
奪われたものと奪い取ったもの
はじめましての方ははじめまして。また読んでくれた方はありがとうございます。hiloaki.kと申します。今日は少しだけ、のんびりと頑張りたいなって思っていることをダラダラ話します。簡単に言うと僕はこんな大変な時だからちょっとでもSNS頑張りたいなって話です。
1. 奪われたものはなんだ
大学院の卒業式に僕は参加できなくなってしまった。日本で、世界で、流行している感染症によるせいだ。正確には、学生代表13名で学位授与式なるものをやるから卒業式自体はあったのだが。が、残念ながら総代にはなれなかったみたいなので僕自身は大学の卒業式典には参加できなかったというわけ。
正直、二年前の学部卒業で十分に楽しませてもらった僕にとっては「あー残念だな」と思うだけで済んだ。あっさりした残念感。結構他人事。
卒業式縮小や取りやめの風潮は小中高でも同じように起きていて、なんだか大変なことになってしまったのだな、とテレビを眺めている。
画面の中の東京では、遂に非常事態宣言が発出された。家にいて、せいぜいスーパーとコンビニに行くくらいでは実感は沸かずとも流れてくるニュースは悲痛で、とにかく自宅で籠っているしかない。
入社式は非常に小規模であるが、4/1にだけとりおこなってもらい、後は自宅研修となった。
淡々と家から出ずに、オンライン講義を受け、飯を食い、洗濯と掃除だけをして、シャワーを浴びて寝る。一人きりで完結すると感情が少しずつ死んでいくのがわかる。
卒業式も、入学式もなかった人は多い。よりにもよってこの門出の時期に…とは思ってしまう。
さて、一方でエモーショナルな「式典」や「感情」の部分に注目していたけれども、もっと大きなものが奪われていたんじゃないか、ということに気付く。
なぜ公共図書館の司書や、博物館・美術館の学芸員が正規職公務員でなければいけないか。
— 尾野里梨@毎日が自由研究 (@onosatori) February 27, 2020
それは、今回のような災害等における大規模休校などによって明確になります。
正規職の司書や学芸員は、教育系専門職であると同時に、最後の最後までサービスを続ける義務を負う公務員でもあるのです。
休校措置より先に真っ先に閉められてびっくりしたのが、東京国立博物館含む"MUSEUM"群の休館だった。このツイートを読む前は「不特定多数が集まるんだし閉まるのは当然かー」なんて思ってたが、そうでもないのかもしれない。
博物館や美術館に展示を見に行く程度しか関わりがないと気付けなかった、「教育の場」としての公共機関の可能性。ここもやっぱり場所としては奪われてしまったのか。
行きたい展示行ってないよ…、と思っていたらズンズカ展覧会が終わっていく。「教育の場所」が奪われたように、気づいたら「文化の場所」も奪われていた。
芸術が奪われたんだ。
と思っていた。
2. 奪い取ったのはなんだ
どさくさに紛れて我々は教育と芸術を奪われてるんだけど、何?????????
