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 新しい年が始まり、「厄落とし」を考えている方も多いのではないでしょうか。現代では迷信やジンクスを気にしない人も増えましたが、それでも「厄年」を意識する方は少なくありません。

 厄年とは、「災いが起きやすい年」とされています。起源は古代中国にさかのぼり、秦の始皇帝が人生に起こる災いの時期を明らかにしようと学者に命じたことがきっかけとされています。


 学者たちは、人の一生を調べるだけでなく、樹木の成長や生命のリズムを研究し、人間の生活サイクルと似た規則性を見つけました。

 そして、災いや障りが起きやすい年を「厄年」と定め、その前後を「前厄」「後厄」と名付けました。

 日本では厄年の概念は、平安時代に仏教や陰陽道の影響を受けて広まりました。『源氏物語』や『小右記』といった文献にも「方忌」など、厄に関連する記述が見られます。


 当時は貴族社会において、厄災を避けるための儀式が盛んに行われており、これが一般庶民にも徐々に浸透していきました。

 江戸時代になると、厄年は町民文化の中で身近なものとなり、庶民の生活に深く根付いた慣習となりました。

 当時の平均寿命が短かったことから(37歳から54歳位)、厄年は12年周期で設定されていましたが、寿命が延びるにつれて、江戸時代以降に見直され、現在の形になっています。


 現代の厄年は数え年で計算されます。たとえば、男性では42歳が「大厄」(社会や家庭での責任が増え、身体的な衰えを感じ始める時期。)

女性では33歳が「大厄」(家族や職場での役割が変化するタイミングで、心身の負担が増えやすい。)とされています。

 九星気学では、生まれた年の星が北の坎宮(かんきゅう)に巡る年を本厄とし、その前後の年も注意が必要とされます。


 厄年には、生理的な変化や心身の節目が重なることが多いと言われています。幼少期から老年期に至るまで、私たちは成長とともに感情や価値観が変化し、それに伴い心身にも負荷がかかります。

こうした変化が災いや失敗を招きやすい時期として、厄年に重ねて考えられているのです。

しかし、厄年は単に「不運な年」と捉えるのではなく、人生の転機と考えるのも一つの見方です。

 この時期を、欲望をコントロールし、自分を見つめ直し、将来の目標を考えるチャンスとしましょう。

 また、神社やお寺で祈願を行ったり、生活の中で注意深く行動したりすることで、より良い一年を過ごすための準備ができます。


 厄年は、誰にとっても避けられない人生の節目です。しかし、その意味を「災い」としてだけでなく、「成長と変化のチャンス」として受け止めることで、厄年を乗り越える力を得ることができるでしょう。


 厄年をきっかけに、自分自身のライフスタイルや価値観を見つめ直し、充実した一年を目指してみてはいかがでしょうか。

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