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「(以前は)勝って当たり前でした。それを失って初めて、勝つことの意味をちゃんと感じられるようになりました」


     池江 璃花子

 この言葉には、彼女の人生の大きな転機とそこから学んだ深い気づきが込められています。


 池江さんは、幼い頃から水泳の才能に恵まれ、日本の水泳界でめざましい成果を上げてきました。

 中学生の頃からすでに頭角を現し、2018年のアジア大会では、史上初めて一大会で6冠を達成。日本水泳界の期待を一身に背負い、2020年東京オリンピックの有力選手としても注目されていました。

 このような栄光を積み重ねる中で、池江さんにとって「勝つ」ことは「当たり前」のように感じられる存在になっていたのです。

 努力をして勝つことが当然で、試合で勝利を重ねることに疑問を持つことも少なかったでしょう。

 しかし、2019年に白血病と診断されたことは、彼女にとって想像を超える試練でした。


 長期間の入院や治療が続き、闘病生活に突入した池江さんは、日常の活動はもちろん、愛してやまない水泳を思うように続けられなくなってしまいました。

 病と向き合う日々の中で、彼女は以前は当たり前だと思っていたことがどれほど大切で、失いたくないものだったかを痛感したといいます。

 勝つために努力をし、それが実を結ぶことの喜び、そして、何よりも「健康であること」のありがたさを深く理解するようになったのです。

 長い治療期間を経て、池江さんは再び水泳に戻る決意をし、少しずつ練習を再開しました。


 再びプールに戻った彼女は、以前のように記録や結果だけにこだわるのではなく、水泳そのものに対する感謝や、体が動くことの喜び、仲間と過ごせる時間の尊さを強く感じるようになったといいます。

 「勝つことの意味をちゃんと感じられるようになった」という言葉は、ただ単に競技に勝つ喜びではなく、「一度失いかけたものを再び手に入れるまでの苦しみと努力」、そして「その結果として得られる本当の喜び」を表しているのです。


 この言葉からは、池江さんが単に競技者としてだけでなく、人間としても大きな成長を遂げたことが伝わってきます。

 自分の力だけでなく、多くの支えによって自分が成り立っていることを知り、当たり前の日常がどれだけ貴重であるかを理解したからこそ、このような深い言葉が生まれたのでしょう。

#池江 璃花子   #白血病 #闘病生活

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