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【第1回期日 傍聴記】初めての裁判傍聴で見えた希望。「まだ何かやれそう」と思えた。

 2023年10月12日、東京地方裁判所で、立候補年齢引き下げ訴訟の第一回目の口頭弁論期日が行われました。

 私は、この日が初めての裁判傍聴。法廷で見て聞いて、感じた記録を残します。

 私は現在、大学で法律や政治を学びながら、一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN(以下NYNJ)で活動する川西めいこです。主にInstagramで政治や社会問題についての発信をしています。

 高校生の頃から若者の投票率が低いことに関心があり、それがきっかけでNYNJに入りました。でも、選挙に行く人が少ないというだけでなく、「選挙に行けるのは18歳からなのに、立候補は25歳か30歳になるまでできないというのはおかしい。なぜそこにギャップを作る意味があるのだろう」と、現在の立候補年齢についてもモヤモヤを感じ始めていました。
 そんな気持ちから、立候補年齢を引き下げるためのプロジェクトを応援しています。

東京地方裁判所。写っているのは本訴訟を支援する、公共訴訟プラットフォームCALL4のメンバー

 7月に提訴してから、初めて原告が法廷で意見を述べるという今日。原告の能條桃子さんとChico.さん、そして弁護士の戸田さんが陳述をしました。

 私は初めての霞ヶ関、初めての裁判所にドキドキワクワク。中はどんな雰囲気なんだろう。喋っていいのかな。写真とか撮ったらダメなんだな〜。と、いろいろ思っていました。
 一方で、裁判官や、国を代表して来ている被告側に原告の思いはどれほど伝わるのだろうかと、傍聴人ながらも少し不安を感じていました。

 11時きっかりに始まった裁判。
 裁判官が部屋に入ってくると、一斉に法廷にいた全員が立ち上がり、礼をします。所作について無知だった私は、周りに合わせて見よう見まねで振る舞う。

 緊張もしたけど、これまでたくさん準備してきた様子を見ていたので、いよいよ始まる!!と、ワクワクがMAXになりました。

 裁判が始まってまず初めに行われたのは、原告側・被告側両者からの書面の提出です。すでに事前に送られていた文書ですが、この日に現物を裁判官に渡すという作業が行われました。

 次に、次回期日の日程調整。被告側が提出しなければならない書類の締め切りの日から、裁判官が日程候補を挙げます。原告・被告ともに、日程が合うかどうか確認をしながら、都合が悪ければ「差し支えです」と一言。
 なかなか日常生活では使わない言葉だなと思ったのと、こんなにアナログな方法で日程を決めているんだなと初めて知って興味深くもありました。

期日後の報告会ではリラックスした様子で。左から意見陳述を行った戸田善恭弁護士、Chico.さん、能條桃子さん。そして原告の久保遼さんと中村涼香さん

 第二回期日が12月25日のクリスマスに決定したのち、いよいよ原告側の意見陳述が始まりました。

 大学に入って、民主主義の準備ができていない、教育の失敗を感じたこと。子どもの頃、青少年議会に参加したことなどから社会に育ててもらった感覚があったのに、今はその土壌が受け継がれていないこと。デンマーク留学で多くの学びを得たこと。これらの経験から、政治の場で若者の視点がいかに必要かを語り、現在は国会議員として働いている人がその重要性にまだ気づいていないことを話したももさん。

 とても家父長制的な環境で育ち、男尊女卑の根付く風土に生きづらさを感じて北米に留学。そこで初めて自分が一人の人間として生きる実感を得られたこと。今回立候補しようとした時も、自分の服装や見た目で判断されて、まさか選挙に出ようとしている人だと思われなかったこと。今のルールが限られた大人のための限られたルールで、私たちの存在がないものとされているのはおかしいと訴えたChico.さん。

 歴史的にも今の25歳・30歳以上という立候補年齢制限は、「社会経験がないから」というだけで設定されている年齢であること。そこには科学的根拠はなく、むしろ若者は能力がないというのは間違いだという研究が発表されていること。被選挙権は選挙権と表裏一体であるにもかかわらずそこにギャップが生じていること。これらのことから、立候補の自由は国民主権の要請として奪われてはならない憲法上の基本的人権であり、引き下げが必要だと述べた戸田弁護士。

 3人の意見陳述を傍聴席から聴いていて、私の感じていた「おかしい」という気持ちや社会への怒り、抱えてきた生きづらさも全て掬い上げて伝えてくれた気がして、なんだか感動しました。

 同時に、「政治や社会問題は私たちの生活とつながっているよ、遠くないんだよ」とSNSで発信し続けてきた身ではあるけれど、心の中では国や司法を遠いものだと感じてしまっていた私に気づかされました。
 私たちと同じように日々活動し毎日を生きている同世代が、裁判所という司法の場で、国と対等な立場に立って思いを伝えているということに希望が見えた気がしました。

期日後の司法記者会見の様子。多くの記者が質問を投げかけていた

 私はInstagramというプラットフォームを使って、若い世代に社会問題や政治について知ってほしい、一緒に考えていきたいという思いから発信を続けてきました。声を届けるためにも、発信すること、シェアすることの重要性を感じていました。

 そのことで、「知る」という最初の一歩を作り出すことはできていたかもしれない。
 だけど、他にも社会や政治の世界に私たちの声を届けられる方法はたくさんあるんだと実感できた日になりました。
そして、いろいろな方法でたたかっている仲間がたくさんいるんだということも同時に感じて、まだ諦めない、できる、と思えた。

 私は来年から社会人になり、新しい環境でたたかっていくことになります。残りの半年の学生生活、そしてこれから始まる社会人生活で自分ができること、パッションを持ち続けられることは何か、考えながら、一緒にたたかっている仲間の存在を忘れずにこれからも活動を続けていきます。

期日報告会の収録に飛び入り参加。自分の感想を語った時の様子。
この時のYouTube動画は下記からご覧いただけます!

2023.11.8
NO YOUTH NO JAPANメンバー/大学生 川西めいこ

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