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人がまちにいる理由〜佐賀県基山町を訪れて〜

帰れるまち。
帰りたいまち。
帰っていいまち。
「ただいま」と言えるまち。
「おかえり」と言ってもらえるまち。
そんなまちがあるだろうか。
これを読んでくださる方も一旦考えてほしい。

佐賀県基山町。
みなさんはご存じだろうか。
私は申し訳ないが、基山を訪れるまで知らなかった。
もし知らない人がいたら、この機会を機に知ってほしい。

基山との出会い

基山に行くきっかけになったのは、九州移住ドラフト会議というイベントであった。

ドラフト会議で基山チームに指名していただいた私は、今回基山を訪れることとなった。


基山に到着

沖縄から福岡へ。
福岡空港から博多へ。
博多から基山へ。
なんと、博多駅から30分もかからず基山駅に到着することができた。
佐賀なのか福岡なのかわからなかった。

基山駅に着くなり、メンバーが迎えてくださった。会うのは2度目であったが、落ち着いた。包まれて、暖かかった。メンバーのお宅に着くと、手料理が準備されていた。基山のご飯、具沢山味噌汁、手作りハンバーグ、サラダ、基山のいちご。それと、HB-101のキャップと基山のお菓子。暖かくて、涙が溢れそうだった。大袈裟じゃない。暖かくて、苦しかったんだから。嬉しかった。たくさん気持ちが生まれた。それからほかのメンバーも合流して、話をした。今を、これからを、想像することが楽しくなる時間だった。
話が終わると、宿へ案内していただいた。今回宿泊した場所は「TIPS HOSTEL」であった。居間には、こたつがあり実家を思い出した。ドミトリーにはシングルサイズのベッドとゆとりがあり、快適にすぐ寝た。


基山での日々

-吉祥寺

基山ではたくさんの人と場所に出会わせていただいた。
まず吉祥寺に行き、平和の鐘を鳴らし、世界平和を祈った。吉祥寺の大慈悲殿(本堂)地下の御浄土巡りも経験した。御浄土巡りは、真っ暗闇を歩いて光をめざす。まさに母のお腹にいるような感じであった。目が見えることは幸せで、光があって空間を把握できるのだろうが、視覚に頼りすぎているとも感じた。もっと感じたいと気付いた。五感の他の感覚をつかうこと。

-さくま

その後、基山の商店街内にあるさくまさんでランチ。店内に入ると、いろんな音が聞こえた。鍋と調理器具が当たる音。「お待たせしましたー」と女将さんの声。お客さんの世間話。麺をすする音。風が扉を震わせる音。居心地がいい。私はちゃんぽんを注文した。メニューに沖縄そばがなくて、異国の地かとも思った。ちゃんぽん、今ままで食べた中で1番。ちゃんぽんあんまり食べたことないけどね。本当においしかったんだ。

-瀧光徳寺

ランチの後は、瀧光徳寺へ。瀧光徳寺、素晴らしかった。壮大だった。建設当時西日本最大級の木造建築と称された16間四面の大本堂には圧倒された。またひとつ、歴史を知ることに刺激を覚えた。また八坂さんにお話を聞き、「寺」の在り方を考えさせられた。以前、瀧光徳寺では「寺フェス」というイベントが開催されたという。正直、お寺でフェス?と頭がはてなになった。そんな中、八坂さんは「寺も、人と時代に合わせて、支えていく」と丁寧に説明してくださった。寺はどこか固執した考え方を持っていると思い込んでいた。あるものを残しつつ、変化させていく姿勢に嬉しくなった。また、来たい。壮大だったから、大本堂が素晴らしかったから、それだけじゃない。今ある歴史を継承し、ない時代を試行錯誤し、人を支えようとしてくれるからだ。ああ、基山。いいまちだ。

-基山フューチャーセンターラボ

その後は、基山フューチャーセンターラボへ。基山の商店街の目の前にあり、素敵な方が待っていた。一瞬にしてみんなを包み込んでしまうような、なんでも話したくなるような、そんな方がいらっしゃった。行ったほうがいい、会ったほうがいいよ、みんな。感じた。町長ともお話しさせていただき、これからの活動に熱がこもった。まちのひととまちのなかで何ができるか。どう落とし込んで、動いて、動かしていくか。ここに書ききれない、いい時間。行ってみて、感じてほしい。

-おおくぼ

夜ご飯!商店街の中にあった。ご飯中、メンバーとの話に夢中であまり口にしなかったけれど、おいしい!おいしい!おいしい!とにかくおいしかった!うん、おいしい!特においしかったのは、なんだろうな。でも、うん、決めた。からあげだな!それより、メンバーとの話がもうっ、好きだった。苦しくなるほど好きだった。ご馳走様でした!おいしいじかん!

-Wakuwaku villagE

翌日は、Wakuwaku villagEへ。ここでは、出会いしかなかった。たくさんお話ししていただいて、たくさん聞いていただいた。「やろう」のひとことに熱くなった。どこがだろう。心かもしれないし、身体かもしれない、そのほかかもしれない。本当に嬉しかった。心の底から嬉しかった。嘘のない、その顔と言葉と声が、「やる」というそれだけをもらった。行くといい。感じてほしい。

-基山(きざん)

その後、基山へ登ることに。基山には、日本最古の朝鮮式山城として知られる国指定特別史跡「基肄城(きいじょう)跡」がある。また、草スキーの世界大会も行われるらしい。登る前はただの山だと思っていたが、そうではなかった。感動した。景色だけではない。歴史にもだ。博多湾も見え、歴史の痕跡を感じることができた。ああ、なんてまちだ。詰まっているまちで、秘めているまちだ、基山。なんとおもしろいまちだろう。

