「デジタルの顧客のニーズ」を最短で、的確に、満たし続ける!(デジタルマーケティングの定石)
垣内勇威著「デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?」を読んだ。
本書を読みながら、自分自身のマーケティング業務を振り返ると、私も「成果の出ない施策」を行っていたことに気が付いた。
デジタルの顧客の特徴
本書を読んでいて「顧客理解」と「デジタルの顧客理解」の違いを意識することが重要だと感じた。
普段、顧客と一番接していて、社内で一番「顧客」を理解している営業ですら、「デジタルの顧客理解」は出来ていないという。
デジタルの顧客の特徴は下記の通りだ。
デジタルの顧客の特徴
▶自分の好きなもの以外は、一切見ない。
▶3秒以上の営業トークは無視される。
▶訪問直後にほんの少しでもユーザの期待とずれた話をすれば、一瞬でユーザは去っていく。
▶検索経由でwebサイトに訪れてから離脱するまでの平均時間はほとんどが1分未満。
▶目的に向かってまっしぐらに情報を探す。
「デジタルの顧客」は、自分の目的達成のためにまっしぐらで、それ以外の情報には目もくれない。
このような「デジタルの顧客」に対しては、ユーザのニーズに応えるコンテンツをわかりやすく伝え続けることしかできないと考えた方が良いことを学んだ。
デジタルマーケティングの業務の中で、これまで大切だと感じていた、Webサイトの「デザイン」や「統一感」などは、実はユーザにとっては、全然重要ではないということが、かなり衝撃的だった。
デジタルの顧客を理解する方法
通常の顧客理解と同様に「デジタルの顧客」を理解するためにはアンケートやユーザヒアリングが効果的だ。
デジタルの顧客を理解する方法
▶アンケート:何をしに訪問したかを質問
▶ヒアリング:調査対象のサイトを利用するまでの経緯をヒアリング後、普段通りサイトを操作してもらう。操作中は話しかけず、操作終了後に行動の理由を根掘り葉掘り質問する。
本書で紹介されていた事例では、アンケートの結果、エンドユーザーが多く音連れると考えていたメーカーのWebサイトにはエンドユーザーよりむしろ店舗スタッフが多く訪れていたこと。ヒアリングの結果、大きな目立つ画像をでジタルユーザーへアピールしていた内容が全く認知されていなかったことなどが判明したという。
デジタルの顧客を理解する問い
これまでオフラインで接していた顧客とは大きく異なるデジタルの顧客。
この「デジタルの顧客」を理解するためのヒントとなる問いが紹介されていたのでまとめた。
デジタルの顧客を理解する問い
▶お客さんは誰だろう?
▶そのお客さんはどこにいるのだろう?
▶そこで何を期待しているのだろう?
▶何を伝えれば喜んでくれるだろう?
▶さらに手伝えることはあるだろうか?
▶自分は対価をもらった分の価値を出せるだろうか?
▶初めて自社・自社製品を知ったのはいつ・どこで?
▶初回購入の参考にした情報はなに・どこで?
▶初回購入はいつ・どこで・なぜ?
▶継続・リピート前に参考にした情報はなに・どこで?
▶継続・リピートはどこで・なぜ・どの頻度で?
このようなアンケートを定期的に行うことで、正しく「デジタルの顧客」を理解することが出来る。
デジタルの顧客のニーズを満たす
デジタルのマーケティング施策で大切なのは、アンケートやヒアリングで理解を深めた「デジタルの顧客」のニーズを最速で的確に満たすことだ。
本書によると、常に自分の目的へ直行する「デジタルの顧客」を商談・受注・継続購入へと導くには、「最速で満たすこと」が唯一の解だという。
まとめ
本書を読んで、自分が「デジタルの顧客」の特徴を全然理解出来ていなかったことに気が付いた。また、デジタルマーケティングで最重要なのは、ユーザのニーズを「最速で満たすこと」。つまり、アンケートやユーザヒアリングで「デジタルの顧客」を理解して、ユーザのニーズにあったコンテンツを分かりやすく、的確に、端的に、発信し続けることだ。
デジタルマーケティングは、技術の進歩や流行りすたりで、広告運用、Web改善・リニューアル、SNS運用、MA活用など、様々な手段が次々と登場し続けると思う。それぞれの手段ごとに何冊も本が出版されたり、マーケター向けのホワイトペーパーやWebinarがあちこちで溢れたりする。このように様々な手段について、ひとつひとつ学習して、試して、使いこなしていくことは、もちろん大切だと思うが、手段に固執しすぎて肝心の「デジタルの顧客」の理解を忘れないようにしたいと強く感じた。
まずは早速、既存のユーザアンケート・ヒアリングの実施が出来るように、動き出してみようと思う。