744 麹の神さま

昨日の朝、絵を描かなきゃいけないのに
谷津田で開墾をしている長南町のみんなの
応援に行きたい！ちいさな一歩を踏み出したい！
というきもちがプクプク湧きあがってきていた。

だけども、頭が「待て」と引き止める。

行ったって短い時間しかいられないんだろ！
途中抜けするなんて、申し訳ないことだよ。
それに、体力もなくて何の役にも立たないのに
おまえは自分のやるべきことをほったらかして
なにをお手伝い〜とか言っているんだ。
人と会うのも緊張するだろ？やめときなさい。

えええ。緊張はするけど。
でもみんなに、会いたいんだもん。
たしかに、役には立たないかもしれないけどさ。
べつにがっつりお手伝いもできないけどさ。
行ったら帰るタイミング見計らうの
なかなかむつかしいかもしれないけどさ。

・・・・・。

わたしはだんだん、だんだんと
自分の脳内プロデューサーにムカついてきた。

ああん！？！？てめえ黙って聞いてりゃ
いちいちごちゃごちゃ、うっせえな！！！！！
みんながんばってるからフレーフレーって
旗ふっちゃいけないのかよ！！！！

オイオイ… 落ちつけ。
おまえのためを思って言ってるんだぞ。
何のために行くんだ。行って何になるんだ？

行きたいことに理由なんかなくていいだろ！
今日を生きてんのは、こっちなんだよ！
こんなきもちよく晴れた日くらい
頭蓋骨の中でおとなしくしとけこのクソジジイ！

と、あっかんべーをして言い返しながら
わたしは差し入れのおかずをウキウキ準備した。
昨日は、白ごはんは竹で炊いたって
メンバーさんの投稿に書いてあったな！
汗をかくだろうから、天然塩をたっぷり使おう。

食材はみんな頂きものなので、おすそわけだ。
わたしがもらってうれしかったから
わたしも大好きなみんなにあげるんだ。

菜花を茹でながら、涙がポタポタ落っこちた。
応援は、自分がうれしくなれるからしたいんだ。

環境整備やビーチクリーンなんかの活動を
そんなのエゴだと笑う人もいる。
エゴ100%でええやないか。
自分がなにをしてたら本当にきもちいいのか。
ハートがプクプク喜んでうれしくなれるのか。
その感覚だけで、今日を生きたらええやないか。

お弁当箱におかずを詰めて
さあ出発しようと思った瞬間に
いま描きたいのはコレダ！という色が浮かんだ。
おおきなパネルに勢いよく描いたのは
金色の海と、金色の滝つぼだった。

金の絵の具はもっていないので、きいろにした。
ああ、昨日の男の子がすきな色だったな。

今日は、まわりから見たらなんてことないけど
自分にとって、ちいさくておおきな一歩を
脳内プロデューサーの声を無視して勝手に踏み出せた、たいせつな記念日。

きっとタイトルは「祝福」