見出し画像

太い実家とひきこもり

はじめまして

メディカルソーシャルワーカーを中心としたひきこもり支援に関する任意団体「ひきこもごも」と申します。自分の こころを守る、自分らしく幸福に生きる、をテーマに学校では教えてもらえなかった、考え方、生き方を、真剣に考えています。

今回は「太い実家とひきこもり」という内容でお伝えします。

厚労省と KHJ 全国ひきこもり家族会連合会は、全国調査を通して、8050 世帯での実状を事例を示して結果を発信しています。

非常に興味深い調査報告なので詳細が気になる方はローデータをご覧になるといいと思います。

8050問題

ここ10年ほどで認知されてきた「8050問題」ですが、改めてギュっと説明すると、8050問題とはひきこもりの高齢化です。「80」は親御さんの年齢、「50」はお子さんの年齢を示しています。10代20代のひきこもり支援は復学、就労支援など、本人が輝いて生きていくことに支援の主眼を置きますが、就労経験のない50代、60代のお子さんへの支援は全く軸足が異なり、生活困窮(生活保護受給申請や社会福祉協議会の一時金申請など)や医療に繋がりのないかたの通院や入院支援が中心となります。つまり本人が生き生きとしていくことよりも公的なセーフティーネットから零れ落ちないよう、親なき後の制度のはざまに落ちていかない様に支援していくことになるということです。さきほどここ10年で認知されてきたと申しましたが、近年はもはや9060化しています。

困り感を発信しない

どうにもならなくなってから発見される傾向を感じます。
要介護認定申請のためケアマネージャーがご本人やご夫婦の生活状況調査に訪問した際など、ご両親の支援の為にご自宅を訪問した際に、どうやらお子さんがいらっしゃる気配がする、ひきこもりの状態にあるようなご様子があるとして高齢支援や介護にまつわるワーカーが気づくケースが多いように感じています。

困窮世帯は長期化しない

さて本題ですが、この8050、あるいは9060の家庭における特徴ですが、前線で見ている限り、とかく家計に余裕があり、抱え込みができ、スティグマ(レッテルへの羞恥・世間体)が強く、高学歴高収入の傾向を感じています。むしろ家計がひっ迫していると、すぐさま相談に繋がったり知人を通して就労をして、本人の望む望まないはさておき、社会との接点をたとえイヤでも持たされる傾向があり、抱え込みや長期化していく環境として比較的裕福な世帯という特徴があると感じます。

親の当たり前のレベルが高い

抱え込める家庭環境にある親御さんはとかく高学歴や高収入という属性を持っていると感じます。自身の努力によって勝ち取った今に一定のプライドを本人も意識せずに持っています。
学歴や就労、キャリアなどの親のアイデンティティや思想は知らず知らずに継承されていて、低学歴への蔑み、無職へのコンプレックス、低収入への嫌悪感などひきこもりの状態にあるひとが持っている意外な価値観を知る機会があります。自身に降りかかってしまいそうな価値観を併せ持っているからこそ、最初の一歩を踏み出しづらいのかもしれません。
また親御さんも、自身で推論し原因を想像し、家庭内など小規模なコミニュティで対処を試みます。つらく接してみたり、家を追い出してみせたり、ゲームや漫画を処分して見せたりする、いわゆる不適切支援を実行しがちという特徴もあるといえると感じます。

抱え込みからいい支援は生まれない

虐待と不適切支援は、支援者の思いとしては対局にあります。いじめてやるという思いと、私なりに必死に助けようとしているという180度真逆の感情ですが、もたらされる結果はほとんど同じです。思いやりの8割は知識という考え方があります。自分がこうしたいから、相手にとっていいはずだと私が思うから、という思いでとる行動は自分本位になり、相手にとってはあたかも攻撃のように届いてしまうことがままあります。

ひきこもりには理由がある

「親がしてはいけないこと」と銘打ち「ひきこもりには理由がある」を合言葉に、いまひきこもっているひとが、いまどういう状態なのかを考えています。ひとは理由なくひきこもりません。根源的な課題解決なしに性急に回復したような状況だけを求められてしまう当事者はたくさんいらっしゃいます。その環境出力だけを達成しても予後がよくない傾向にあります。いまどういう状態なのかをきちんと考える事で、一時的な状態変化に惑わされず、いま必要なものが考えられます。
当事者にとっても、家族などの身近な伴走者にとっても、理解してほしい、一度考えてほしい内容になっています。ご一読くださいませ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?