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【第2回期日 傍聴記】立候補年齢引き下げ訴訟は、みんなが当事者であり、関係者であると思う。

 「そういうものだから」

 この言葉を私はこれまで何千回、聞いてきたでしょう。いろんな人が「そういうものだから」と諦めてきたことがたくさんありすぎて、私もたまにそう言ってしまう時があるけれど、それって本当に「そういうもの」なの?という気持ちで私は社会を見ています。

 立候補年齢も「そういうものだから」で終わらせたくないものの1つだから、私はこの立候補年齢引き下げ訴訟を応援しています。

 私は普段、大学で心理学を学びながら、ジェンダー平等を実現するために、20-30代の女性(トランス女性も含む)、Xジェンダー、ノンバイナリーの人たちに立候補や選挙ボランティアへの参加など呼びかけるFIFTYS PROJECTで活動をしている山島凜佳です。

 私がモヤモヤしていたもののほとんどは「個人的な問題」で済むものではなく、人権や権利として保証されているべきの問題であったり、政治により作られた構造が生み出している問題であるという思いから、社会運動に関わっています。

 2023年12月25日は、立候補年齢引き下げ訴訟第2回期日で原告団の1人、久保遼さんの意見陳述の日でした。そこで私が感じたことを残そうと思います。

▲東京地方裁判所の前にたたずむ、原告の久保遼さん

 前回の第1回期日で能條桃子さんとChico.さんの陳述を聞き、わくわくが止まらなかった私は、今回も必ず行きたい!と日程が決まってからずっとカレンダーに入れていました。「裁判傍聴一緒に行こう!」とInstagramのストーリーで呼びかけ、傍聴に向かいました。

 第1回期日は裁判所の前で配られる抽選券をもらう方式の「抽選」で、定員に達しなかったため、ギリギリに行っても間に合ったのですが、今回は「先着」だったので、14:00スタートのところ、13:00に裁判所に到着しました。

 先着は、抽選券がないので、どうしたらいいのかわからないまま、とりあえず荷物検査を済ませて裁判所の中へ。

 中には何人かすでに到着していた友達もいて「どこでどう待てばいいんだろうね〜」とうろつきながら、警備員さんに聞いてみると、「13:55に開廷するので、それまでに直接、裁判が行われる法廷に向かい、並んでいたらいいですよ!」とのこと。

 まだ早いから下で待っていようか!とふかふかのソファでおしゃべりをして、13:30ごろ、法廷に向かうと、もうすでに長蛇の列ができていました。私の数人あとで、傍聴席は埋まってしまい、後からきた友達は入れませんでした。傍聴席にいるのはお年寄りから中高生まで、本当に多様で感動しました。傍聴席が埋まることは、社会の関心を見せることにも繋がるそうです。埋まるなんて、さぞポジティブな効果があるのだろうと思います!やったね!

 次からは大きい部屋にしてくれないかな…と思いながらシーンとする部屋でたくさんの書類やパソコンを確認する弁護団の皆さんや、緊張している様子の原告のみんなを見ては、この日だけじゃなく、たくさんの準備をすごい時間をかけてしているんだろうな…と考えていました。

 開始は少し遅れて14時05分、次回期日の日程調整から始まりました。裁判官に日程を1日ずつ提案され、予定が合わない場合は「差し支えです」と言う前回と同じ流れが見ていて面白かったです。
(第1回期日で聞いてから「差し支えです」は友達との間で密かにブームになっています。)

 まず、裁判官と弁護士の戸田さんとのやりとりがありました。
私の知らない言葉もあり、理解するのは難しかったのですが、後から聞いたところ「国から初めて提出された反論に対して、次回、原告側からは、憲法学者の意見書を提出するとともに、反論を準備する予定であることを裁判官に伝えた」というやりとりでした。
戸田さんは、裁判官に話している体裁で、傍聴席にいる私たちにこれまでの流れをざっくりと説明してくれたようでした。あくまで裁判官に話す時間なので、傍聴席に向かってわかりやすい言葉で説明するわけにもいかず…という事情を聞き納得しました。

