奨学金は悪ではない。ありがたく利用させてもらいましょう!
こんばんは。ひまパパです。
久しぶりの投稿ですが今日は奨学金のお話。
ここ数年で見る「奨学金=悪」の風潮
Twitterを見ていてもたまに流れてきます。
「社会人で借金が数百万円からのスタート絶望すぎる」
「奨学金なんて消費者ローンと同じ借金だ。」
「知り合いに『借金もち』と罵られた」
奨学金=悪という認識を変える流れを作りたいと思っています。
この記事を読んだ後に感じてほしい事
結論から書きますと
・「奨学金はとても良心的で素晴らしい仕組み」
・「奨学金を借りている事は恥ずかしいことではなく、むしろ誇らしい」
・「人生80年で考えれば奨学金の金額程度は大したことない」
と思っていただければと。
筆者と奨学金
かく言う私も奨学金にはだいぶお世話になりました。高校・大学ともに借りていて社会人スタート時には500万くらいになってたんじゃないでしょうか。大学時代は下宿もしていたので前半2年は月8万、後半2年は月10万を借りていました。現在アラフォーで完済済み。
なぜ「借金=悪」という認知になるのか
まず「お金を借りる」という事が非常にマイナスなイメージに捉われがちですがここから変えていきましょう。
まず私が肯定したいと思います。
「お金を借りること=悪ではないです」
優秀な企業の社長さんでも資本を借金として調達する事はよくあります。
あなたの親や知り合いが家を買う時、ほとんどの人はローンを組んでいると思います。
では逆の発想をしてみましょう。
とある起業家がとても良いビジネスアイデアを思いついたのに、借金が嫌なので資本金が溜まるまで10年間は起業しなかった
理想の家に住みたかったけど、借金が嫌だったので30年間がんばって貯金をして、50歳でやっと家を購入できた。
上記例はかしこい選択だと言えるでしょうか?もちろんNOですよね。
お金を借りている状態=不安な状態となるのはなぜか?
これは理解できますし正しい感覚だと思います。
上記例で「お金を借りた方がよい」と同意したとしても、借りたお金はできるだけ早く返したいとは思いますよね。
ではなぜそう思うのでしょうか?そう思う本質は?
答えはズバリ「借金には必ず利子が付く」から。
借金とは長く持ち続けるほど自分が損をする性質のものだからです。
35年住宅ローンで3000万借りる場合の例
住宅ローンの場合を見てみましょう。
家を購入するときに35年で3000万借りる想定とします。計算しやすくするためにフラット35を適用して年利2%で計算。
繰り上げ返済をせずにフルフル35年で返済した場合、利息も含めて4000万以上の返済となり借りたお金(原本)より1000万も多く返す必要があります。
これは非常に損をしている感が強いですよね。だから皆繰り上げ返済でなるべく早く返してしまおうという動きになるのですね。当然です。
もしも利子が存在しない世界だったら???
ではもし上記3000万を借りた場合に利子が発生しなければどうでしょう?
「35年かけて返しても繰り上げ返済しても返すのは3000万でいいよ」という条件になった場合です。
もしかしたら借金を持っていること自体に気持ち悪さを感じる人は「それでも早く返してしまいたい」と思う人もいるかもしれません。
が、私なら35年フル期間で借りると思います。
その分浮いたお金を別の事に使います。
投資等の増やす方向に使うかもしれませんし、若いうちにしかできないような事をするために使ったりすると思います。
奨学金は限りなく「無利子」の状況に近い!
またシミュレーションをしてみましょう。
日本学生支援機構での第二種奨学金を借りた例とします。第二種奨学金は有利子ですが最も借りやすい代表的なものです。
大学1年生から月12万円で4年間借りた場合。
元金は12万円×12ヶ月×4年間=576万円。
さて、第二種奨学金は有利子で20年かけて返済するものなのですが、借りた人が最終的に返済しなければならない金額はいくらだと思いますか?
・・・
答えはなんと580万と2,500円。利子総額は42,500円
(参考サイト)
すごくないですか?先ほどの住宅ローンの例と比べると特に。
どれだけ学生に優しい仕組みかを実感できたのではないでしょうか?
