感じさせます。原付を乗り始めた少年に「法定速度」なんて聞きやしません。若き日々の無茶や無駄をこの季語で言い切れているような気がします。少年は春から夏にかけて大人になるのです。


原付で来ちゃった月に近い部屋 常幸龍BCAD

                                  ふんわりと不思議な一句。昔話のような、童話のような。          原付に乗れるようになった少年はどこにでも行けるようになって、ついつい「月に近い部屋」まで行ってしまいました。10代の恋する男の子なら本当に行くだろうなと思います。「原付で来ちゃった」という軽い口語のキャッチ-さが楽しいですよね。たどり着いたのが季語「月」に近いというのは、季語の力を弱めているかもしれませんが、この句の雰囲気にピッタリな措辞だと思います。秋の季語であるところの「月」といいながら、なんとなく『春』にちかい、ふんわりとした表現に感じませんか?         そういう渋い企みを感じさせてくれました。   


例の鶴は近頃バイク姿です いかちゃん

                                  先ほどご紹介した句と同様、不思議な肌触りの一句です。          「鶴」は冬の季語でして、冒頭のお話にあったとおりあの写真のバイクは、まだまだ寒い時期ですので冬の雰囲気を感じ取られたのかもしれませんね。  内容を見るとほんとに無茶苦茶な内容なのですが、ひょっとしたら『環境問題』に対しての問題提起句なのかもしれません。「鶴」が少なくなったのは、排気ガスが原因で・・・というような。そう考えてしまうと堅苦しいので素直にファンタジーな句なのにどこかドライな面白い句と受け止めました。余談ですが、兼題写真のあの原付は、大きい都道を走行中、突然エンジン停止し、それ以来エンジンが一切かからなくなるという壮絶な最期を遂げました。いやぁびびった。11年前と全く変わらないことなんて、世の中には少ないのかもしれませんね。                    例のバイクは近頃鶴となって飛んでいるのでしょうね。 


甥の手にタバコ見つける春一番 双葉(ふたば)

                                      知り合いの子供など、小さいころから知っている子がある日タバコを吸っているのを見かけると、たとえ二十歳になってからでも何とも言えない気分になります。それが生まれたころから知っている「甥」であるとなるとなおさらですね。この気持ちは何でしょうね。チビの頃の記憶が走馬灯のようにくるくる回ります。親とは違うので節目節目でしか会わないので、会うたびにバージョンアップしてゆくのを感慨深く見とれてしまいます。あんなこと言うようになったんだ、こんなことできるようになったんだ、ああタバコ吸うようになったんだ・・・。そりゃ自分も年とるよなぁ。            季語の「春一番」の斡旋がこの余韻の答えを握っているようです。


春泥や治らぬ痣は左脛 鈴白菜実

                                  淡い余韻を強く感じた句でした。『脛に疵持つ』という慣用句がありますが、昔犯した悪事などを隠している。自分の身にやましいところがある。 という意味で、それが「治らぬ痣」と言う措辞で時間経過を感じさせます。季語「春泥」が過去を思い返している時期をさしているようにも読めます。雪が解けて暖かくなって泥になった頃、昔の悪事を強く思うのでしょう。 後悔なのか、自嘲なのか。淡い淡い瞬間の切り取りと読みました。      ひょっとしたらラグビー選手のお話かもしれませんね。花園で試合した後の傷を暖かくなった頃にしみじみ思う句。どちらの解釈にも共通するのはやはり「淡い回想」ですね。春ってそういう季節でもあると思うのです。


秋田からバイクで来たのかよ遍路   オペラ座の俳人

                                                                                                                              やたらな勢いを感じた一句。がっちり目をひかれました。           そして季語「遍路」を知るとその衝撃はさらに強まります。「秋田から」まさかの四国へ??!大きいバイクで高速使えば、バイク好きなら苦でもないのでしょうが、兼題写真の原付と考えると『水曜どうでしょう』的といいますが、考えられない苦行です。「遍路」で同行する人もバイクで現れたら 驚いたでしょうね。この句で特に目を引くのは「来たのかよ」という措辞ですね。『来るのかよ』でも『来る君や』などでもなく、「来たのかよ」という三村風ツッコミ措辞が絶妙で、色々な感情が掬い取れるようで、のどかしやかでなんだかマヌケで、独特のおかしみがあります。  
          


