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第十六回 ヒマラヤなんちゃって句会         「ヒマラヤ苺」等々発表!!


Twitter@himahira19で行っていた句会の結果発表を5日間にわたり行います。5日間の日程についてはこちらをご覧ください。
                                 「ヒマなん句会」に投句された皆様へ

今回は全97句ご投句いただきました!ありがとうございます!

どうも「同じ映画か何かのシーン」「同じゲーム世界」をモチーフにしているのでは?と思われる句がありましたよね。
そりゃみなさん同じ写真で一句ひねってるんですから、あの映画、あのゲームのあの場面を思い出すなんてことありますよね。
なにせ詠んだ作者自身が一番びっくりするんでしょうね。
「あ!あたいの句とこの句被った!!」みたいな。
そういうのは類想というのかもしれませんが、それぞれちゃんと個性が出ていて、ホント選句大変!ギリギリまで悩みぬきました。
句会ライブでボクの白髪が増えていたり髪が薄くなってても、そっとしてあげてください。

さて、今回はこのはる紗耶様から兼題写真をいただきました!
今回このはるさんから「天」「地」いただきましたので、お楽しみに!

そして、画像へのコメントもいただきました!

ヒマラヤさん、写真の採用と特設の選の機会をありがとうございました! 
選のコメントは鑑賞文というよりも想像の産物を書かせていただいています。イメージと違っていたら申し訳ありません、でも楽しかったです!
写真の撮影地は昨春まで住んでいた佐渡島にある、北沢浮遊選鉱場です。 
ラピュタみたいと言われていて、ご存知の方も多いかなと思っていました。見抜かれた感のある句もたくさんあって嬉しかったですし、それにとらわれず発想を飛ばして想像を広げていただけたのも嬉しいです。
ありがとうございました!
皆さんも、もし旅されることがあれば吟行がてら訪れてみてくださいませ。佐渡、食べ物も風景もいいですよ〜!          

                                                                                                    このはる紗耶

※このはるさんの本文にあったURLはリンク切れしていたので、
探して代わりのURLを貼りました。

こ、国内だったんですね・・・。ありがとうございました!
さぁ今回も色んな俳句が出そろいました!さっそく各賞の発表をします!!


投句一番乗りの一句!!「ヒマラヤ一番星」は??

ヒマラヤ一番星


蔦茂る廃病院を大鴉 みづちみわ


そして全投句のちょうどど真ん中!「ヒマラヤバットマン」です!


ヒマラヤバットマン


青蔦に埋もれた未来だった過去 村瀬っち


               
 なんと!我が俳並連の独占!!

      このふたつの賞は、ほかの賞の候補にもなりますので、          今日も明日以降も要注目です!


それではどんどん行きましょう!「ヒマラヤ苺」の発表です!


春宵のエッシャーの絵をさかさまに 天玲 


エッシャーとは、騙し絵みたいな不思議な絵を描くアーティストです。
この句ではその不思議な「絵をさかさまに」してしまうのです。
絵によっては逆さかどうかもわからない絵もありますが、この不思議な感覚が季語「春宵」に不思議とフィットします。
逆さにすることで春の夜の不思議な浮遊感を感じることができるのです。
まるで夜桜見物している酔客の感覚といいましょうか?
みなさんもありませんか?夜桜を眺め続けていたら吸い込まれてしまいそうになる感覚・・・。この句はそんな不思議句でした。


ケルヒャーに耐える蝸牛の親子    大山和水     


エッシャーの次はケルヒャーです。
調べるとどうやら通販番組で見た憧れの高圧洗浄機のことのようです。
ドイツでは高圧洗浄機で掃除すること自体をそう呼ぶらしいので、日本語的に言うと「ケルヒャる」とかになるんでしょうかね?
あの物凄そうな水圧を耐える「蝸牛」のしかも「親子」!健気ですよね。
よくぞという思いもありますが、「蝸牛」の吸着力も恐るべしですが、
逆に「ケルヒャー」の効果を疑いたくもなりますね。けどここは「蝸牛」の親子の絆に感動するところでしょう。いやぁケルヒャー欲しいですね。


オリオンの秘か天馬の飼葉桶 丁鼻トゥエルブ                                                                 


あの兼題写真の緑は「天馬の飼葉桶」だと断定した、なんとも壮大な一句。
さぞかしわっしゃわっしゃ食べることでしょうと何となく思っていたら、
「オリオン」とは冬の季語。「天馬」は冬の時期にだけこの写真の頃にだけ食べに来るのでしょうか。他の季節はどうなんでしょうね?
ひょっとしたら冬だけ星になって、蔦が生えそろった時たべにくるんでしょうか?「密か」ではなく、「秘か」だというところが、なんとなく「天馬」のいじましさというか、健気さかわいらしさが見え隠れしますね。
壮大であり、幻想的。
それでいてかわいく愉快というお得な句だなと思いました。


巣鳥やかましゴーレムは森のいろ    ツナ好     


「ゴーレム」とは確か魔術師的な人が自分を守らせるために土や石から創り出した忠実な魔法生物。ドラクエⅠでも街を守っていましたね。
主である人間が死んだ後も、「ゴーレム」は静かに敵を待ち続けます。
何百何千年と。その「ゴーレム」が何者の侵入に気付き目を覚ましたかのように起き上がるときの「巣鳥」の「やかまし」さ、「ゴーレム」の身体に着いた蔦や苔はまさに「森のいろ」。この一句で鮮やかに光景や、燃え立つような鳥の声、木々のゆれる音、枝木の折れてゆく激しい音が一気に立ち上がってくるようです。そして主のすでにいないことを理解できない「ゴーレム」を憐れむ気持ちもまた、この句で気づかされるのです。


