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第十六回 ヒマラヤなんちゃって句会                                     「ヒマラヤ天」発表!!


Twitter@himahira19で行っていた句会の結果発表の最終日です。

お待ちどうさまです!

今日はさっそく、画像を提供してくださった、このはる紗耶様が選んでくださった「このはる天」を発表しちゃいます!




しづかなる福音として手折る梅 鈴音(りん)       

         

滅びを経験した地は蔦に覆われ、人の気配は薄いように思えてくる。
木々は思い思いに枝を伸ばし、茂り、実り、冬を越してまた咲き、若葉へと。それを繰り返してきた。
希望なんてなさそうに思えたとしても、この地で癒される心というのもまたあるのだろう。永い間咲かなかった梅にもついに蕾がつき、ほころんで。色と香りは五感を目覚めさせるかのよう。その枝にゆっくりと伸ばされた手は、愛でるように触れてからそっと、それでいてあっさりと手折る。
幸せと愛情と仄かな残酷さが同居する景には人間の存在を考えさせられる要素が潜んでいるように感じられた……。


それでは「ヒマラヤ天」を発表しましょうね!


たんぽぽのわたが脱獄してるなあ いかちゃん               


これは参りました。
季語「たんぽぽのわた」と、作中主体の言葉だけです。
でもただこれだけで、組長がよく言う短編が何本も書けそうな一句です。
「脱獄」とあるので、刑務所の中の人が小さい窓から春の日差しを見上げてるのでしょうか。
病室から入院している子供が空を見ているのかもしれません。
入院の苦痛から「脱獄」という言葉がでてくるのかも。
事情があって引きこもってしまった子が見上げた空かもしれません。
色んなことから逃げてきた職業ドライバーがみた車窓かもしれませんし、
夢を諦めて都会から離れる汽車の窓から見上げた空かも・・・。
めぐゆーくんがアップし始めてもおかしくないくらいいろいろ思いつきますよね。どの物語も「たんぽぽのわた」に自分の気持ちを託しているように思うのです。
「たんぽぽのわた」は風任せにふわふわと飛んでいて、頼りないように一見みえますが、強い風にも姿を曲げずどこまでも飛んで好きな場所に根を張るという強さもあります。
いろんな作中主体は自分の夢や祈りや願いを、季語「たんぽぽのわた」に託し、ひょっとしたら勇気づけられたり、遠くの誰かを思い出したり、やる気を出そうと決めたり、自分の決断に自分を納得させたりするのかもしれません。こうやって色々と思いを馳せることができるのは、「脱獄」という強めで、非日常で、且つ読み手に色んな解釈をさせることができる言葉のチョイスのおかげでしょうか。
まさにシンプルイズベスト!無駄が一切ないのに無駄に色んな妄想をさせていただきました。まさに俳句のひとつのお手本のようでした!
そして「ヒマラヤ地」の時にもお伝えしました通り、地も天もほぼ横一線だったのですが何故この句を天としたかというと、選句の時にこの句が頭からずっと離れなかったという点でしょうか。まさに「たんぽぽのわた」が自由に飛んでゆくが如く、本当にいろいろ想像妄想させていただきました。

・・・と、ここまで書き終え作者を開けてビックリ!
俳句ポスト「鳥雲に入る」という難問兼題で堂々特選をいただいていた、
あの、いかちゃんではないか!
第三回のときも、先に発表された「流れ星」で特選採っていて、なんだか後出しじゃんけんみたいではずかしくなっちゃったものですが、今回も被るとは・・・・!
まぁヒマなんも残りわずかですし、貴重ですから笑ってお納めください!


それではいよいよ次回は本当に最終回!
ガッツリ名句おまちしてまっせー!!



第十六回 ヒマラヤなんちゃって句会

「ヒマラヤ苺」等々発表!!
「ヒマラヤ龍」発表!!
「ヒマラヤ地」発表!!

ヒマラヤなんちゃって句会 アーカイブ
俳並連1st句集 「ふんわり」
恵勇先生の俳句小説シリーズ! 
「ほんとはね」 ヒマラヤで平謝り

選句 本文 編集/ヒマラヤで平謝り 
兼題画像/このはる紗耶    
SpecialThanks/髙田祥聖 カニくん

お試しで作ってみた項目ですので、本当にサポートしていただかなくてもいいのですが、万が一なんとなくそんな気分でしたら・・・!