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第十三回 ヒマラヤなんちゃって句会         「ヒマラヤ苺」等々発表!!         

first anniversary!


Twitter@himahira19で行っていた句会の結果発表を5日間にわたり行います。5日間の日程についてはこちらをご覧ください。

                                 「ヒマなん句会」に投句された皆様へ

みなさんたくさんたくさんおめでとうのお言葉をいただきましてありがとうございます!!
去年のちょうど同じころにこんな変な句会がはじまりました。
よくもまぁ続いたものですね。お付き合いいただき申し訳ありません。
今回の句会では色々とお祝いの「オマケ」がありますので、要注目です。
主催がお祝いを用意ってなんか変ですけど、楽しく準備しました!

さて、ここ一年やってきて「自分で出した一番印象に残ってる兼題は?」
と、問われたら「第二回の人魚姫」と答えます。
人魚姫に対するアホみたいな熱い想いは、第二回ヒマなん句会を参照してください。いろいろ苦労したなぁと今見ても思います。早くも懐かしい。
一周年記念のお題にはもうこれしかないなと思い、こうしました。

今回も魅力的な人魚姫を見つけました!全127句ご投句いただきました!
すごいですよね!ありがとうございます!

今回も色んな俳句が出そろいました!さっそく各賞の発表をします!!



投句一番乗りの一句!!「ヒマラヤ一番星」はさっそく美麗な一句!!


ヒマラヤ一番星


結露して落ちてきそうな天の川 鈴音(りん)


                                                                                                                            そして全投句のちょうどど真ん中!「ヒマラヤバットマン」は流れてます! 

                                ヒマラヤバットマン


流星が流星に流星になりたい はんばぁぐ


                                   ちょうど投句100句目(こちらの事務処理基準)だった句にお送りします!  
   

 ヒマラヤ百式


星々に夜風のにじむ洗い髪 菅井香永



このみっつの賞は、ほかの賞の候補にもなりますので、          明日以降も、もちろん今日も要注目です!
見事に星ばかりが集まりましたね!


それではどんどん行きましょう!「ヒマラヤ苺」の発表です!


また人魚だと指差され夏薊 梵庸子


ボクはそうは思っていないのですが、世間的には「人魚はいない」ものらしいです。そんな世の中にひょっこり人魚が現れようものなら指を指されて驚かれてしまうし、アザラシのたまちゃんくらいに見かけるようになってもやはりまただまただと指を指されてしまう。人魚にも心があるならば、言葉が通じようが通じまいが大いに傷つくことでしょう。季語「夏薊」の孤高な雰囲気に、指を指されてしまう人魚の本音が込められているようでした。
あと薊という字に「魚」が入ってるところもお気に入りポイントです。

                                   

夏の潮いなくなりたい掻き消して はちご仔拾


どうしていなくなりたいと人は思ってしまうのでしょうか。
その人なりに色々あるのでしょう。この句は一見いなくなりたい人の句と思わせて、実はそんな思いを掻き消してしまいたいと願うという、強い一句でした。ただただいなくなりたいと思う悲しみと、そこから立ち上がって何とかしようというイノセントな強さを、季語「夏の潮」が優しくそっと抱きしめているようです。なんだかわかりませんが頑張れ弱虫!と言いたいです。

                                     

香水を一滴ヒトになる儀式 嶋村らぴ

                                  兼題と照らし合わせると、人魚がヒトとなるのを夢見て香水を、という句かもしれませんが、兼題を外してみますと、香水を初めてつける女の子が大人の階段として、より綺麗になる儀式としてつけるというカワイイ句とも、
謎の生命体がヒトに化けて人間界に溶け込もうとするその儀式として香水を・・・というSF句とも読めますよね?深読みすればするほど面白くなってゆくのですが、少女漫画のようなカワイイ一句でした。


泳がぬと申すか信長忌の人魚 オペラ座の俳人

                                  今回の投句で、異色という言葉はこの句のためにあると思いました。
なにがどうしてそういう状況になったのか知るすべは一切ないのですが、
なんだか信長さんに対して人魚が突っぱねたのでしょうか。忌日ですが。
こういう状況になるまでのドラマを考えると、上下巻の本が書けそうです。
季語「信長忌」は夏の季語というのを初めて知りましたし、
「泳がぬと申すか」の九音は俳句と相性がいいような。脱帽です。


対岸へ放つソプラノ水澄めり 鳥田政宗 

                                  恐らく人魚が届かない想いを歌に託して、切々と歌い上げているのでしょう。届かない気持ちを歌い続けても、潮騒や岩礁に吸い込まれてゆくだけだというのに。きっとそんな事わかっていても、歌うしかない、歌わざるを得ないという想いや気持ちが、「放つ」の一言で表れているようです。
季語「水澄めり」とすることで、歌うしかなかった者の心をほんの少しでも癒してくれていることを祈りたいです。


抱きあふのと一緒星月夜に唄へば ツナ好

                                  季語「星月夜」に唄えば、「抱きあふのと」同じくらいの安らぎを得る。
切々と届かない気持ちを歌い続ける気持ちもあれば、安らぎを得る事もあるというのはなんとも歌とは不思議なものですね。
ですが前提として抱きあっていた過去があって、今はそうではないから唄うのだろうと思うと、それはそれでなんだか強がりのようで切ないですね。
心の傷は唄でしか癒せないものなのでしょうかね?


