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ハプニング続き 最優秀助演女優賞 受賞

沖縄のじいちゃんが亡くなって3週間も経たないうちに、沖縄のばあちゃんも亡くなった。

じいちゃんといろいろあった母は、亡くなったと聞いたときもケロッとしていたけど、ばあちゃんのときは子供のようにわんわん泣いたらしい。父から聞いた。目の当たりにしていなくても、親がつらそうなのは、わたしもつらい。胸がギュッと締めつけられる。

さて、お葬式。こちらは大阪。この状況にこのご時世。どこへ行くにも配慮が付き纏う。

もう何年も帰っていなかった母と、去年2人に会いに行っていたわたしの兄とで、急遽飛行機をとり、喪服やらなんやらをかき集めてリュックに詰め込み、バビュンと沖縄に向かったのが先週の金曜日。


残された父とわたし。
大阪の実家には、「またあの太った体の大きな男が部屋に入ってきて」としきりに大声を出すボケ倒した父方のばあちゃんと、糖尿病&腎臓病を患った19歳の老猫がいる。
なのにこんなとき限って(すまん)、大切な友人の結婚式があってすぐに帰れない。しかも余興担当。感情を、感情をどないしたらええんや。瑛人のMVのパロディーやってる場合じゃない。

実家に帰る準備をしながら、結婚式に向けて顔を作る。着ていこうと思っていたワンピースをクローゼットから引っ張り出すと、ちょうど乳のところにデッカイ染みが鎮座していた。もう家を出る時間なんだが?

なんとかそれっぽい服を着て会場に向かい、新婦の登場に涙し、無事に瑛人も終えて、その足で実家に向かう。履いているハイヒールを両手に持って走りたい気持ちだった。


実家に着いて、猫のお世話と家事をする。
ばあちゃんは塗り絵に熱中していた。
夜中には母と兄が帰ってくる。すこしだけ、安心感みたいなものを感じていた。このときまでは。


深夜に母と兄が帰宅し、やっと眠れると思ったのも束の間、19歳の猫がめっちゃ吐き出す。夜中2時半に。歳も歳だし病院も空いてないしで本当にヒヤヒヤした。
なんとか落ち着いて、安堵の中うとうとしだしたころに蚊の羽音で飛び起き、手をブンブン払って応戦する。おはよう、まだ5月やど?

あかん、早く寝ないと。朝になっドッ!ドドッ!ドゥンドゥンドゥンドゥン!yeahーー!!!
隣の家に住むヤンキーがガレージで音楽を流し、女たちと酒を煽ってウェイしだした。
もう寝るのは諦めた。


実家をあとにし、よろよろの体を引きずりながら自分の家へと帰る。冷蔵庫に何もなかったのを思い出してスーパーに寄った。明らかに買いすぎてる。豆乳は今日じゃなくても絶対によかった。
パンパンの買い物袋を担いで、ようやく着いたマンションの重い扉に、ベチョッとスーパーの袋をぶつける。卵が3つ割れていた。もうあかんわ。

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