圏論にまつわる定義のイロハ:圏論に関する覚書(その2)
(前回から随分と間が開いてしまいましたが、)という訳で、今回は圏論に関する基本的な定義を、あくまでも私の理解の下にまとめていくことにしましょう。
1-1.圏の定義
圏(category)とは、対象(object)と射(arrow,morphism)からなるシステムです。
※射というのは、対象間の関係を表す矢印のことで、一般的に単体では「f」と添え書きされます。この「f」は関数を意味する「function」の頭文字に他なりません。
なお現在、関数というものは、数の集合に値を取る写像の一種というように理解されているようなので、まさにそのままの表現、と言えそうです。
1-2.射、域、余域について
どんな射(=矢印)にも、その始点になる対象:域(domain)と、その終点になる対象:余域(codomain)が、それぞれ一つだけ存在する、のだと言います。
その際、射の域(矢印の始点となる対象)を「dom(f)」、余域(矢印の終点となる対象)を「cod(f)」と記すのが決まりです。
そしてこれらの1セットは、「fはAからBへの射」であり、「Aは射fの域」であり、「Bは射fの余域」であると表現されます。
ここまでを図で表わすと、以下のような感じになります。
またこの場合、A=dom(f)、B=cod(f)とも表現されます。