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日本語の作文技術をレベルアップするための覚書 1
はじめに
日本をベースとして研究者を目指す外国人の自分にとっては、日本語の作文技術がどうしてもネックになる。
作文に長けているツワモノに囲まれていると、その感が一層強まる。ツワモノたちの推敲の過程を聞くと、もはや一文字一読点に意味が込められていると感じる。
外国人とはいえ、自分もいつかそうした優れた明快な文章を書きたいという渇望に駆られて、やっと学習を始めた。誰の役に立てるより、自分のアウトプットの練習として読んだ良き本の覚書をここに記す。
明記がない限り、このシリーズの文章は提示した文献を要約・抜粋したものであり、自分の意見を含まない。
本多勝一『<新版>日本語の作文技術』(朝日新聞出版・2015、改訂前の初版・1976)
本書での文法用語の使い方
修飾語:広い意味の「かかる文節」(「受ける文節」の対)。
述語:いわゆる「主語」と対をなす。
節:一個以上の述語を含む複文。
句:述語を含まない文節=文の最小単位。
日本語の特徴
述語支配:ガ(主格)・ヲ(対格)・二(方向格)、三者対等。
修飾の順序の原則(上ほど重要)
修飾する側とされる側を近くする。題目と述語を近くする。
節を先にし、句を後にする。
長い修飾語は前に、短い修飾語は後に。
大状況から小状況へ、重大なものから重大でないものへ。
親和度の強弱による配置転換。(転換:親和度の低い言葉から高いものへ変えることも含まれる)
符号
テン(読点)=思想の最小単位を示す
①長い修飾が2つ以上ある時、その境界線にテンを打つ(重文も)
②逆順
③筆者の思想としての自由なテン。
※テンの多い悪文を修正する方法:構文上高次元のテン(文のテン)を生かすためには低次元のテン(節のテン)を除く。「」(ひげかっこ):含みのある時
=(二重ハイフン):文字の並列=理論ではない句の並列
・(カナテン):理論的な並列
助詞
ハ
①題目のハ(象は鼻が長い):
格助詞ガノニヲを兼務し、文の題目を示す。
※語順上後にくる格だけでなく、前のものも兼務できる:「節の述語、主格+は+文の述語」のように、節の述語の主格は一回省略される。
②対照(限定)の係助詞のハ(蛙は腹にはへそがない):
題目を先にし、対照を後にすべし
※否定の動詞をハッキリ限定させる:〜は〜には、〜しない。
※一つの文の中で2つまで。マデとマデニ
マデ:期間=動作の継続を表す動詞を必要とする
二:時点。
マデニ:期間(マデ)+時点(二)=最終期限、時点。ト
①と、も、か、とか、に、だの、やら、なり…:並列の助詞は最初の単語につけるのが最もすわりがいい。
②と、も、か:全体の最後にもつける。
カナと漢字
漢字かカナか:視覚に「まとめり」があればいい。
送りがな:趣味の問題
外国語の日本表記:日本人にとって発音しやすい(視覚的にもわかりやすい)方をとる
無神経な文章
紋切型
述語の繰り返し
「ように思われる」:断定を避けて、謙虚さを売りものにしている慇懃無礼な態度、典型的な社説用語。
「であった」:「た」よりなんとなくお上品で、すました感じ。
「のだ・のです・のである」
①前の文を受けて、次の文で説明することを示す。冒頭に「なぜならば」がついていると思っていい。両文の関係でない時は、ノが全くいらない。
②強調や驚きの表現。
※言い換える方法:ex. 新聞をひらくとまずさしえから見ていく私です。自分が笑ってはいけない。
体言止め(中止形)の下品さ・軽佻浮薄な印象
ルポルタージュの過去形
サボリ敬語=ダ・デスに形容詞がそのまま付く
ex. 危ないです→あぶのうございます、危険です。
うれしいです→うれしうございます。
リズムと文体
良い文章は、題目が冒頭に来ない
ハに関する参考文献とポイント
三上章『象は鼻が長い』(くろしお出版・1960):ハの用法
三上章『続・現代語法序説 - 主語廃止論』(くろしお出版・1972):主語廃止論
川本茂雄『ことばとこころ』(岩波新書・1976):「がとはの対比」でハの重要な性格について適切に説明。
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