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727 natural farming

別れの朝、明石市にある「自然農」の畑に
チームみかけんが連れていってくれた。

にんげんが野菜を育てる、なんておこがましい。
野菜は育つ。土があれば、自分で育つ。
それに僕らが少しだけ手入れをさせてもらう。
土の層をわざわざ混ぜて壊したらあかん。
にんげんがいつも、要らんことして邪魔をする。
もっと謙虚に、野菜と向き合わなあかん。

「耕さず」「草と虫を敵とせず」
「農薬・肥料を持ち込まない」
川口由一(よしかず)さん、のお弟子さんが
15年ほどの年月をかけ、試行錯誤を重ねながら
丹精こめて野菜を育てている聖地の畑。

めっちゃバランス感覚のよい素敵な方だった。

来月はスペインやイタリアからも研修生がくるらしく「日本の自然農」といえば!という代表的なスポットなのだそう。
お天気やスケジュールを含め、わりと奇跡的なタイミングで訪れることができたのでほんとにうれしかった。

雪は残っているけど暖かな日差し
不織布マルチが雪で凍っている
無理やり剥がすと破れるそうで雪解け待ち…
日当たりによっては解けてるんだけど
どれが野菜?どれが雑草…?
じっと見てるうちに少しずつ目が慣れはじめる笑
だいこん?よね?そうよねたぶん?
あきらか野菜っぽいけどなんの野菜かわからない…
こぼれ種同士で交配するものもあるらしく
立派に育ったコレは、水菜となにかの掛け合わせで
ハッキリしないけどみんなで見守っているらしい笑
今年は暖冬で、咲くのがめちゃ早かったそう
稲と小麦の二毛作。両者のわらで草マルチ
今は稲わらの下からみどりの小麦
土を乾かさないため表に出さずわらで守る

トイレは、オアシスと名づけられた竹やぶの中。竹やぶが囲いの役割を果たしてくれていて、穴も何も掘られていない。
自分の家の畑には、縄文式トイレとかちゃんと作って、米ぬかを撒いたりしないといけないかなと思っていたので、おお!そっか一番シンプルならば、これでも大丈夫なのか!と気楽になった。

雪が冷やした空気が、野ションのお尻をスウウウと吹き抜けていく。めっちゃきもちいい。

すくすく育ってる!
でもなんの野菜…?←まだ言ってる

パーっとだけど、ひと通り畑を見学させてもらったあとは、休憩するためのなにかの建物?(結局全体像はつかめないままだったw)をつくるための土台を準備する、という作業にちょっぴり参加。

竹の筒でなにかをしているところ笑
ここにアーチみたいなの立てるみたい

セメントを流しこむって話してたけど、どうなるのかはよくわからなかった。みかけんは、フムフム!と理解していたから、みんなには未来予想図が見えていたのだろう。

イメージできればなんでも現実化できるっていうけど、ほんとそのとおりだな、と納得。
知識や情報って、イメージをクリアにするためのかたちを持たない大切な道具なんだなって。

40センチ幅で竹筒を打ちこんでいく
目印のヒモって重要すぎる役目果たしてる

畑の作業に「人手」がいるっていう意味が
この日なんとなく体感としてわかった気がする。

わたしみたいにチンプンカンプンな存在で
まったく体力もなくて、気が利かなくても
かおりん、メジャーそこで引っ張っといて〜!
竹筒足りひんからあそこから持ってきて〜!
とか、そんなまじで何でもないような行為が
ビビるくらい、役に立ったりするのだ。

味噌づくりのときも、お餅つきのときも
そういえばそうだったんだけど
わたしは「一番下っぱの助手役」をするのが
めっちゃすきだ、ということに気がついた。

使い終わったものを洗う、とか。
やったあと汚れたテーブルをサッと拭く、とか。

メインで作業している人が、没頭できるように
その能力を使ってこそやれることだけに
集中していられるようにわずかなサポートをする
それだったら、安心してそこにいられる。

次にあそびに行くころには
なにかが完成しているんだろうなー。

そしてこのあと、空気の凍りつく事件が!

