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#1「生理痛って慣れで耐えてるだけだよね」
自己紹介
このnoteでは、33歳・産婦人科医の「いちこ」、同じく33歳・編集者の「にこ」の幼馴染二人で、女性が気になる話題についてざっくばらんに話します。
あくまで雑談ベースで話している、一個人の意見によるものということをご理解のうえ、ご覧いただけますと幸いです。
話者は編集者にこです。
初回なのでもう少しだけ詳しくお話しします。
私たちが初めて出会ったのは小学六年生。あ、ここには特に大切なことは書かないので、読み飛ばして次のセクションへいっていただいて大丈夫です。
あと、もちろん「いちこ」も「にこ」も仮名です。
私たちは小学校以来同じ学校に通うことはなかったものの、地元が一緒なので週に1回は会って、近況、将来の話、趣味であるお笑いの話、そしてしょうもない雑談を繰り返してきました。
年齢を重ねていくうちに(元々少なかった)恋愛の話が減り、その隙間に健康の話題が入り込むようになりました。
私たちは二人とも子どもがいませんが、20代後半ごろからまわりの友人の妊娠・出産の話をする機会が増え、にこは思いました。
「こいつ、妊娠や出産に関する話題になると饒舌になるな?」
忘れていましたが彼女(いちこ)は産婦人科医。当然、女性に関する医療知識がめちゃくちゃあったのです。
少し話がそれますが、以前にこの親友Aが不妊治療をしていました。
その際、担当医には相談するまでではないけど気になること、治療の不安や悩みをよく聞いており、自分(にこ)なりに考えて答えていたのですが
「これ、いちこに聞いたらもっとちゃんと答えられるのでは?」
と思い、Aに確認したうえで二人にコンタクトをとってもらったところ
「担当のお医者さんがなんか少し冷たくて、ちょっと気になる程度のことだとなかなか聞きづらかったんだよね。でもいちこちゃんには気軽にいろいろ聞けて、すごくありがたかった」
という言葉が返ってきました。(その後Aは無事に妊娠、出産を経て現在は一児の母として日々子育てに励んでいます)
その時に「よかったな」と思うのと同時に、担当医が同年代の女性で、かつ話しやすい相手である可能性ってそんなに高くはないのか、と実感したのです。
思えば私は、健康診断で気になる項目があるといちこに写真で結果を送り
にこ「肝機能検査がBだったんだけど、前日に健康診断があること忘れてビールを1リットル飲んじゃったからかな?」
いちこ「いや、これは総ビリルビンが基準値より高値だから引っかかったんだと思う。でも気にする数値じゃないね。
てかビールを1リットル飲んでるのにγGTPがびくともしてないのがよくわからない」
にこ「とりあえず安心しました」
と友人特権のオンライン診断を日常的にしていました。
Aの件もあり、私がいちこに女性特有の生理や妊娠、出産の悩みを聞き、それをまとめて発信したら需要があるのでは、と思い立ったわけです。
そして3本に1本くらいは健康飲料(特茶やからだすこやか茶)くらいの金額で記事を販売し、その売上で二人で旅行したい!と強く思ったのです。
長くなりましたが、はじまりの経緯でした。
さて、本題です。
生理の「普通」って何?
いちこ(産婦人科医)「このnoteを始めるにあたり、何から話すか考えたんだけど」
にこ(編集者)「うん」
いちこ「一番身近で共通の話題としてわかりやすいだろうから、まず生理について話そうと思います」
にこ「いいね。どんな悩みが多いのかな?
