紫陽花を見るたびに思い出す。
母が入院してからは、毎日晴れていた。
道沿いに咲く紫陽花を横目に見ながら、6月とは思えない暑さをしのぎ
毎日何度も病院と家を往復した。
徐々に心拍数が下がってはいたものの、容体は安定していた日々が続いた。
そんな手術を終えた3日後の夕方だった。
母の心拍数が50を下回り始めた。
危険を知らせる音が部屋中に鳴り響き、不安で心がいっぱいになった。
それでも、私は母の手を握り続け、声をかけ続けた。
数分ごとに、どんどん下がっていく心拍数がとうとう20まで来てしまった。
それでも、まだ数時間は残されているだろうと信じていた私の心は裏切られ、突然0に達してしまった。
まだ微かに脈打っている様子がモニターで確認できていても、それはずっとは続かなかった。
この日が来ることはわかっていた。でも、信じたくなかった。
誰よりも強い母がこの世を去ってしまうことが嫌で仕方がなかった。
日付が変わる1分前に、母は亡くなった。享年54歳だった。
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