【第5回期日 傍聴記】マイノリティになりつつある若者が、すこしでも過ごしやすくなる社会へ。
2024年9月12日、立候補年齢引き下げ訴訟第5回目の裁判が行われました。会場は霞ヶ関にある東京地裁。何度か別の裁判傍聴に足を運んだことはありますが、今回の立候補年齢引き下げ裁判は初めての傍聴でした。
そもそも、なぜ立候補年齢の引き下げが争点になっているのか。立候補年齢の引き下げとはなんなのか。引き下げたらどんな効果が生まれるのか。河野太郎さんが今回の自民党総裁選で立候補年齢の引き下げについて言及し、公約にも載せたことで徐々に知名度が上がってきている気がしますが、あまり詳しく知らない方も多いと思います。
簡単に説明すると、現在の日本では選挙権年齢が18歳であるのに対し、被選挙権年齢は25歳又は30歳とずれが生じています。これをどちらも18歳に揃えようというのが立候補年齢の引き下げです。
現在、海外では被選挙権年齢の引き下げが活発に行われています(最近では韓国が18歳まで引き下げました)。私が立候補年齢引き下げで一番期待をしていることは、若者がより政治に親近感を持つようになることです。候補者と自分の年齢が近ければ近いほど選挙が、政治が、身近なものになるのは間違いないでしょう。また、18歳に政治の判断能力があると選挙権を渡したのなら被選挙権も渡していいのではないかなと思います(若者に政治を任せたくないなら選ばなければいいだけなので)。
実は、立候補年齢の引き下げについて反対している政治家はほとんどおらず、優先順位が低いと考えられていることから話が進んでいないのが現状です。それを進めていこうという運動の一環で行われているのがこの裁判です。
今回は原告側(つまり引き下げ訴訟を行っている側)からの書面提出、口頭説明が戸田弁護士より行われました。あまり法の知識がない私たちにもわかるよう、スライドも用いての説明がすごくありがたかったです。第四から第八準備書面が提出されたのでそれぞれ軽く何が書かれていたのかここにも書きたいと思います。
第四準備書面:第五から八のまとめ 🔗書面PDF
第五準備書面:被告の準備書面(2)に対する反論 🔗書面PDF
被選挙権は憲法上の重要な権利であり、被選挙権年齢を国が自由裁量で決定することはできないと反論
第六準備書面:海外の状況を踏まえた主張 🔗書面PDF
⑴ OECD36カ国中約89%の32カ国には18~21歳以上に被選挙権がある
残りの4カ国は、アメリカ、イタリア、ギリシャ、日本ですが、日本以外の参加国は憲法で被選挙権がきめられているため変えるのが困難らしいです。(これは知らなかった!!)
⑵ 10代含む若手議員の活躍
ニュージーランドで18歳で当選したソフィー・ハンドフォードさんなどが挙げられました。
⑶ 選挙権・被選挙権年齢統一は、民主政の理念の実現に向けた取り組み
両年齢が一致していない国々の存在は、現在の法定年齢を正当化する理由にならないとの主張がされました。
第七準備書面:国民認識に関する調査結果を踏まえた主張 🔗書面PDF
東京大学で法社会学を研究している齋藤教授が行った調査結果を用いて主張されていました。
・国民は、19歳を含む若年層が議員にふさわしいと考えている(知らなかった!うれしい!)
・全世代の過半数が、被選挙権年齢の引き下げを支持している
・社会経験・思慮分別の有無に関する被告の主張は、偏見・思い込みに過ぎないだけでなく、国民の認識にも反している
第八準備書面:町村総会制度を踏まえた主張等 🔗書面PDF
・地方自治法には町村総会制度という制度があり、選挙権年齢に達していれば、町村住民は市町村議会と同様の政治的決定を行うことができるそうです。このように市町村議会では18歳が政治参加のベースラインとされているのに現行の市町村における被選挙権年齢(25歳)は上記ベースラインと矛盾している。町村総会設置の有無によって、住民参加権・被選挙権の不平等がうまれてしまうという主張でした。
こんなにたくさんの準備書面を一気に作成するなんてすごいなと思うと同時に、早く引き下げが行われるといいなという気持ちが強くなりました。戸田さんが裁判の最後に発言された、「若者に対する差別や偏見が、この裁判を通じてなくなることを願います」という言葉がとても印象に残りました。
私はずっと大人や社会、メディアによる「若者は政治に興味がない。問題だ」という発言、圧がめちゃくちゃ嫌いでした。義務教育でも政治について仕組みしか教えてくれなくて(三権分立等)、政治の話を友だちとするのはタブーといった文化を作り上げておいてその言い方はないのではないか、と思いますし、実際の選挙は自分とうんと年の離れた人たちが年金問題ばかりに声をあげていて、誰に投票しても変わらない気がするし、、、今の日本では若者の投票率が低いのは正直しょうがない気がします。
しかし、投票率は高いに越したことはありませんし、若者こそ参政するべきだと私は思います。超少子高齢化でマイノリティになりつつある若者ですが、今後日本を引っ張っていく必要があることは間違いありません。すこしでも若者が過ごしやすくなる社会になることを願っています。
2024.9.25
NO YOUTH NO JAPANメンバー/大学生 宇田千鶴
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