オラも見たつぺ髪が若布で足が蛸    元野おぺら                                                                  


こういう句をいただいていいのかどうか大分悩みました。
季語「若布」が主役かどうか悩ましいところです。(実際こんなのいたらいやがおうでも若布に目が行きそうですが。)俳句道場に同じ句出してみてもらいたいものですが、ボクはヒマなん句会をやってきて思うのです。
たったの十七音で想像を膨らませて泣かせることも、忘れていたことを思い出すことも、怒れることも、そして笑わせることもできるというのがまさに俳句の力なんだなぁと。この句一目見てふふふってなりましたもん。
「みたつぺ」と「つ」が大きいのが俳句的な表記であるのがまたおかしくて。一体「オラ」はなにをみたんでしょうね。


緑陰や戦場跡へゴスロリ来 葦屋蛙城


すごいもんがやってきました!なにしにやってくるんでしょうかねあんな格好で。想像するとあの兼題写真と「ゴスロリ」がミラクルフィットしてくるという不思議。イメージ的に「ゴスロリ」の女性は口数が少ない色白でどこか冷たい雰囲気のあるフランス人形みたいな人なのでそんな真っ白な肌に真っ黒でふわふわな服、蔦の緑に壁の灰色の全体的に排他的な雰囲気がしてきます。どういう世界観の句なのか存じ上げませんが、映像喚起力はピカイチだとおもいませんか?そしてなんとなくですが、「ゴスロリ」の女性のつぶやきがどこからともなく聞こえてきそうです。


バイエルは未だ終わらず蔦若葉    桃園ユキチ   


「バイエル」とは有名な音楽家の名前なのですが、ピアノをこれから習う人が手にする教則本のことを指すようです。
ボクはピアノなんて音楽室でツンツンと突いたことしかありませんが、
本格的に弾ける人なら「バイエル」に心当たりがあるのでしょう。
それが「未だ終わら」ないのです。ピアノを習い始めの子供なのかもしれませんし、大人になってからチャレンジしはじめたのかもしれません。
「未だ終わらず」という措辞がやや後ろ向きなイメージですが、季語「蔦若葉」の初々しさ、明るさが「バイエル」に前向きなのが伝わります。
きっと蔦のようににゅるにゅるとゆっくりがんばってしがみついてゆけば、ピアノ今以上に弾けるようになるんでしょうねという暖かい予感がします。


夏野ゆく少女の銃はみづのいろ みずな


一読して水鉄砲をもってキャッキャウフフしている楽しい景なのかなと思いました。まぁそれ以上でもないのかもしれませんが、句全体のどこかシュっとした勢いがとてもカッコイイと思いました。きっと上五がバシッと決まってるからなんでしょうね。あと、ひょっとしたらどこか戦地に赴く景なのかもしれません。ジブリアニメの世界のように「少女」が何かを求めて戦いに行くところかもしれませんね。「みづのいろ」というのが少女の持ち物のようにオシャレな水色を思わせつつ、実は「みづ」のように透明で、実際の銃ではなく、心の中にある信念、強さのようなものを示しているのかもしれません。力強い伝説の「少女」像がこの句によってすっと現れます。


岩燕こんな大人になってまで 恵勇


「こんな大人になってまで」とは、「岩燕」でしょうか。
作中主体でしょうか。それとも作者から問いかけられている我々の事でしょうか。中七上五の措辞が重たくじんわりと響きます。
「こんな大人になってまで」、ボクは何をしてるのだろう。と、まるまる歌詞になりそうなフレーズが浮かんできます。いい年になりましたが、子供の頃見ていた大人はもっと大人だったような。こんな大人になってまで、泣いたり笑ったり傷ついたり喜んだりと忙しくしています。
季語「岩燕」も産卵期であり、ジュリジュリ、ピィピィと忙しく巣作りに子育てしています。彼らも大人です。
そんな彼らの姿をみて、ボクは自分を「こんな大人になってまで」なにしてるんだろうとぼんやり考えてしまいます。なのに一方このフレーズを「岩燕」に向けると、巣作りや子育てする懸命な姿を健気さを感じやさしく問いかけるフレーズにも思えてくるから不思議な一句です。
ボクの頭上を「岩燕」が勢いよく、今まさに、遠い空へと翔けていきます。



以上になります!                          明日は皆さんの感想文をご紹介させていただきますので お楽しみに!!
 

第十六回 ヒマラヤなんちゃって句会


「ヒマラヤ龍」発表!!
「ヒマラヤ地」発表!!
「ヒマラヤ天」発表!!

ヒマラヤなんちゃって句会 アーカイブ
俳並連1st句集 「ふんわり」
恵勇先生の俳句小説シリーズ 
「ほんとはね」 ヒマラヤで平謝り

選句 本文 編集/ヒマラヤで平謝り 
兼題画像/このはる紗耶  
SpecialThanks/髙田祥聖 カニくん


お試しで作ってみた項目ですので、本当にサポートしていただかなくてもいいのですが、万が一なんとなくそんな気分でしたら・・・!