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鈍行列車プチ旅(名古屋~大阪間)近鉄編④

友達と遊ぶために大阪に行く際、僕はだいたい昼飯前に友達と合流するので、朝早くに出れば鈍行列車でも間に合いました。

一方帰りは、ギリギリまで友達と居酒屋で酒を飲んでいたので……だいたいいつも、特急で帰っていました。
流石に、帰りも4〜5時間かかるのはイヤですし。

ですが一度だけ。たまたま友人に予定があるとのことで早めの解散となり、時間に余裕があったので鈍行で帰ったことがあります。
今回は、その時のことについて書こうと思います。


確か、それは最終電車だったと思います。
近鉄電車はゆっくりと、大阪を離れ再び奈良、三重を経由して名古屋へと向かっていきます。
はっきり言って、わざわざ夜に鈍行列車でこんなに移動する人はそうはいません。
もう少しお金を出せば何時間も短縮できるんですから。

……でもこの日。僕と同じ車両に、僕のほかに三人もの人間が、同じ鈍行列車で名古屋を目指していました。
それを確信したのは、途中の伊勢中川で乗り換えた時のことでした。
伊勢中川に向かう間、大阪から離れる度にどんどん電車の中から乗客が減っていきました。しかし、ずっと下車せずに乗り続けている者も当然いました。
伊勢中川に到着すると、対面に名古屋行の電車が停車していました。バラバラと伊勢中川で降りてホームに向かう人がいる中で、僕と三人だけが名古屋行の電車に乗りました。
「こいつら……もしかして……」
全員が、きっと気付いていたと思います。
大阪方面からずっと三重まで乗り続けて、そして今、名古屋行の鈍行(急行)に乗った。
きっと自分と同じで、「最後」まで行くつもりなんだと。
乗っていたのは僕を含めて四人。
あまりオシャレに気を使っていなそうな、安っぽい服を着たフリーター然とした若者……つまり、僕。
長時間の移動をするにはちょっと不自然な、部屋着っぽいフリースを着た若いカップル。
両足を大きめに開いた、何だか疲れていそうなサラリーマン。

それぞれ、どんな人生を歩んで……そして今この瞬間、この場所に辿り着いたんだろう?

疑問が頭をよぎったけれど、答えを得るすべはなく。
何だか妙な仲間意識を感じつつ、終着駅の名古屋駅に辿り着いて、僕らは言葉を交わすこともなく、バラバラになりました。

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