土が固くてなかなか竹筒が入らなかった場所をシャベルで少し掘り起こしていたら、鋤床層(すきどこそう)までいっしょに掘り起こしてしまったのだ。

すき床、は粘土質の重たい層で、昔の人はそれをわざわざ山から運んできて田んぼへ敷き、その上に耕作層(こうさくそう)として種籾を植え稲を育てるための土をかぶせたのだそうで、一度すき床を掘り起こして耕作層の土とまぜてしまうと、もう元には戻せない。
排水がうまくいかなくなったり水が抜けてしまったりするので、田んぼに戻すことはもうできなくなってしまうんだという話だった。

わたしは正直、それだったら土に竹筒を突き刺すために穴を掘るなんてリスクのある行動自体をしないほうがよかったんじゃ。シャベルで掘ってみてという指示出しをするべきじゃなかったのでは。と感じてしまったんだけど、みんなの空気があまりに凍りついているので、この状況はまずいんだ、とビクビクして、なんにも言えず、いっしょに黙っていた。

リセットしよう、と休憩を挟む雰囲気だったので、ちょうどいいタイミング、わたしは夜の京都での演奏に備えて移動することにした。

みかりんとけんけんが、最寄りの西新中央駅まで車で送ってくれた。繊細なふたりも落ちこんでいるんじゃないかと想像していたのだけど、深い反省は噛みしめつつも、ふたりはしっかりと前を向いているようすだったので、逆にビックリして感動した。

土を掘り返すときは、ほんまに要注意やな。
次からは絶対に気をつけなあかんな!

そうか。
もっと学びたい、絶対に習得するんやっていう
強いきもちと情熱が、胸に灯っていれば
取り返しのつかない失敗をしても、めげずに
人は喰らいついていくもんなんだな。

わたしの自然農を学びたいきもちは
彼らに比べれば、もう全然あまっちょろいので
どうしよう、とか、申し訳ない、とかの類の
抑えこんで縮こまるエネルギーが働いてしまい
雪道の車のように立ち往生していたのだけど

取り返しのつかない失敗、って実は
ほんとうのほんとうは、ないのかもしれない。
だって田んぼの水が抜けてしまったり
水路のトラブルが起きたら起きたでまたその時に
解決策を、見つけていけるはずだもん。
昔の人はゼロからやったんだもん。
きっといつだって、何かの突破口は、あるんだ。

まいどまいど、考えさせられるなぁ。
新しい世界に触れるって、発見が尽きない。

natural farming の意訳は
気づきの沼、だと思った。

すき床さん、耕作層の土とまぜてしまって
本当に本当にごめんなさい。
いつかあそこが田んぼになる日がきたら
なんとか、持ちこたえてください。
大切すぎる学びを、ありがとうございます。

雪で新快速が運休になってて、120分以上遅れ、とか電光掲示板に赤字で書かれたふつうの電車にとりあえず乗って、ゆるゆ〜るの徐行運転で京都へ到着した。

まわりのお客さんたちは、電車の走行スピードがあまりに遅いので少しピリピリしているようすだったけど(仕事の待ち合わせ時間とかに遅れたらそりゃあせるよな…)

わたしは遅れを見越してめちゃ早めに移動したし(あのタイミングで畑を出てほんとうによかった!)こんなふうに文章を書いたり写真を整理していたら、時間なんて秒で過ぎるし足りないくらいなので、ADHDの過集中タイプは旅人向きだな、とあらためて感じ入った。

乗りっぱなしで到着する3時間は、体感ではおおよそ30分だ。溜めこんでいるスマホ執筆を進められるので、わりと天国。

注意欠陥は、笑えるからまあいい。
会社に勤めていないから、お金は持ってないし
クライアントにずいぶん迷惑はかかっているけど
同僚にいじめられて死にたくなりはしない。

過集中は、宝だ。
神さま、ご先祖さま、おかあさんおとうさん
発達障害だと世の中で呼ばれている
変な特性を授けてくれて、ありがとう。

京都駅でようやく予約したゲストハウスに着いて、共有スペースに暖まったこたつがあったので、みかりんが持たせてくれたお弁当を、夕方ライブの前にバクバク食べる。

一つ一つのおかずに愛がこもってて、恋しくさみしくなってきて、食べながらポタポタ涙をこぼした。

我ながらゲストハウスのチョイスに才能がある
ここはびみょう、と思ったことほぼない
プロの旅人

まったく座らせる気のない雪こんもりのテラスを見て、ああ京都の人は、人当たりはやわらかいけど外部からの人にウェルカムじゃないという話よく聞くよな、と思い出して笑った。

ゆっくりしていってや〜とニコニコ案内されて
雪のクッション敷いてるとか最高すぎるw


昨日1日の出来事をこの記事にまとめると長くなりすぎるので、スイス人女性ユリアナとの対話や、夜のライブのおはなしはまた次回の記事にて。

ちょうど新幹線も東京ついたので、またねー!
(最近ちょっと実験で、一般公開多めにしてみています。しあわせメンバーのみんな、物足りないかもしれないけどごめんw)

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