生と死

【生きるとはどういうことですか】

質問されたら迷わず『わかりません』と答える。
理由を挙げようと思えば挙げられるのかもしれない。
だけど、どれもしっくりこない…

【あなたはなぜ生きているのですか】
質問されたら迷わず『死ぬためです』と答える。
人間は生まれたら必ず最期の時を迎えるから。

『神様は平等じゃない』と耳にすることもあるけど
生と死に関しては平等であると思ってる。
この世に生を受けたら、みんな死に向かって生きてる。
生まれ育ってきた環境や、遭遇する出来事、経験する事柄、その時を迎えるまでの時間と最期の時の迎え方に違いはあれど【生と死】に関しては平等。
『平等じゃない』と考える人もいると思うけど、
付録のように付いてくる全てのもの(環境だったり理由だったり原因)を取り払った時に残るのは【生と死】という事実だけ。だから平等ではないか…と。

職業柄、人生の最期に立ち会うことが多い。
何十年と生きてきた大先輩が人生の幕をおろす瞬間を看取る。寂しさはあるし、人生を生き抜いたその姿に
「おつかれさまでした」という気持ちもある。
別れの時に直面している家族の寂しさも受け止める。
『仕事』として割りきれないことも多々あるが、割り切ってその光景と時間を見つめる。
さっきまで動いていた心臓が止まる。温かかった手が冷たくなっていく。
紙一重のように存在している【生と死】の境を目の前にしても、生きると死ぬことの意味は分からないでいる。

極論。
【生きる】ことがどういうことなのかは最期の瞬間に分かるんじゃないかと思ってる。
亡くなった方の顔が穏やかになるのは『生きるってそういうことだったのか！』って答えを知ったからじゃないかとすら思ってる。
生きる理由を探すのも、生きてることに意味を見出そうとするのも最期の時に答えを導き出すためのパーツ集めみたいなものなのかな…

…完全に病んでる人っぽいけど、生き辛いと思っても生きてることが嫌になったことはないし病んでない！
生きる意味は分からないけど、生きることが楽しいか楽しくないかで言ったら、たぶん楽しい。
死ぬのが怖いかと問われたら分からない。経験したことがないから。そう、いま自分と関わっている人すべての人が経験したことがないから。

【生きるとはどういうことですか】
生きる意味は分からないけど、死ぬ時に答えを導き出せるようにパーツ集めをすることです。
なにがパーツになるかは謎だけど、自分生きてるなぁと実感できる『ココロ動くモノコトコトバ』を探して求めて生きていく、死ぬために。