 その後、いよいよ久保さんの約10分間の陳述が始まりました。がんばれー!いぇーーい!と拍手をして応援したい気持ちを抑え、みんなで静かに耳を澄ませます。

 久保さんの想いが詰まった陳述文はぜひこちらからお読みください。

 特に、わたしが心に残ったのは、久保さんが通っていた学校での話でした。

例えば「この遊びは危ないからルールで禁止にした方がいいと思う」などの校長の意見に、小学生が反論することが当たり前に行われていました。 「遊び方や怪我をしない方法などは、実際に遊んでいる子どもたちの方が知っていることがある」

 当事者を抜きにして、当事者以外の人が議論する場面を私はたくさんみてきたからなのか、この部分に、本当にその通り衝撃を受けました。

 陳述の最後は、こんな言葉で締められました。

政治的な損得感情ではなく、司法での合理的な議論の場で、この問題を「問題」だと認めてもらえることを期待しています。

 この言葉に、司法の場を信じたいな〜という気持ちが高まりながら、「わたしは見てるぞ〜」と熱い視線を裁判官に送りつづけました。

 久保さんが話した後は、あっさり終わってちょっとびっくりしました。拍手もできないのでちょっとうずうず。コメントとかしてくれないものなんだ〜と思いました。

 終わってからは、「めっちゃ良かったね」「アップデートされてたね!」という声がちらほら聞こえてきて、久保さんはいろんな人に聞いてもらいながら陳述内容を練ったんだろうな、とほくほくした気持ちになりました。

そのあとはみんなで歩いて日比谷図書館で行われた報告会へ!

▲期日報告会が始まる前に記念撮影

 満席の会場で久保さんと原告団の中村涼香さん、戸田弁護士が今回の期日のことを話してくれました。

 戸田さんは、これまでの流れをわかりやすく説明してくれました。立候補年齢(被選挙権年齢)が決まったころの議事録を見返すと、合理的な理由もなく「若者には思慮分別・経験がないということで決まってしまった」そうだという話や、これは国を作る上での1番大事なルールである「国民主権」の問題であるという話などをしてくれました。

 中村さんが、ロビイングをする中で「若者に何がわかるんだよ」と言われた時のことや、若者差別が日常の中に蔓延りすぎていて、気づけないようになっている気がすることなどを話してくれました。

 友達とたくさん頷きながら聞いたあとは、NO YOUTH NO JAPAN主催の傍聴ツアーの交流会に混ぜてもらって、中高生のみなさんと一緒に傍聴に行ってみてどうだったかをシェアしあいました。

 終わってからも話したいことがたくさんあって、友達と一緒に日比谷公園で暗くなるまでおしゃべりをしていました。

▲東京地裁から歩いてすぐの日比谷公園にて

 いろんなものが値上がりしていて大変なこと、異常気象が続いていること、押し付けられる「らしさ」のこと、根強く残る男社会に入り込むことが不安だということ、これからが明るくなると思えないこと。

 等身大のなにげない会話だけど、だからこそ大切で、どれもがとても政治的でした。

 もちろん、生活には、楽しいこともたくさんあるけれど、困りごとも、痛みもあります。
どんな属性の人も確かに声を持っていると思います。それらが取りこぼされずに、しっかり聞かれるか、は構造次第だと思います。
そんな中で、私たちがポツポツと語る言葉を代弁してくれる人がいるとは、まだ思えないのも現実です。

 立候補年齢の引き下げは、私の中にたくさんある「あ、これって全然 “そういうもの” で済ませるものじゃなかったんだ」のうちの1つです。

 かつて「若者」だった人も、
 いま「若者」である人も、
 これから「若者」と呼ばれる人も、

 この立候補年齢引き下げ訴訟は、みんなが当事者であり、関係者であると思います。

 「そういうものだから」で済ませないために立ち上がってくれた弁護士の皆さん、原告のみなさん、傍聴にくる皆さん、思いを寄せている皆さんにたくさんのリスペクトの気持ちを送ります!

 ひとりひとりが応援し、世論を作って、権利獲得実現の成功体験をみんなで共有できることを楽しみにしています!

2024.1.17
FIFTYS PROJECTメンバー/大学生 山島凜佳

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