-TIPSでお鍋

またまたメンバーの方にお世話になり、女子会というものを経験させていただいた。醤油ベースのもつ鍋で、マルチョウ、これがうまい!そして、基山のごはんと納豆とすなずりの唐揚げもいただいて。キャベツはあんまくて、すなずりのピリ辛と相性がいいのとなんの。基山のいちごもあんまい。デザートのクレープもあんまい。あんまいじかん、だいすき。もう、嬉しいんだ。ここまで、なんで、こんなに、あたたかいのだろうと。幸せだ。

-PICFA

また翌日。PICFAでは原田さんにお話を伺った。聞いたことない言葉や、社会の理不尽な仕組みなど初めてがたくさんあった時間だった。考えればシンプルなことをなぜ忘れてしまうのだろう。改めて、日常のバイアスに気付くきっかけとなった。また、実際の現場も拝見させていただいた。言葉にならなかった。素晴らしかった。アートはあまりわからないけれど、良いと感じた。心が動いて、震えた。動く。

-ノビトワークス

午後からはノビトワークスへ、トコトコ歩いた。トコトコ歩くと、そこには遊び学者の原田さんがいらっしゃった。うん。会った瞬間、遊びを感じた。シェアオフィスの2階でお話しさせていただくことに。今のこと。こどもよりおとなのこと。「おとな!遊んでますか!」うん。原田さんは実際に遊びを体現している方だった。私自身のこれからと共通する点もあり、俄然やる気になった。やるまちは違うけど、試して、やってみて、応援できたらとても嬉しい。

-母のカレーライス

夜は母のカレーライスを食べた。もう、メンバーは母と化しました。はい。ありがたい限りです。なんででしょうか。嬉しいのですが、赤の他人になぜこんなにもあたたかいのでしょうか。もう、胸がいっぱいです。お腹も満腹で、幸せです。これぞ、世界平和。

-エミュー牧場

最終日。朝、基山には雪が降っていた。さみい。とにかくさみかった。しかし、エミューは元気に過ごしていた。多分元気だったと思い込んでいる。基山にはエミューが800羽もいるみたい。そして、エミューを食べられるお店もあるそう。それから、エミューには鉄分が豚肉の4倍含まれているなんて初めて知った。ありがとう、エミュー。また、お会いしようね。

-基山パーキングエリア

基山は九州交通機関のハブのようだった。確かに広いし、人も多かった。みなさん、ぜひ基山のまちにもゆっくりどうぞ。私が言っていいのかわからないが。。

-酒ブティック丸久

基山と言えば、丸久さんということでお伺いした。丁度、久保山さんがいらしてお話を聞くことができた。実際にどのような活動をされているのかもそうだが、まちの捉え方がおもしろかった。まちをおもしろいと言えるのは、そのまちに暮らす人を知らないとなかなか口にできないのではないかな。久保山さんの足でそのまちに行って、感じたんだろうなと羨ましくなった。もっともっと知りたいと動かされた。ここだけではなく、ひろく。改めて。

-一福

基山を出る前に腹ごしらえ。ここでもちゃんぽんをいただいた。ちゃんぽんってお店でこんなに違うんだね。とてもいいな。ちゃんぽん巡りしたいな。うん。とても美味しかった。また食べたい。それと、すこし淋しかった。5日ほどしかいなかったけど、帰りたくなかった。ああ、すぐに「ただいま」と言って帰ってきたいなとすでに思っていたのだ。


こんなはずじゃなかった。こんなに愛しくなるはずじゃなかった。移住ドラフト会議でラフな気持ちで参加したのだから、こんなに愛しくなるはずが…。正直な気持ち。ここまで愛しくなるとは思ってもいなかった。ここに書ききれないことがほとんどで、感じたことや気付きは相当なものだった。

基山で大好きに囲まれて、愛しいになった。

基山で出会えた人は、私を置いてけぼりにしなかった。「いいね、やってみたら。」じゃなくて、「まだ私たちもやれると気付いた。」と言ったのだ。「ありがとう。これからでも、やりたいことをやるには遅くないんだ。」と。若いといわれる人だけにこれからを任せる言葉ではなく、私たちも一緒にやるという言葉。それは、私を置いてけぼりにしなかった。嬉しかったんだよ。心から。だから、会いに行きたいんだ、また。だから「やろう」って気持ちでいられたんだ。だから、素直でいられたんだ。雪だ。また会いたい。


人がまちにいる理由

今や、まちの人口減少は受け入れざるものとなっている。どうしてだろう。どうして、まちに人がいなければならないのか。いたほうがいいのか。それは、会いたい人がいるまちには帰れるからじゃないかな。帰れるまちがあると、嬉しいんだよね。楽しいんだよね、日々。思い出せるまちがあると心強いんだよね。そして、また、帰れるまちが増えたら伝えられるんだよね、周りの人に。あのまちのこと、あのまちのひとのこと、あのまちの歴史や文化。そしたら、周りの人の帰るまちになるかもしれないし、継承されないはずの歴史や文化も継承され続ける。人がいれば、まちがいきる。人がまちをつくる。そうなんじゃないかと、基山に行って感じたんだよね。みんなのまちにも行ってみたくなったよ。


ご多忙の中、時間を作ってくださったみなさま、心からありがとうございます。またすぐ基山に帰ります。お会いできる日を心待ちにしています。

また今回、きやま留学という滞在型の体験観光事業を利用させていただきました。基山に来て良かったのはもちろん、基山で暮らす方々と日々を過ごせて良かったです。案内していただいたみなさま、宿を提供してくださった橋本さん、誠にありがとうございます。


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