とてもシンプルだけど大切な、幸せの時間をうっかり忘れないようにしなければ。(ボッコちゃん)
星新一著「ボッコちゃん」を読みました。
本書に収録されているショートショートの中でも「妖精」というタイトルのお話が印象的でした。
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ある妖精はなんでも願いを叶えてくれる。だけど、願いが叶うとき自分のライバルへその倍がもたらされる。
素敵なボーイフレンド、ルビーの指輪、欲しいモノは沢山あるけれど、ライバルがその倍を手に入れると考えれば、どの願いも妖精へお願いすることができなかった。
結局、妖精には、何もお願いせずに、ライバルのもとへ行ってもらうことにした。
しかし、いつまで経っても、自分には良いことが起こらない。
自分はライバルだと思っていた相手が、自分のことをライバルとは思っていなかったからだ。
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というお話。
印象的だったのは、主人公の願いのどれもが、ライバルと比べた時の相対的な価値ばかりだったこと。
以前、「幸せとお金の経済学」という本を読んだ時、人の幸せは相対的な幸せ(=地位財)と絶対的な幸せ(=非地位財)があると知った。
ついつい、誰かと比較した時の幸せにばかり目が行ってしまい、自分にとって絶対的な幸せは何なのか、見失ってしまいがちである。
相対的な幸せばかり追い求めず、他者との比較によらない幸せを大切にしなければと感じさせる作品だった。
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自分にとって、絶対的な幸せは、
友達や恋人と、美味しくご飯を食べる時間。
天気の良い日に、自然の中でのんびりする時間。
音楽を聴いて、心動かされる時間。
あたたかいお風呂に入って、リラックスする時間。
ライバルがこんな時間を自分の倍、手に入れたとしても、わたしは充分に自分の幸せを感じられると思う。
地位や名誉、名声、賞賛など、誰かと比較して得られる幸せを追い求め過ぎて、とてもシンプルだけど大切な、幸せの時間をうっかり忘れないようにしなければと思う。