朧夜の家路を黒猫のぎらり 西村 棗

                                  下五「ぎらり」が特に効いています。                   ぼんやりとかすんだ夜、どこからか帰宅を急いでいると黒猫がいて・・・という景ですが、淡々とした描写を重ねていってここ一番に「ぎらり」を持ってくるというのがもう手練れの手法。                   黒い空、黒い街並み、黒い猫ときて、猫の目が光るという切れ味の鋭さが効果的ですね。正統派というか、妄想の余地がないのですがたぶん作者の描く映像と同じ画を読み手にも伝えるタイプの句で、とにかく「ぎらり」という措辞がハッとさせます。


なでたくてなでられたくて春の夜 髙田祥聖

                                  兼題写真を見ている我々は「なでたくてなでられたくて」とはヒトと猫の事であると自然にしっくり思います。かわいいですしね猫。            ですが兼題写真を外してみるとどうでしょう。恋人同士の句とも読めますが、ボクは『深い事情を持つ親子』を思いました。              まだ母親が必要な小さな子供と、若い母親。それが何かのきっかけで離ればなれになってしまった「春の夜」。あまりに直接的ですが、それ故胸に迫るものがありました。「春の夜」というのがなにを示すのか、次の句をご紹介するとお分かりいただけるかもしれません。                    この句単体でみると素直でまっすぐな措辞が、柔らかいのに心を掴んで離さない強さを感じます。『恋人同士の句』『親子の句』として受けても、  これほどにも切なくさせる句はそうそうないでしょう。


三月十一日かあさんにまた逢える丘 モッツァレラえのくし 

                                   2011年(平成23年)3月11日14時頃のことは、一昨日の夕飯や昨日の納品先のきれいだった女性の顔よりもはっきり思い出せます。         ボク自身『忌日』や『追悼句』は詠んだことはありません。想いが強く出てしまいそうだし、軽々しい気持ちでとっかかるのは違う気がして、まだまだ勉強不足というのもあるのですが、ボクが詠む必然がない気がするのです。まれに句会に参加させていただいてるのですが『忌日』を選んだことがありません。その句がつまらないという事ではなく、選ぶことに躊躇してしまうのです。触ってはいけないような気がしてしまって。             ですがこの句を見つけた時に自然に選んでしまっていました。それは多分『忌日忌日』していないからかもしれません。けれどもこの心を持っていかれるくらいの確かな切なさがあります。しっかりとした映像を確保していると思います。「逢える」という漢字の選択が成功していると思います。  「三月十一日」の日本人の持つ共通認識は、きっとそれぞれにあると思いますが、生涯忘れることはないでしょう。この句と共に。

                                                                                                        原付の風が一番春に近い 麻きなり

                                  優しい余韻を感じた一句でした。                   ご存知の通り「原付」の制限速度は「30㌔」。どんなところを走っていてもです。車やバイクを運転しない方にはあまりピンと来ないかもしれませんが、結構遅いんです。自転車でもでそうな速度。ここだけの話ですが常日頃30㌔で走り続けている原付はそういません。そんな意外と交通弱者な、 「原付」。制限速度30㌔というのも交通安全、運転手の保護、歩行者への保護という観点から定められている、優しさ溢れる制限速度。      そんな「原付」から感じる「風」は「春に近い」なんて、優しい表現じゃないですか。あと『春一番』と誤読させるような近さにあって、「原付」も出そうと思えば60㌔70㌔でちゃうんだぞという句にも見えてきて不思議です。   この感想文を発表する頃は暖かい日が続いてるでしょう。「原付」のような乗り物が「春」を連れてくるにふさわしい速度の乗り物かもしれませんね。


以上になります!                          明日は皆さんの感想文をご紹介させていただきますので お楽しみに!!


第九回 ヒマラヤなんちゃって句会                 「ヒマラヤ龍」発表!!
「ヒマラヤ地」発表!!
「ヒマラヤ天」発表!!

あわせて読みたい!恵勇先生の俳句小説シリーズ!                      句養物語 流れ星篇                         句養物語 花野篇

難しい話?鳥の話?いいえ、愛の話です                 巣立鳥

ヒマなん句会の歴史のすべて!                    ヒマラヤなんちゃって句会 アーカイブ
PR 『俳句ポスト並盛連盟』(俳並連)発足してます!!!  


選句 本文 編集 兼題画像 見出し画像/ヒマラヤで平謝り                  SpecialThanks/髙田祥聖 カニくん                                           

お試しで作ってみた項目ですので、本当にサポートしていただかなくてもいいのですが、万が一なんとなくそんな気分でしたら・・・!