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【新プラットフォーム】“POST2025”に向け、複数の未来を共創するための共有地 Co-Futures Platform『COMMONs』始動
昨年の大晦日のこちらのポストで新しい活動を始めますと告知していた件に関して万博100日前である本日発表いたします。
新年2つの新しい発表をしますが、まずはその一つ目として、今回は「Co-Futures Platform『COMMONs』の始動をお知らせします。
私たちはこの数ヶ月間、多岐にわたる分野の人たちとの対話を重ね、「いかに万博以後の社会を作るか?」を検討してきました。そして生まれたのが“Commons of Visions”というコンセプトと、その第一弾プロジェクト「POST2025」という構想です。
VUCAの時代において一個人や一企業では解決できない問題が増加
現代を形容するときにしばしば用いられる「VUCA」という言葉は、Volatility(変動性)/Uncertainty(不確実性)/Complexity(複雑性)/Ambiguity(曖昧性)。AIなどの技術の加速度的進化、環境破壊の深刻化、グローバルなパンデミックなど、一個人や一企業一つの専門領域だけでは解決できない問題が増加し、とても立ち向かえないほど世界は複雑に絡み合い、かつ急激に姿を変え続けています。
未来は一つではなく複数ある
ここで問い直すべきは、「もしかして未来は一つではなく、複数存在するのでは?」という視点です。資本主義からポスト資本主義へ進む未来、グローバリズムから地域コミュニティに回帰する未来、環境破壊が進み地球を諦め宇宙開発が進み宇宙で暮らす未来、人間中心から生命中心に移行する未来など多様な未来がありうる。その未来同士がどこかで交差・融合しながら現実世界を形づくると考えるのがむしろ自然です。
繋がり分断した世界を、融け合い響きあう世界へ
現代社会では、人々や組織、そして価値観が分断され、孤立化が進んでいます。私たちは、この分断された世界を、多様な価値観や専門性を持つ人々が自然に融け合い、互いに響き合える世界へと変えていきたいと考えています。そのためには、従来の組織の枠組みを超えた、新しい「場」としての機能が必要不可欠です。
共に(Co-)複数の未来(Futures)を耕す
そこで、一人ひとりや一企業、一つの専門領域など様々な境界を超え、多様な視点や価値観から複数の未来像を共に探究し合う“共有地”が不可欠だと私たちは感じるようになりました。
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多様な個人や組織が共に未来を構想/実装するためのオープンプラットホーム、言うなれば「Co-Futures Platform」です。「Co-Futures」は“Co-”と“Futures”を組み合わせた造語です。
Co-(共創): 企業や自治体、アーティスト、研究者、市民など、多様なステークホルダーと異なる領域の人たちがアイデアを持ち寄り、共に学び合いながら未来像を構想する
• Futures(複数の未来): 従来のように一つの未来を前提に考えるのではなく、複数の可能性を同時に探究しカタチにする。
つまり、未来は一つではなく複数であり、その多元的な可能性を交差させて多様なステークホルダーと共に未来を耕し新しいアイデアやイノベーションが育てていく。そのための“共有地”を私たちは“COMMONs”として作ろうと考えています。
Co-Futures Platform『COMMONs』とは?
Co-Futures Platform『COMMONs』とは、人類の多様な未来像(Futures)を共創(Co-)によってカタチにする構想・実装のためのオープンプラットフォーム。多様な視点や価値観、専門性を交錯させ、複数の未来の可能性を同時並行で構想し、実装までを推進する場を目指しています。
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コンセプト:Commons of Visions〜未来創造の共有地〜
この新しいプラットホームのコンセプトは「Commons of Visions〜未来創造の共有地〜」。デザイナー、クリエーター、アーティスト、イノベーター、建築家、エンジニア、研究者、政治家、教育者など様々な分野やバックグラウンドを持つ人々が産学官民の多様なセクターを超えて共創。従来のトップダウンな“正解”ではなく、複数の可能性を同時多発的に思索することで創造的アプローチで多様な未来像を構想・実装していきます。
Vision から “Visions”という「開かれた未来」へ
なぜ単数形の “Vision” ではなく、複数形の “Visions” なのでしょうか?
