見出し画像

第十五回 ヒマラヤなんちゃって句会         「ヒマラヤ苺」等々発表!!


Twitter@himahira19で行っていた句会の結果発表を5日間にわたり行います。5日間の日程についてはこちらをご覧ください。
                                 「ヒマなん句会」に投句された皆様へ

いやぁ寒いですよねー。いかがお過ごしですか?
最近職業柄「運命の楔」である腰痛に苦しんでいます。
まぁ多分発表の頃はピンピンしているはずなんですけど、タチが悪いのは見た目ただの歩き方が変な人なだけで、言い訳にして休めないんですよね腰痛って。そんなこんなでせっせと選句かきかき感想文書かせていただいています。まぁそんなこたぁどうでもいいのです。

前回お話した通り全投句数150句を超えることがあったら「新しい賞」
設けます!というお話、依然有効です。お約束です。
今回は年末という事もありましたが、全111句ご投句頂きました!
お忙しい中ありがとうございます!選んでなかったらごめんなさい。

ところでですけど、今回のお題の写真は俳並連の政調会長、村瀬っちさんに、どうしても雪の画像をとお願いしましたところ幻想的な画像をご提供いただきました!きれいでしょ?

今回も色んな俳句が出そろいました!さっそく各賞の発表をします!!


投句一番乗りの一句!!「ヒマラヤ一番星」はホントに早かった!!

ヒマラヤ一番星


母めく雪 雪めく母とありにけり 髙田祥聖 



そして全投句のちょうどど真ん中!「ヒマラヤバットマン」です!

ヒマラヤバットマン


遠き日を踏む音沈む雪の道 楽花生


今回から投句フォーム本格導入したので、なかなか狙いづらくなりましたよね。おもしろくていいじゃないですか?

  

ちょうど投句100句目(こちらの事務処理基準)だった句にお送りします!

ヒマラヤ百式


百円の聖書めくれば冬の月 雨野 理多


                このみっつの賞は、ほかの賞の候補にもなりますので、          今日も明日以降も要注目です!

百句目が百円句ってなかなかよくできてますよね!びっくりです!
作為的と思われても切ないですが事実です!

それではどんどん行きましょう!「ヒマラヤ苺」の発表です!


ままごとの包丁軽し雪催 銀紙


なにせ「ままごと」なものですから、本物の刃ではないのです。
そんなもん使って遊ぶ子供がいたら恐ろしいですよね。
ですが子供たちにとってはすべてが本当で本物なのです。
ゴザの上は子供らの3DKなのです。夢のマイホームですね。
そのマイホームから見上げる空は今にも雪が降りそうな曇天。
子どもたちは不意に現実に戻って本当の家に帰るのでしょうか?
ままごとの包丁の軽さに戸惑いながら暖かい家に帰るのでしょうね。


緋角巻ひとりに夜はひろすぎる げばげば


ジャパニーズポンチョと言えそうな防寒着は「夜」に呑み込まれそうな皮肉な「緋」色。中七の「ひとりに」の「に」に舌を巻きました。
「ひとりの」でもよさそうじゃないですか?でも「に」なのです。
微妙にニュアンスが変わってくる一文字です。
ですが「ひとりに夜はひろすぎる」と感じている女性の行く先を慮ると、
急に「夜」の闇の色、「角巻」がいるような寒さ、積もっているだろう雪の白にぼんやりと「緋」がうかんでくるのです。
「ひとりの」だと出てこない温度や景が浮かんできました。               


冬木立くらえ十六文キック 丁鼻トゥエルブ

                                  世代が出るよなぁというのがこの句を読んだ第一印象でした。
今どきの若い子の子供の頃に「十六文キック」などと口に出したことがある子がいるだろうか?
ボクの子供の頃もやや怪しいです。調べたりしていませんが。
この一語で世代感というか時代感が出ます。懐かしいわぁ・・・。
こんなきれいな兼題写真に対して「くらえ」と「キック」してみるというのも面白いアプローチだと思います。


シベリアをふるまふやうな冬の朝 麦のパパ

                                  「シベリアをふるまふ」とは・・・??
あの国から土地をふるまっていただけるのでしょうか?
んなわけもなくて、今でもあるのでしょうか、カステラに羊羹を挟んだお菓子「シベリア」ですよね。これならいただきやすいですね。懐かしい。
けど「やうな冬の朝」なのです。お菓子をふるまうようなって一体・・?
寒い寒い朝は、本当にシベリアの空気を切り取ってふるまわれてしまったようなそんな気分になってしまいそうです。


六花みてむせかえる胸戦禍の夜 鈴音(りん)

                                  季語「六花」を普通に『むつのはな』と読んでもありですし、そういう意図だと思うのですけど、ボクは勝手に『ろっか』と読みました。
何故かというと中島みゆきの曲にこの字で『ろっか』と読ませる曲のタイトルがあるからです。これはボクの勝手なこだわりです。
勝手な思惑は時として多くの人を巻きこんで誰もが辛い思いをする「戦禍」を呼んでしまうこともあります。
作中主体は「六花」を空に見つけ遠い国に思いを馳せているという気持ちが「むせかえる」という措辞で痛いほど伝わってきます。
『むつのはな』も『ろっか』も自由で良しとなるのならば。


