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人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。


  チャールズ・チャップリン

 喜劇王チャップリンは1889年、ロンドンの貧しい家庭に生まれました。幼少期には、家庭の経済的困難や親の病気により、厳しい生活を送りました。


 父親はアルコール依存症で幼少期に亡くなり、母親も精神的な病気を抱えていたため、彼と兄はしばしば孤児院で過ごさなければならず、不安定で苦しい子供時代を送りました。

 このような背景から、彼は人生の悲劇的な側面を深く理解することになりました。

 しかし、彼はその後、舞台や映画の世界に入り、俳優、監督、脚本家、そして音楽家として大成功を収めました。


 特にサイレント映画時代には、「浮浪者(The Tramp)」というキャラクターを通して、貧困や疎外といったテーマをユーモラスかつ心温まる方法で描き、社会における喜劇と悲劇の両面を映し出しました。

 チャップリンの言葉に出てくる「クローズアップ」と「ロングショット」は、映画の技法に由来します。


 クローズアップは、物事の細部に焦点を当てる手法で、登場人物の感情や表情を強調し、観客に強い感情移入を促します。

 一方、ロングショットは、シーン全体を遠くから捉える手法で、登場人物や物事をより大きな文脈で見せ、状況の全体像を観客に伝えます。


 この言葉の意味は、人生においても同じように、ある瞬間や出来事だけを見れば悲しいことが多いかもしれませんが、人生を広い視点で捉え直すことで、その出来事に意味やユーモアを見出せる、ということです。

 彼は、人々がどんな苦境に直面しても、時間が経てばその経験が喜劇的な意味を持つこともあると考えていました。

 チャップリンは、悲劇と喜劇が表裏一体であることを表現するために、しばしば貧困や差別、格差社会といったテーマを扱いました。

 彼の代表作『街の灯(City Lights)』や『モダン・タイムス(Modern Times)』では、社会の厳しさや人間の苦悩が描かれている一方で、登場人物がユーモアや機知でそれを乗り越える姿が描かれています。

 チャップリンの言葉には、時間が過去の出来事を違った視点から見せる力がある、という考えも含まれています。


 私たちが苦しい経験をしているときは、その瞬間が人生のすべてであるかのように感じますが、長い人生の中でその経験を振り返ると、それが貴重な学びや成長のきっかけであったことに気付くことがあります。

 この言葉は、人生の辛い瞬間に向き合うときに、時間が経つとその出来事も異なる意味や価値を持ちうることを教えてくれます。

 チャップリンは、困難な現実に対してもユーモアを見出し、そのユーモアを他者と共有することで、観客に癒しや励ましを与えようとしたのです。

#チャップリン #喜劇と悲劇

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