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初めて”SDGs”を中小企業で進めるために大切なこと(小さな会社のSDGs実践の教科書)

青柳仁士著「小さな会社のSDGs実践の教科書 1冊で基礎からアクション、マネジメントまでわかる」を読みました。

中小企業で働いていると、大企業に比べて、SDGの社内での認知や取組は盛り上がっていませんでした。特に、年齢が上の社員ほど「SDGsって何?」と思っている人が多い状況でした。

しかし、最近、SDGsに関心が高い若手を中心に「SDGsの展示をしたい」という話が社内で進むなかで、SDGsに関連付けるだけの対外的なPRをする(SDGsウォッシュ)のは良くないと感じて、自分自身も改めてSDGsについたの勉強を始めようと本書を手に取りました。

タイトル「小さな会社のSDGs実践の教科書 1冊で基礎からアクション、マネジメントまでわかる」の通り、中小企業がSDGsに取り組み始める方法、進め方を大きく7つのStepに分けてわかりやすく解説している本でした。

今後、SDGsの取り組みを社内で始め、進めていくために大切だと感じたことを順にまとめておこうと思います。

Step1. SDGsをはじめよう!

Step1のSDGsを始める段階では、大きく以下の3つアクションが必要です。

① My SDGsを見つける
② 意思を形にして表す
③ 簡単な行動からはじめる

SDGsの達成に向けて、今すぐにでも自分の行動、個人個人の行動を変えられうことがわかりました。

SDGsに取り組む際に、どのゴールに取り組むのかを選ぶのが難しいと感じていました。しかし、「自分の心が動く」「なんとなく興味関心がある」「これは解決しなければいけないと感じる」という動機が、自分が取り組むSDGsのゴールを選ぶ充分な理由になるとわかりました。

例えば、私は、SDGsの10番目のゴール「各国内及び各国間の不平等を是正する」に興味関心があるので、会議の際は必ず全員の意見を聴くように心掛けたり、海外の文化・宗教・ジェンダーなどの理解を深めることで他者の立場をより想像できるようにしたりすることが出来ると気が付きました。

先日、鴻上尚史さんと、ブレイディみかこさんの「何とかならない時代の幸福論」を読んで、「多様性」「社会との繋がり」「創造性」を私は大切にしていきたいと感じていたことも、深くSDGsに関連していると気が付きました。

このように、個人個人が「大切にしたい」「取り組みたい」と感じるSDGsのゴールを社内で集めることは、すぐに取り組めると感じました。

また、Step1を読んでいて印象的だったのは、「頭でっかちにならないこと」「まずは個人としてとにかくやってみること」「ハードルを限界まで下げて、スタートすること」が大切だと書かれていたことです。

何から取り組めば良いか難しく感じたり、しっかりと方針や議論を重ねてから取り組んだ方が良いのではないかと心配になったりしていました。ただ、SDGsの達成のためには、考えるよりも、まずは自分一人からでも行動して、行動しながら軌道修正していくことが大切だと感じました。

Step2. 取り組む課題を決めよう

Step2では、以下のようなアクションをします。

① 既に取り組んでいることで感覚をつかむ
② 解決すべき問題を見つける
③ 未来から解決すべき課題を逆算する

このステップで印象的だったのは、「問題そのものではなくその要因に取り組む」ということです。

SDGsのゴール・課題は、大きすぎてしまい、一企業の活動だけでは達成できません。そこで、SDGsが示す問題そのものではなくて、その鍵となる要因を特定して、そこに自社の強みをぶつけると良いことがわかりました。

私もSDGsの目標が大きすぎて小さな企業で取り組みを始めるのは難しいと感じていました。しかし、SDGsで掲げているゴールの裏にある”課題”の特定、”課題”の要因の分解をすることで、小さな企業でも、強みを活かして貢献できることがあると感じられるようになりました。

例えば、10番目のゴール「各国内及び各国間の不平等を是正する」に企業として取り組むことを考えてみました。国内外の不平等の原因として、様々な原因がありますが、「異文化を理解するきっかけがない」「企業の多様性を高める方法がわからない」「多様性を活かした組織づくりの方法がわからない」という要因があると思います。

これらの要因の解決に貢献するために、「自社社員の出身地域、海外拠点の文化」「多様性を高めるための仕組みづくり」「多様性を活かすための取り組み」を社外に発信することが出来ると思いました。また、これらによって、企業のブランドイメージ向上・新たなビジネスの拡大も図れると思います。