個人的な話で恐縮ですが、私は多分、生理痛が軽いと思います。20代半ばくらいから生理痛でしんどい思いをあんまりしていないし、周期も安定してるし量も多くない気がする。でも自分が普通だって思っているだけかもしれないのかな?」
いちこ「多分、みんな自分の生理が重たいか、生理の量が多いのかってわかってないと思うんだよね。基準というか指標を知らないんじゃないかな」
にこ「それはそうだね〜。てかさ、生理の量の多さってわからなくない?正直、毎回ナプキンを何枚消費しているかなんて把握できていないのですが……」
一応、「普通」の指標はある
いちこ「そういう人の方が多いだろうね。まずわかりやすいところから話すと、血の塊が出る人は血の量が多い可能性があります」
にこ「いわゆるレバーみたいなやつね。私も経験あるけど、人生で数回程度かな」
いちこ「じゃあにこは血の量は普通かも。ちなみに私は生理痛が重くて量も多い。血の塊は毎回出ます」
にこ「毎回出る人もいるんだね。塊がドバッて出る不快感、数回でも覚えてるよ……。それが毎回はしんどいね」
いちこ「血の塊が出るかどうか、これは結構指標になるよ」
にこ「あとわかりやすいのはナプキンを取り替える頻度なのかな?」
いちこ「そうだね。トイレに行くごとに変えるくらいがいわゆる普通かな」
にこ「トイレの度に変えるだけでも、1日に5〜8回は交換しないといけないもんね」
いちこ「うん。それでも普通かな。血の量が多い人だと、夜用ナプキンをつけても1時間も耐えられないって聞くよ。だから夜はかなりの頻度でシーツが汚れちゃうみたい」
にこ「わ〜そうだよね。昼間ほど頻繁に取り替えられないし、寝相が悪い人はより辛いね……。そういう人はショーツ型ナプキンとかを使うのかな?」
いちこ「あとはタンポンを使ったりね。ただ、そこまで日常的に支障が出ている人だと自分でも普通じゃない自覚があって、自主的に病院に来てくれるんだよね。問題はそこまでじゃないけど、普通より量が多い人」
にこ「自覚がない人ね。体調によっても変わるだろうし、まあこんなもんかって放っておいちゃう人も多いだろうね」
いちこ「そうなの。で、健康診断で貧血を指摘されてから婦人科に来て。詳しく話を聞くと『それは生理の量が多いからですよ』ってなることが結構ある」
にこ「自覚がなくても、いわゆる普通の人より血の量が多かったり生理痛が重たかったりする可能性があるんだね」
生理前の不調も辛いよね
いちこ「あと、最近よく聞く悩みは生理前の体調不良かな」
にこ「PMS、月経前症候ってやつですね」
いちこ「テレビとか雑誌で特集されたり発信する人が増えたりしてるからだと思う」
にこ「これ自分にも当てはまるかもな?って思う人が増えたんだね」
いちこ「気分の落ち込みみたいなメンタル面もあるし、頭痛や腹痛、下痢・便秘とか幅広い症状があるよ」
にこ「あ〜私も生理の前はほぼ毎回下痢がくる。あとPMSなのかわからないんだけど、目眩することもあるなぁ」
いちこ「目眩は生理前のむくみが原因かもね。耳の中がむくんでるんじゃないかな」
にこ「耳?耳の中ってむくむの?」
いちこ「うん。耳の中のリンパ液が増えてむくむと目眩につながる」
にこ「そうなんだ!血が足りないのかと思ってた。PMSってどれくらいで出るんだっけ」
いちこ「早い人だと生理が始まる1週間前から出るけど、多いのは2〜3日前くらいかな」
にこ「イライラしたり情調不安定になったりね。自分でコントロールできないから、家族やパートナーの理解も必要だよね」
いちこ「毎月あることだしね」
にこ「PMSに悩む女性が出てくる『夜明けのすべて』という本がすごく良くておすすめです。映画では上白石萌音ちゃんとSixTONESの松村北斗くんがメインの二人を演じているのだけど、それもすごく素晴らしくて、二人の会話が尊くて、Netflixでも観られるからぜひ!(早口)」
月経前症候群(PMS)とは?
