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【小説/一話完結】私の身近な”おっさん”
自分の1番身近な「おっさん」は、父親だと思う。
そういえば、なぜか母は父のことを「おっさん」と言っていた。
小さい頃、なぜ「おっさん」と呼ぶか聞いたことがあるが、「おっさんだから」という言葉が返ってきて、納得できるようなできないような、奇妙な違和感を子供ながらに感じたことを覚えている。
自分が小さい頃の父を思い出すと、今とあまり変わらないような気がする。
父は、少し変わり者で、いわゆる「おっさん」の特徴があまり当てはまらない。
太ってもいなければ、タバコも吸わない、お酒も飲まない、「おっさん」特有のプライドもなさそうだ。
例えば、父は、どちらかというと大人気ない人間で、父がサッカーを見ている時は騒げなかった。
少しでもはしゃいで大きな声を出すと、容赦なくテレビの音量を上げるし、私達の声に負けない大きさで歓声を上げて対抗してくる。
サッカーの試合が行われる日は、休日の買い物中も気がそぞろで、買い物が長引くと機嫌が悪くなる。
そんな姿に、子供ながらに「お父さんなのに子供っぽいな」と思っていた。
普段は、おとなしくて、静かに話をする方なのに、こと、スポーツ観戦になると人格が変貌するのだ。
それも、今は変わらない。
でも、大人気ないからこそ、子供の頃から対等な人間関係を保ってくれていたように思う。
「子供だから」「大人だから」という立場をハッキリさせることなく、常に1人の人間として、接してくれていた。
幼いながらに、子供だからと理由で猫なで声や赤ちゃん言葉で話しかけてくる大人が苦手な子供だった私は、それがすごく嬉しかった。
三十路を迎えるこの年になって、いまだに幼いところがあると言われる私は、しっかり父の血を継いで、歳を重ねているようだ。
と、ここまで思い出話を語ったが、父はまだ健在だ。
これからもそんな1番身近な「おっさん」と、いろんな思い出を作っていくのだろう。
テーマ:昔のおっさん
制限時間:15分
http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=616235
なんか、今回はエッセイっぽくなってしまった💦
書くネタに困って、悩みました…。