                

ボーイズラブへ祝福の星月夜 キートスばんじょうし

                                  ボクが俳句を独りよがりで詠み始めてしばらくして、Twitterにたくさん俳人がいるのをやっと知って、多くの方とお知り合いになった頃、
「BL俳句」なる言葉を教わりました。なんだそれ?尋ねてみると「BLな俳句です」としか教えていただけませんでした。色々調べて、BL漫画もちょっぴり見て、この世界もこれはこれで切ないなと思わされました。
人魚姫の世界もBLにも、季語「星月夜」の祝福あれ!


主人公じゃない人魚の夏の果 鷺沼くぬぎ

                                  これは一本取られた気分でした。人魚姫の物語の登場人物に人魚は、一人ではないのです。お姉さまたちもいますし、どれだけ世界の海底に分布されているのかはわかりようもないのですが、物語に出てこない人魚もそりゃいるのです。歌って泳いで過ごし、大きな船が転覆するような嵐の日は海上になぞいかず、海の深いところで嵐が去るのを待って過ごすのです。それが日常なのですから。人魚姫もそうであったらとつい思ってしまいました。


尾鰭得て失うものは夏の星 平良嘉列乙

                                  きっと人魚姫が最後に魔女の言う通りにしたら、元通りの日常を取り戻すことができたでしょう。痛みを伴っていた人魚姫にとっては不自由な足は尾鰭に戻り、 再び歌ったり泳いだりしていた日常に戻れるのでしょう。
しかし、失うものは、季語「夏の星」というあまりにも大きいものようです。ひょっとしたら代償として視力を奪われたのかもしれませんが、
きっと人魚姫にとっての「夏の星」とは、王子様の事なのでしょう。
あのクソ魔女め・・・。けれど、それでも、生きている人魚姫という結末もボクは見てみたいと思うのです。 


対岸の君永らえよ星月夜 多木紫蝶


きっと人魚姫がクソ魔女なんかに願い事をしなかったら、変わらない日常を過ごしていたことでしょう。広い広い海でお姉さま方と楽しく歌って過ごし、普段何を食べているか知りませんが、なんかおいしい海藻でも食べるでしょう。たまに刺身なんか食べたりして。
けれど心にぽっかりと空いた穴はどうなるでしょうね。ひとりの夜になるとひょっとしたら魔女の言うとおりにしていたら・・・などとつい考えてしまうのかもしれません。美しい季語「星月夜」が、慰めているかのようです。


                                             

月見草笑い皺だけ覚えてて このはる紗耶

                                  まず、季語「月見草」と中七下五の親和性に大いに驚かされます。
今際の際のおばあさんが、王子様のように優しくしてくれたおじいさんに、最期に伝えた言葉なのかもしれないと読みました。笑い皺が深く刻まれるほどの楽しい日々を過ごしましたと感謝を伝えているのだと思います。
そこに季語「月見草」の包容力があまりに優しくてもう泣きそうです。
そう、人魚姫。人魚姫の物語もできたらこんな優しい終わり方であったらと、願わずにはいられません。忘れないよと伝えてあげたいです。 
                                                

   

以上になります!                          明日は皆さんの感想文をご紹介させていただきますので お楽しみに!! 
             

第十四回 ヒマラヤなんちゃって句会
投句受付は10月17日(月)~10月31日(月)です!!
忘れないでねー!!
ヒマラヤなんちゃって句会の今後について

第十三回 ヒマラヤなんちゃって句会 
                

「ヒマラヤ龍」発表!!   
「ヒマラヤ地」発表!!
「ヒマラヤ天」発表!!

あわせて読みたい!恵勇先生の俳句小説シリーズ!  

句養物語 流れ星篇                         句養物語 花野篇
句養物語    蓑虫篇 ←New!!待ってたぜ!!
巣立鳥

ヒマなん句会の歴史のすべて!
 
                   
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選句 本文 編集 兼題イラスト/ヒマラヤで平謝り 
見出し画像/ゆきまち          
SpecialThanks/髙田祥聖 カニくん



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