Step3. 共通コストを減らそう

Step3での主な取り組みは次の3つです。

① 社内のムダ、ムラ、ムリを減らす
② 社外との取引を見直す
③ 共通コストゼロを達成する

Step3で紹介されている「共通コスト」とは、社会と自社の両方にとってコストのことです。例えば、明るすぎる照明や、冷やしすぎなエアコンの使用などです。

Step3で紹介されていた「何か新しい事業や活動を始めるよりも、今あるムダな活動を減らすことの方が容易にできる」という考え方に共感しました。

また、「ムダ、ムラ、ムリ」を減らす活動は、SDGsが出来る以前からある「トヨタ生産方式」「カイゼン」などの考え方にすごく近いなと感じました。

これまで製造業を中心に行われてきた、「カイゼン活動」、「5S活動」などを更に強化したり、他の業界に応用したりすることが「共通コスト」を減らすSDGsの取り組みになると思いました。

Step4. 共通価値を生み出そう

Step4では次の3つの行動をします。

① 商品やサービスで共通価値を生み出す
② 企業活動(バリューチェーン)で共通価値を生み出す
③ 地域や業界全体(クラスター)で共通価値を生み出す

「共通価値」とは、「共通コスト」とは反対に、社会と会社の共通の利益のことです。

これまでは、会社が利益を増やすと、社会の利益が減る「トレードオフ」のビジネスが多くありましたが、これからは、会社が利益を増やすと、社会の利益も増える「トレードオン」のビジネスを作っていくことが重要です。

経済活動が悪ではなく、「トレードオン」のビジネス、「共通価値」を生むビジネスが作れるという視点が新鮮でした。

Step5. SDGsビジネスをつくろう

Step5のアクションは以下の通りです。

① 「ジョブ」を見つける
② 顧客を見つける
③ ビジネスモデルをつくる

Step5では、SDGsをビジネスとするために、「ジョブ理論」や「ビジネスモデルカンバス」などの思考方法、フレームワークが紹介されていました。

この中でも特に「顧客が何にお金を払うのか」「人や企業が解決したいと思っているモノは何か」に着目してビジネスに繋げる「ジョブ理論」についてもう少し勉強してみたいと思いました。

新規ビジネスを立ち上げる際は、「ジョブ」「課題」を探すのに苦戦することは多いかと思います。しかし、SDGsのゴールを「ジョブ」「課題」として捉えれば、ビジネスのチャンスはものすごく沢山あることに気が付きました。

Step6. SDGsを会社に定着させよう

Step6では次の3つのアクションをします。

① SDGsを会社の理念や方針に取り組む
② 経営戦略として活用する
③ 外部へ発信する

このStepでは、SDGsを会社へ定着させるために、理念や方針に取り込んだり、経営戦略と活用したりすることが書かれていました。

会社の方向性、大切な計画に関わっていることなので、このStepを実現するには、会社の上層部を巻き込むことが特に重要だと感じました。

また、中小企業でSDGsを定着させていく際は、あれもこれも取り組もうとするのではなく、1つの柱を軸にして徹底的に社会価値を拡大していく方法がベストという言葉が印象的でした。

大企業に比べて、足りないもの・出来ないことが多い中小企業でも、きちんとプロセスを踏んで、スコープを定めれば、十分SDGsに貢献できると感じました。

Step7. 成長のサイクルを回そう

最後のStep7では、次の3つのアクションに取り組みます。

① 自己評価する
② 外部の評価尺度を使ってみる
③ 優良事例と比較する

SDGsの達成のために、「企業の取り組みが持続可能か」、「きちんと変化を起こしているか」という2つの視点での評価が必要です。

そして、SDGsの評価のために、国内外に様々な指標があるとわかりました。

また、自己評価のためには、指標を使う以外にも、自社と他社の事例を比べる方法もあるとわかりました。SDGsの取り組み事例はWeb上で閲覧できるサイトが沢山あるので、自社と似た取り組みをしている会社がどのように活動しているかや、自社と似た規模の会社はどのような取り組みをしているかを参考に出来ると感じました。

まとめ

本書を読んで、SDGsを中小企業で始めるためには、何をどのようなステップで行えばよいのかのイメージがかなり膨らみました。

初めは、自分の行動、個人個人の行動を起こすこと。そして、徐々に周りを巻き込み、いずれば私もSDGsの達成に繋がる活動をビジネスとして出来るようになりたいと思いました。

中小企業は、大きな企業に比べて、出来ることやリソースは限られているかもしれません。しかし、適切なプロセスとスコープで行動を起こせば、会社の規模に関わらず、社会と会社と双方の利益になるようなビジネスは生み出せると感じました。

「共通価値」を生み出すビジネスに携われることは、私にとって、仕事で得られるお金以外の対価「喜び」であり「やりがい・生きがい」になると思います。

まずは、「Step1」、初めの一歩を早速、明日、月曜日から踏み出してみようと思います。