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易の「雷沢帰妹」(らいたくきまい)


新しい一歩を踏み出すときに

 人生には時として、「これまでの居場所を離れて、新しい世界に飛び込む瞬間」が訪れます。就職、転職、恋愛、引っ越し、あるいは人間関係の再構築。

 そうした変化の渦中にあるとき、私たちは期待と不安の狭間で揺れ動きます。そんな時、「雷沢帰妹(らいたくきまい)」という易経の卦が教えてくれるメッセージがあります。


 この卦は、「雷」と「沢」という自然の象徴から成り立っています。雷はエネルギーの象徴、動きや変化を表し、沢は潤いと調和を意味します。

 そして「帰妹」という言葉は、「妹が嫁ぐ」という、まさに人生の大きな変化を暗示しています。現代に置き換えるなら、これは新しい環境に飛び込むときの注意点や心構えを示しているのです。

「妹が嫁ぐ」と聞くと、幸せいっぱいの門出のイメージが浮かびます。でも、この卦には少し複雑なニュアンスが含まれています。

 「準備が不十分なまま、急ぎすぎてことを進めると後悔が生じる」という警告でもあるのです。

 たとえば、新しい仕事に飛び込む際、勢いだけで始めたものの、仕事内容や職場の文化が自分に合わずに戸惑うことがあるかもしれません。

 あるいは恋愛や結婚で、相手のことを深く知る前に進んでしまい、後々すれ違いを感じることもあるでしょう。

 この卦が教えてくれるのは、「変化そのものは悪いことではないけれど、急ぎすぎず準備を整えることが大切だ」ということです。


 私たちが新しい環境や人間関係に飛び込むとき、何となく勢いや直感に任せてしまいがちですが、本当に大事なのは、その決断の裏にある冷静さや段取りなのかもしれません。

 雷沢帰妹が伝えるのは、「変化を恐れるな、でも準備を怠るな」というシンプルで力強いメッセージです。

 新しい環境に飛び込むとき、少し立ち止まって自分に問いかけてみてください。

 変化の波にのまれるのではなく、その波を乗りこなすためには、冷静な判断と準備が不可欠です。この卦は、人生の新しい一歩を踏み出すときの心強いガイドになってくれるはずです。

#雷沢帰妹

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