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『イカゲーム』シーズン2感想 〜 社会問題をエンタメに乗せる効用
2025年ドラマ1本目。『イカゲーム』シーズン2を完走しました。
感想
面白かった!!!
前評判で少し心配でしたが、最後まで充分に楽しめました。
シーズン1ふりかえり
シーズン1は、ストーリーがコンパクトで以下の流れに身を任せていればあっという間だった記憶があります。
1. お金が無さ過ぎて辛過ぎる。
2. お金欲しさにイカゲームに参加。
3. 蓋を開けたら一攫千金デスゲームだった。
4. 最後まで勝ち抜くことで大金を手に入れるが、失ったものの方が大きかった。
3年前に一度見たきりなので詳細忘れてますが、単純だからこそノイズ少なくのめりこんだ記憶があります。
シーズン2の楽しみ方
シーズン2は、主人公ソン・ギフンがイカゲームがデスゲームであることを知ったうえで物語がスタートし、我々視聴者はそいつがどいつであることを知った上で物語を見守る形となります。
必ずどこかで起こるであろう絶望的に悪いことが、いつ起こるかびくびくしながら待ち受ける形となりました。
そして、イカゲームの拠点を突き止めるというサイドストーリーも走り、シーズ1に比べると、のめりこむには若干煩雑な印象が。
けど、それでシーズン2がつまらなかったかというとそんなことはなく、充分に面白かったです。
学びの雑なまとめ
・韓国の富裕層と低所得者層の格差問題が続いていること
韓国は社会問題をエンターテインメントに浄化する力がすごいと思っています。
エンタメとして流行ることで最終的にはその問題を気にする人が増える。
少し調べてもつい最近のニュースとしてこうしたものが出てきます。
今回象徴的に感じたのは、大金を得ることよりゲームを楽しむ姿が印象的だったサノスと、外の方が地獄といったセミ。
半地下の若者は大金を得るために、富裕層と入れ替わろうとしたけど、イカゲーム2の若者は大金を得ることに対しても既にモチベーションが無いように感じる。
背景も作品も監督も違うので単純に比較するべきではないと思いつつ、パラサイトの5年前から韓国の若者たちの生活はどう変わっているのか気になります。
韓国の経済史、いつかちゃんと学びたいと思いつつ、全然着手できていない。
きっとここを理解すると、いろいろな韓国映画だったり韓国文学が持つ意味が分かる気がします。
『国家が破産する日』もまた観たい。
・徴兵制度
ヒョンジュの描写は直接的な言及はないものの、徴兵制度に象徴されるマッチョ文化の弊害と想定しています。
ただ、貧困層に陥ってしまうほどというのが、自分ではなかなか理解が追い付いていない。
『D.P. -脱走兵追跡官-』シーズン2でのLGBTQに対する描写も心が痛かったです。
元海兵隊であるチョンベとデホの違いも、世代の違いから整理すると色々ありそうな。
最終話でのチョンベとデホの違いは、同じ元海兵隊としても大きく違う。
徴兵制度がすで形骸化していて、追いついていけない若者が取り残されていく、といった描写なんだろうか。
…と書いてて、これも『D.P. -脱走兵追跡官-』で扱っている問題と一緒と気付きました。
まとめ
イカゲームは韓国の社会問題のごった煮の場であり、問題を解決しようと盲目的にお金に飛びつく人たちを見て楽しむ人たちがいる。
その構図の中、登場人物たちがお金ではなくどう自らが抱える問題に向き合っていくのか。
そうした意味ではシーズン1はバットエンドであり、シーズン3はどう結末を迎えるのか。
…て、我々テレビの前でイカゲームを楽しむ人間も『見ている側』の人間に入る怖さ。
そして、行動を求められるのは、『見られる側』だけじゃなく、『見ている側』も同様になるのだと思う。
社会問題をエンタメに乗せる効用。
シーズン3楽しみ!!!
ソン・ギフンがなぜ髪の毛をピンクに染めていたのかまで回収されたら世紀の大名作になると思う。