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(時事エッセイ)撮り鉄の皆様へ

撮り鉄の皆様、今日もお寒い中、物価高で高価になった三脚を守りながらの場所取りご苦労様です。

ところで、皆様は「有事の際に自身の身の安全の確保よりも優先して行わなければならない仕事がある職業」と聞いてどのような職業を思い浮かべますか?

自衛官、警察官、消防士、レスキュー隊員あたりが思い浮かぶかと思います。

しかし、同じ鉄道ファンの一人として、皆様には思い浮かべて欲しい職業がもう1つあります。

そうです。列車運転士ですね。

事情を知らない方もいると思いますので説明しますと、列車、つまり電車や気動車などには脱線・転覆した時に、後続列車が巻き込まれて二次災害が起こらないために、「防護無線」と呼ばれる装置が付いています。
この装置を「発報」することで、周囲の列車や指令センターに事故の連絡が伝わるようになっています。
もちろん、鉄道会社の定める規則では、「自らの身の安全を確保してから防護無線を発報するように」となっていますが、実際に「大規模な二次災害が予想される有事が起きた際に、大勢の犠牲者と自らの命を天秤に掛けて、自らの命を選ぶ運転士」がどれだけいるでしょうか?
この問題を受けて、JR東日本では「防護無線自動発報装置」の開発が行われており、完成の目処もついてはいますが、まだ採用例はありません。

鉄道ファンなら、なぜ「防護無線装置」が開発されたのか当然知っていますよね。

「国鉄五大事故」と呼ばれる悲劇のうち、2件は国鉄の運行する連絡船、つまり船の事故ですが、残りの3件は鉄道事故となっています。

「国鉄五大事故」を詳しく説明すると本が1冊書けてしまうので、ご存じない方は「note」で関連記事を探して一読してください。

1件目の「桜木町事故」の対策が、逆に仇となり2件目の「三河島事故」が起きました。「防護無線装置」は「三河島事故」の教訓として開発されました。悲運なのが、3件目の「鶴見事故」は「防護無線発報」を行う暇もなく、二次災害が起きてしまったことです。

かのトーマス氏はこう言いました。
「事故は起こるさ。」

あなたが今しようとしている行為は、「列車運転士に、大勢の犠牲者と自らの命を天秤に掛けさせることに繋がりかねない行為」ではないですよね?

私は鉄道ファンの一人として、皆様の「ルールに則って撮影された」取っておきの1枚をお待ちしております。

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曳舟次郎
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