奨学金の運営組織は営利目的ではない
お金を貸す側の立場になって考えてみましょう。
先ほどの例を見ると、住宅ローンの利子は高かったですよね。
貸す立場からすると3000万円を貸し付けると35年で1000万円の利益です。
でもね、1年にして考えると29万円の利益にしかなりません。
3000万円という大金を他人に貸しても1年で29万円の利益。
アルバイトを1年通して雇う事も難しいくらいの利益ですよね。
借りる側として利子が高いなと思った住宅ローンでさえ、貸す立場として考えればこれくらいの利益しかでないのです。
ほぼ無利子と言える奨学金なんて全くもって利益は出ません。
事務の人やシステム運用費もあるので利子だけでは確実に赤字です。
つまり奨学金とは「学生がお金の心配をせずに進学できるようにしてくれる超良心的な神のような仕組み」なのです。
冒頭で少し書いた「奨学金=悪」という風潮は私はとても許せません。
私は奨学金を借りている人を尊敬します
奨学金を借りる人と借りない人の違いとは何でしょうか。
「親がお金を出すかどうか」の違いですよね。
これは生まれた家が裕福かどうかだけの違いなので、どうしようもありません。
正直私も奨学金を借りていた身ですので裕福な家庭の友人を羨ましく思った事もあります。
ですが奨学金を返済し終わった今、自分自身を誇らしく感じています。
胸を張って「自分自身で責任を果たした」肯定感があります。
そして、奨学金を借りる選択をした他の人を尊敬します。
人それぞれ奨学金を借りる事情は違うとは思いますが、理解した上で借りる決意した人は自分自身で責任を取る事を少なからず覚悟した人だと思うからです。まだ20歳にもなっていないのに一人の人間として自立しようとする姿は本当に素晴らしいと思います。
80年の人生として考えてみよう
正直私は奨学金を借りて高校・大学と進学しましたが、学業を頑張ったとは言えませんでした(!!!)
留年こそしなかったものの高校・大学とバンド活動やサークル活動、友人と遊びまくっていたためギリギリの単位で卒業でしたし、現在はIT系の仕事をしていますが大学の専攻とは全く違う分野です。
ですがアラフォーになった今、あの時間を過ごせて本当によかったと思っています。
友人とバカ騒ぎした時間、バンド活動や軽音学部の運営の経験、自分が将来何になりたいのかを本気で考えた時間。すべて現在の自分の元になっていると思います。
人生においてお金の心配をほぼせずにこのような時間を過ごせたのは紛れもなく奨学金という制度のおかげです。本当に日本学生支援機構には感謝してもしきれません。
400万、500万の奨学金を重く考えない事
社会人スタートをした時点で「数百万円の借金がある」と考えてしまうとゲンナリしてしまう気持ちも分かります。ですが人生は長いです。
大卒の平均生涯年収は2.7億円です。人生80年として考えれば400万円、500万円の負債は意外と大したことはないのです。利子もほとんどないし返済まで20年も待ってもらえるし、余裕ができたときに繰り上げ返済すればいいのです。
社会人になりたての20代は給料も安いと思いますし、一人暮らしを開始する人は本当にお金がないと思います。焦らずに、少しずつ返して行きましょう。
いちばんやってはいけないことは、あまりにも早く返そうしたり奨学金自体を借りまいと焦ってハードワークをして体を壊したり、望まないP活や夜の仕事に手を出す等で人生の道を誤ることです。
奨学金をこれから借りる人、借りる人の親御さんに願う事
親御さんへ
子どもが進学する際に奨学金を借りる選択は全く恥ずかしい事ではないと思います。大学は義務教育ではないのですから本人の意思を尊重すればよいと思うのです。ただし、奨学金がどういう性質のものなのかはしっかり説明してあげてください。家庭内でお金の話はしづらい空気感があるのかもしれませんが、大人への階段を一歩上がるためにも良い機会だと思ってぜひお話をしてあげてほしいと思います。また、本人が奨学金を借りて大学等に行きたいと言ってきた場合は本人の意見をどうか尊重してあげて下さい。自分が責任を取るという覚悟をして言ってきています。お子様の自立心をどうか否定しないであげて欲しいと思います。
今から借りる人、返済中の人へ
奨学金は普通ではありえないくらいの好条件で貸してくれるありがたい制度だという意識を持ってみてください。その上で最終的に返すのは自分であるという事をしっかりと理解して「借りる/借りない」を考えてみてください。
運営側は利益が出ない性質であるため、借りた後はしっかり返済して次の世代が困らないようにしてあげてください。
まとめ
奨学金に対する誤った理解や偏見が少しでも解消され、次の世代にも利用しやすい奨学金制度が継続されることを祈り、結びとさせていただきます。