吹雪を歩くあるくあるくあるく あ、ロースカツ いかちゃん

                                  本当に面を喰らった一句でした。
なにをどうしてどうなったらこうなるのか。果たして俳句なのか。
けれども季語「吹雪」に、ただ「あるく」と繰り返すだけで過酷な雪中行軍の姿が見えてきたような気がしてくるのです。無口な人がただの白い道を・・・・「あ、ロースカツ」ですって!??なんとも衝撃的な一言です。
まるで『マッチ売りの少女』のような幻想を雪の中に見たのか、
それともたどり着いた家で用意されていたのか・・・?
切なくとも、楽しくとも読める、そんな句でした。


冬暁を真つ直ぐ歩く イサク

                                  目を疑った句第二弾!五度見六度見しましたが、下五がない・・・?
字足らず自由律というヤツですよね。こういうのって作者が言いたいことを言い切ったという事であるとYoutubeで聞いたことがあります。
季語「冬暁」ですので、雪のニュアンスよりも明け方のニュアンスが強く、そんな街を「真つ直ぐ歩く」のです。ひたすらに。
ここで終わるこの一句は、春に向けて力強い一歩のようにも、希望に向ってゆく力強さにも感じられました。


まっさらな冬の朝を踏む右足 村瀬っち 

                                       雪が好きではない都会育ちのボクとしては、雪や冬に対してあんまり持てない感情ですが、なんらかの『希望』を見出す句も多く、勉強になりました。
次に来る『春』になのか、はたまた『ロースカツ』になのか。
この句には『雪』と直接書かれていませんが、「まっさらな冬の朝」という措辞が誰にも踏まれていない雪を思わせますし、歩いたことのない期待の未来を思わせます。
ゲンを担ぐように作中主体は「右足」からその一歩を踏み出すというこの句は、春に転機を迎える人へのエールの一句かもしれませんね。


白雪姫も老いてひたすら大根擂る ノセミコ

                                   雪の写真を見て『白雪姫』が出てくるのは、意外に珍しいかもしれません。
ボクがあちこちで言っているのでお察しの方もおありかもしれませんが、
昔話や童話は実は大好きなのです。ハッピーエンドの『白雪姫』ももちろん好きです。が、彼女の老後まではさすがに想像したことはなかったです。
結婚した王子様か、七人の小人になのか、ただ「ひたすら」に「大根擂」ってなんらか手料理をふるまっているだなんて、ウルトラハッピーエンドじゃないですか!
「白雪姫」がお元気そうでお達者そうで、ほんわかしました。


冬夕焼今日はピアノ弾きたくない 立田鯊夢            

誰にだって気分が乗らないという日はありますよね。
作中主体は決して「ピアノ」そのものが嫌いになったわけじゃないのです。
なんなら好きなんだと思うのです。
でも、けれども今日は「弾きたくない」のです。ただそれだけで理由はと問われれば「冬夕焼」がきれいだったからなのでしょうかね。
「冬夕焼」だって、たまにはさぼってもいいんじゃない?と語りかけてくれてるようです。下五の措辞とは裏腹にとても繊細で優しい一句だと感じました。ボクもさぼりたいです。色々と。


犬橇跳ぶや糞を蹴散らし撒き散らし 北欧小町

                                  犬橇と書いて「のそ」と読むという事です。知らなかったわ・・・。
動物ですもんね、競馬の馬もパドックでテレビカメラの前でどっさりアレを出す奴もいるんです。
通はそれを見て調子の良し悪しを判断するんですって。
犬はどういう気持ちかわかりませんが、橇を全力で引っ張ります。
雪も糞もお構いなしに力強く。「蹴散らし撒き散らし」のリズムは心地よく響きますね。ものすごい臨場感を感じました。
しかしながら犬も当然くたびれます。犬橇レース中死んでしまう子もいるらしいですね。それを思うと蹴散らした糞も彼らの生きてきた証のように思えてきました。糞ですけど。
心地よくて力強い一句なのですが、どこか切なさも感じました。

なお、犬橇の句は数句ご投句頂きました。
どの句も素敵な句でしたが、犬橇代表としてより臨場感といいますか、
脳内に犬たちの姿を叩きつけてくれたこの一句を僅差で選ばせていただきました。

犬橇中、いわば人間の都合で死んでいった犬たちよ、どうぞ安らかに。


以上になります!                          明日は皆さんの感想文をご紹介させていただきますので お楽しみに!! 


第十五回 ヒマラヤなんちゃって句会
   
「ヒマラヤ龍」発表!!
「ヒマラヤ地」発表!!
「ヒマラヤ天」発表!!

ヒマラヤなんちゃって句会 アーカイブ
俳並連1st句集 「ふんわり」


恵勇先生の俳句小説シリーズ 
「ほんとはね」 ヒマラヤで平謝り

選句 本文 編集/ヒマラヤで平謝り 
兼題画像/村瀬っち        
SpecialThanks/髙田祥聖 カニくん


お試しで作ってみた項目ですので、本当にサポートしていただかなくてもいいのですが、万が一なんとなくそんな気分でしたら・・・!