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テレビゲーム展@小樽文学館についての記録

 筆者は2012年に小樽市立小樽文学館にて開催された『テレビゲームと文学展』の企画に携わりました。文学館の職員ではなく、一個人として関わらせていただいた形です。この記事を書いている2020年の時点ではテレビゲーム(ビデオゲーム)についての展覧会はそれほど珍しくない頻度で開催されていると思います(主に都市部ではありますが)。ただ2012年当時はまだそれほどの頻度ではなく、さらにいえば地方の施設で開催されるのはレアなケースだったと思います。

 続いて方向性をアナログゲームにシフトした『ボードゲームと文学展』が2014年に同じく小樽文学館で開催。こちらの企画にも筆者は関わりました。その後、またテレビゲーム展の2回目をやりたいですねと館長さんと話しつつ、実現しないまま年月が過ぎていきました。そんな中、2020年に入っていろいろと動きがあり、ついにテレビゲーム展2回目の開催が実現できそうな運びとなっています。

 諸々の詳細は今後の投稿に譲りますが、ひとまず直近で開催予定のミニ展示『小樽・札幌ゲーセン物語』は文字通りゲームセンターに絞った展示内容となる予定です。当初は2020年内の開催となるはずでしたがコロナ禍の影響によるスケジュール調整により、今のところ早くて2021年初頭になる予定となっています。

 なぜ題材がゲームセンターなのか。2019年、この当時に札幌でいちばん規模が大きく80~90年代のレトロゲームもたくさん置かれていたスガイディノス札幌中央が残念ながら閉店となりました。レトロゲーム自体は一部ではありますが現行のゲーム機用に配信されていてプレイすることはできます。しかしゲーセンという場でプレイする環境は失われつつあり、地方にいたってはゼロという状況になっています。また、当時の資料や情報を改めて集めようとするとネット上にもほとんど残っておらず、参照するのがとても難しくなっています。2020年のコロナ禍による自粛の流れにより現存する各地のゲーセンが臨時休業となりました。これはある意味、ゲーセンが無くなった世の中のシミュレーション的側面もあったと思います。

 つまりゲーセンとそれに伴う文化は意識して後世に残そうとしないと、知らぬうちに情報はおろか現物にさえ触れることができないようになってしまうということです。そういった状況をフォローしていくひとつの手段となるのは、まさに博物館の機能となります。2012年に開催した『テレビゲームと文学展』は地方でゲームの展覧会をやるのって変わっていて面白いよね的なノリで企画がスタートしましたが、今回の『小樽・札幌ゲーセン物語』は博物館(文学館)の正当な機能によって開催されるものと言えます。もちろん「変わっていて面白い」という要素も盛り込まれるとは思いますが。

 ここまで記録を後世に残すことの大事さについて語ってきました。これは小樽文学館で過去に行なわれた、そしてこれから行なわれるゲーム展自体についても言えます。そういった観点から、まずは筆者個人の発信とはなりますが、小樽文学館開催のテレビゲーム展について『地方の文学館でテレビゲーム展を開催する 』というマガジン名で、ちょこちょこと書いてみたいと思います。ボードゲームも含めた過去に開催されたゲーム展について、そしてこれから開催されるゲーム展について、さらにはそれらに付随するコラム的なものも含めて記事として、頑張りすぎない範疇でまとめていけたらと。

■ 地方の文学館でテレビゲーム展を開催する・バックナンバー
https://note.com/hilow_zero/m/m535d51202b05

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