— 蜜色 (@mitsuiro_) March 3, 2020
「教育と芸術が奪われた。」
正確には、公共が提供する「教育の場」と「芸術の場」が奪われたのだろう。現実空間の中から。
果たして全ての教育や芸術は奪われたのだろうか。
どうにも自宅で過ごして、SNSを使っているとそうでもないな。と思う。
自宅でずっと過ごしてる。
— hiloaki.k (@hiloaki_k) April 5, 2020
すると必要なのは音楽だったり、映画だったり、美術だったり写真だったりする。
今こそ要求される芸術のプレゼンス。#coregraphy #architecturesnap pic.twitter.com/XnokLZD8EX
自宅待機をしている時間が有り余っていると、人が手を伸ばすのは芸術なんじゃないか。僕がyoutubeで垂れ流してみる芸人さんの漫才やコントも、アマプラでさんざん見ている映画も、apple musicから流れる音楽も、フランスやイタリアの美術館が無料公開した絵画アーカイブも。
そして、twitterに載る様々な人の写真も。
最近だったら、RAW data現像祭りのようなものが始まっている。
有名なフォトグラファーさんたちが撮ってきた写真の生データを公開して自由に色を載せていく作業をさせてくれる。正に写真現像の教育機関。
(>付録として後程、現像してみたデータをまとめておく。)
写真を撮る人たちは今、皆で非物理空間の中でなんとかして生き延びようとしているし、この期間に培われる技術の高さや、生きていく逞しさに震える。
負けじとHDDの中を漁っている自分が少し誇らしい。
ちゃんとはしらないんですがペストの流行のあとにルネサンスが起きたという話。違うかったらごめんなさい。でも、いまがまさにそうなんだろうね。家にこもった人たちによって、どんどん新しいものが生み出されている実感がある。空白の時期はまったくの空白ではないんだな。
— 濱田英明 (@HamadaHideaki) April 3, 2020
濱田英明さんはルネサンス期と似ていることを指摘していた。
この恐ろしい感染症と戦う現在は、芸術が花開く直前の蕾の時期なのかもしれない。我々が奪われたのは芸術ではなく、奪い取ったものこそが芸術なのかもしれない。
そうだと願っているし、今は確信に変わりつつある。
もう少しだけ。 #stayhome
3. おわりに
散々この現在の希望を話してきたけれども、僕の友人が指摘する事実には目を向けなければならない。
部屋の中でどうにかなるのは、都市の中で、足で稼いで蓄えてた資本を取り崩しているからであって、今ここから新しいものを作れるという自信はない。
— Leo Tanishige (@rosenstern037) April 5, 2020
今は僕らにある「芸術の貯金」が僕らを生かす。
そして、せいぜいその貯金を融通し合っているに過ぎない。
本当に試されるのは、この後の話。だからこそ早くこの感染症との戦いにケリをつけてやりたいと思う。
-
小さな部屋の中より。
P.S.
勝手ながらいくつか現像してみたものを載せてみる。
SUKEさん(@suke_photograph )
4枚目が万城目さんのものと混ざってしまっていました…訂正してお詫びします… https://t.co/6oDjFVYCS3 pic.twitter.com/cl4wywrfyA
— hiloaki.k (@hiloaki_k) April 4, 2020
万城目瞬さん(@0q_xney)
万城目瞬さん(@0q_xney )のお写真をお借りしました…!
— hiloaki.k (@hiloaki_k) April 4, 2020
ノスタルジックを意識して…! pic.twitter.com/C1Acj4g9R0
Mitsuki Tanakaさん(@tm_9729)
とんでもないお写真ばかりでした…
— hiloaki.k (@hiloaki_k) April 4, 2020
写真自体が良すぎて四回もレタッチしなおしました…こんなにも興奮したことはなかなかないです。
Mizuki Tanaka(@tm_9729 )さんからお借りしています。 pic.twitter.com/TmvIDvukrH
重ねてになってしまいますが…この写真もすごい…
— hiloaki.k (@hiloaki_k) April 4, 2020
RAW dataのパワーに負けないように丁寧に現像しましたが…
Mizuki Tanaka(@tm_9729 )さんよりお借りしています。 pic.twitter.com/Ryrw7EHMLc
シバタショウさん(@ShoShibataPhoto)
大好きなシバタショウさんのお写真を触れるということで…
— hiloaki.k (@hiloaki_k) April 5, 2020
森の奥から聞こえる妖しさ表現してみました。 https://t.co/ctqBNpEss3 pic.twitter.com/rnzZa7CS0Z
Hisaさん(@Hisa0808)
僭越ながら触らさせていただきました…rawデータの時点でこれ以上施しようなくない?みたいな気持ちになっています… https://t.co/N2wEc8XPoQ pic.twitter.com/j20OOE0FlG
— hiloaki.k (@hiloaki_k) April 5, 2020
ここまで読んでくれたあなたへ。
今回の文章は敬愛するバンド BUMP OF CHICKENよりつけている。
曲名は「ギルド」人間という仕事、を暮らしている僕らへ捧ぐ。
いいなと思ったら応援しよう!