月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいいます。
生理痛が重たい人の判断基準
にこ「てかいちこの生理痛が重たいって具体的にどんな感じ?」
いちこ「えーっと。簡単に言うとすごく下腹部が痛い」
にこ「毎回薬を飲んでるの?」
いちこ「薬はマスト。特に1〜3日目までは薬を飲まないとやってらんない!って感じ。ひどい時は寝込んじゃう」
にこ「かなり辛いね。病院勤務はハードだしね」
いちこ「私みたいに薬飲まないと我慢できないくらい痛みがある人は重たい方だね。もっと重たい人は家から出るのも難しいだろうし。あと痛みから気持ち悪さが出ちゃったり」
にこ「それを聞くと私は痛みも軽い方なんだろうな。痛み止めの薬も、10年近く飲んでいない気がする」
いちこ「いいことだよ!」
にこ「思い返すと、私は10代の方が生理痛が重たかった気がするなぁ。お腹が痛くて起き上がるのがしんどい日も多かったし。
あと、私は今の会社が割と自由で在宅勤務もできるから、ちょっと体調が悪い時も様子見つつ仕事できるんだよね。それができない職種の人や学生さんは大変だよね」
いちこ「思春期だと特にね。ナプキンを隠してトイレ行くのも大変よね」
にこ「私たちはお互い女子校だったからその辺ラクだったもんね。共学の子は大変だ。1時間ナプキンがもたない子は、授業中もヒヤヒヤだよね」
いちこ「まだ生理の対応とかもうまくできないしね」
にこ「あと生理痛って慣れもあるよね。私はありがたいことに軽めではあるけど、決して無痛ではないし。毎月1週間も続くものだから、毎日をスムーズに過ごすためにただ慣れで耐えてるだけだよね。平気なわけじゃない」
200年前と比べると生理の数が約10倍に増えているらしい
にこ「あとシンプル質問いいですか」
いちこ「どうぞ」
にこ「偏見かもしれないんだけど、年配の人の方が生理痛が軽いイメージがあるんだよね。で、若い子の生理痛に『生理くらいで辛そうにしすぎよ!』って責めているみたいな」
いちこ「えっとね。母親世代くらいだとあんま変わらないかもしれないけど、数百年前と比べると生理痛は重たくなっていると思う」
にこ「やっぱり!」
いちこ「ちゃんと理由があってね。そもそも生活形態とか栄養状態の変化で、初経の年齢がどんどん早まって、しかも閉経の年齢は遅くなってるの。で、今に比べて初産年齢が早いし、お産の数も多いでしょ」
にこ「うんうん」
いちこ「つまり、昔の人は今よりも生理の回数が圧倒的に少ないのよ。生理痛の原因って、子宮内膜症だったり腺筋症だったりするのね。それは生理の回数を重ねるごとに症状が重くなっていくから」
にこ「そっか。出産後もしばらくは生理がこないもんね」
いちこ「今は晩婚で初産の平均年齢が約31歳だし、産む子どもの数も少ないから、100〜200年前に比べて生涯の生理の数が10倍くらいに増えてるんだって」
にこ「そんなに違うんだ」
いちこ「現代女性が経験する生涯の生理の数は450~500回なんだけど、200年前くらいは40〜50回で、100回にも満たなかったんだって」
にこ「全然違うじゃん!数十年の違いではあるけど、おばあちゃん世代は今より初産も早くて子どもの数も多いから、ちょっとは生理痛の重さが違ったりするのかな」
いちこ「多少はあるかもね。あとはね、栄養がある食事で昔よりふくよかな人が増えたのもあるかも」
にこ「太ると生理痛が重くなるの?」
いちこ「脂肪からエストロゲンってホルモンが出るからね。反対に痩せすぎていると生理が止まっちゃう」
にこ「なるほどね〜。適切な体重でいるのも大切なのか」
いちこ「話を戻すけど、妊娠していないと通常1年に12回、毎年生理を経験するわけじゃん。つまり初経12歳として31歳で産むとなると、200回以上生理を経験してから初めてのお産をすることになっちゃう。だから昔に比べて月経困難症になる人が多いんだと思うよ」
にこ「私もこれから年を重ねる中で、生理が重たくなるかもしれないのか」
いちこ「そうそう、いつどうなるかはわからないよ。だから現代の女性はピルを飲んで対策をしてるんだよね。
ピルは、避妊のためだけじゃないから。むしろ、生理痛を和げたりPMSを改善したりする効果があるからね」
にこ「その辺、かなり気になります!」
いちこ「ということで、次回のテーマはピルです」
次回予告
#2「ピルで生理を止めるのって身体に悪くないんだ?」
次回の公開は11月15日(金)予定です。お楽しみに!