2018.09.30
先日北海道に住む友達の結婚式に行って来た。
下心で見てるわけじゃなくて、ほんとに大好きな友人。
友人のウェディングドレス姿を見てからずっと、(あぁ、本当にお嫁にいっちゃったな)って何とも言えない嬉しさと寂しさがあって、受付の時点で泣いちゃった。
◎◎◎
彼女は学生の頃から友人。同じ場所で生まれて、同じ町で育ち、同じ学校で出会った。
彼女の旦那さんが北海道で仕事をすることになり、1年くらい前から一緒に北海道で生活を送ってるみたい。
その時は背中を押せたのになんだかいまは寂しい。
◎◎◎
家に何度か泊まりにきてくれたとき。
駅から歩いて下手すれば40分以上かかっちゃう道を、「まだ着かないの?」とも言わずに一緒に歩いてくれた、あの道。
学生のときにあった拙い悩み、今でも葛藤する自分の性格の話、あまり人に話せなかった恋愛の話とかいろんな話をした。
彼女から「言葉にしないこと」がだれかを救うことだと教わった気がする。
しかも、彼女の放つ言葉は人を傷つけず肩を叩くようなものではなくひたすら心をそっと鎮めるものばかり。
洗面台も風呂場も寝具もきちんときれいに使ってくれた彼女。
人にもモノにも丁寧な人には、幸せがとても似合う。
きっとこのひとは幸せになれるひとだな、って朝から変なポーズをかましてくる彼女を見ながら思ってた。
空港まで笑顔で、見送りに行った。
◎◎◎
北海道で地震が起きて各所停電になってしまったとき。
心配になり、すぐ連絡を取った。
そのとき「帰りたい」を口に出さなくて、ああ、彼女はもう北海道に行ってしまったんだな、ってそこで実感した。
SNSに北海道の星空の画像をあげている人を見て「現代は星より電気だ」と怒ってた彼女。
彼女は誰かに流されることなくちゃんとものごとに対して怒れる人で、
感動しすぎて笑っちゃった。
あまりにも、彼女らしい怒りで。
そんなとき、星があまり見えない代わりに街灯がやたらと煩い東京にわたしは居て、何もしてあげられなかった。
旦那は仕事で居なくて、電気のつかない部屋に、ひとり。
知り合いもいない土地で。
心細くないわけがなかったよな、きっと。
そんなことを思い出したのも、結婚式で泣いた理由のひとつ。
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友人の結婚を寂しい、なんて表現するのは良くないことはわかってるけど。
なんかひとつの時間が、やっと終わった気がして、やっぱり、どうしても寂しい。
着いて行く、って言った彼女の決意の固さは、弱音を言わなくなったことからとてもよく伝わった。
ふたりで、人生において何が大切か、とか答えのないことをあーだこうだ話してた時間は終わって、先に答えを見つけて行ってしまった気がしたの。
おいてかないでよ。
ウエディングドレスには、何だか誰にも触れさせないような気高さがあって。ありきたりだけれど、ほんとうにお姫さまみたいで。
距離ではなく、ただひたすらにずっと遠い存在になってしまった気がした。
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北海道は鬱になる人が多い、って話を聞いたことがある。
窓の外を眺めてると自分の未来と雪景色を重ねてしまって自分の未来には何もないんじゃないか、って思いつめてしまうらしい。
彼女にとって、ふたりにとって、あのまっしろな雪景色がただの、まぶしいくらいのひかりでありますように。
ぐるぐる悩んだあとに、答えを見つけたようなまっしろな光。
結婚式が終わったあと、小樽の海辺に行った。
月がきれいで、あの有名なナントカとかいう大きい船見てきた。
真っ暗で冷たい風が足元を掬おうとしてて。
月と船の光がとてもまぶしくて、彼女の万福を祈らずにはいられない夜。
どんなにあたりが真っ暗でも、彼女と、彼女の大切なひとには、この光が降り注ぎますように。
このまっしろな未来や幸せが。
そんなことを祈っても、ポケットの中で外れたリップバームの蓋が、ひたすらに待っていたのでした。(泣いた)
幸せになったんだね、って気持ちと幸せでいてね、って気持ちで寝よ。
おやすみ。