私たちの答えはシンプルです。「世界がひとつではないのだから、未来もひとつではない」と考えているから。
世界とは、一人ひとりや一つひとつの生命が、経験や感覚を通じて築いている多様な世界の総体です。全ての生命がその視点や背景に根ざしたユニークな視点からの“小さく多様な世界”を持っている。私たちが「世界」と呼ぶものは単一の統一された存在ではなく多彩な“個の世界”が重なり合うことでできていると考えています。
未来も同様です。従来の社会では、1つの巨大企業や国家の政策が“大きなひとつの未来”を作っていました。しかしいまやネットワーク化した世界は、価値観が多極化し、技術進化や環境変動の変化が急速かつ可変的で、未来シナリオが同時にいくつも存在し複雑かつ予測不可能な時代を生きています。
このような時代に誰かが決めた単一の未来をめざすよりも、複数の可能性を同時に抱え込み、しかもそれらが互いに影響を与え合う“開かれた未来”を志向することで、想定外の未来の可能性が生まれるはずです。すなわち、世界が“World”ではなく“Worlds”であるように、未来もまた“Vision”ではなく“ Visions”として捉える必要があるという考え方です。
“Commons of Visions”というコンセプトは、「多元的な未来像(Visions)が出会うための共有地(Commons)」というイメージを表現しています。つまり「多様な人・組織のヴィジョンやアイデアが出会い、融け合い響き合うことで新たな未来像が連続的に生まれ続ける場」を共に作っていきたい、という想いから来ています。
第一弾プロジェクト「POST2025」をスタート
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このCOMMONsの最初の取り組みとして、「POST2025」という万博後の2025年、その先の社会の未来像を考え、社会へ発信していくプロジェクトを開始します。詳しくはこのページの最後に記載したいと思います。
では以下からCOMMONsの具体的な内容を説明します。
COMMONsの目指す"創造性がインフラとなり、社会に滑らかに循環する”世界
私たちの掲げる「Commons of Visions」を単なる概念に留めず、そこで語られる複数の未来(Visions)を、実際の社会や文化、ビジネスへと繋げていくため、多様な活動の器としてのプラットフォームという意味です。
「プラットフォーム」と聞くとオンラインサービスを思い浮かべがちですが、そうではありません。COMMONsがめざすのはオンラインのみに閉じない“リアルとバーチャルを横断する共有地”です。
研究・活動・教育・投資・実装が一体化し相互作用するエコシステム
COMMONsの大きな特徴は、「Lab(研究)/PROJECT(活動)/College(教育)/Capital(投資)/Studio(実装)」という5つの機能を互いに連動させ、創造性が滑らかに循環する構造を作り上げていることです。個別のフェーズがバラバラに進むのではなく、常に相互作用を起こしながら、複数の未来像(Visions)を形にしていく“エコシステム”を意図しています。
Lab(研究)
LabはCOMMONsにおける最も重要な活動の一つで、短期ではなく中長期な研究テーマを設けて探究していきます。テクノロジー、デザイン、アート、社会課題など、多種多様なテーマを扱うラボが複数立ち上げていく予定です。1つのラボに1人のリードとなる専門家を設け、デザイナー、技術者、アーティスト、社会学者、教育者が集まり、学際的視点を展開。その成果やプロセスをオンラインレポートなどで公開し、誰でも参照・再発展できるようオープンアクセスを推進します。リサーチやインタビューを通じた深堀りを行い、成果をレポートとして発信。加えて、企業や行政、市民、学生など多様な立場が開かれた対話を行う“オープンラボ”を定期的に開催し、相互学習と新たなアイデアの発芽を促します。
Project(活動)
COMMONsで進行する具体的な活動や企画を「PROJECT」と呼び、短期集中・テーマ特化型のプロジェクトを複数連続的に立ち上げ、自らアクションしていきます。Projectは時に、LabやCollage、Studioなどを横軸横断して展開され、デザイナーやクリエーターだけではなく、多様な専門家、企業や自治体、アーティスト、また時には学生や一般の方々とも協働しプロジェクトを推進します。
College(教育)
研究や活動で培われた知見や手法を「College」で体系化し、教育プログラムや講演、ワークショップなど多様な形で「次世代」へ共有していきます。デザイナーやエンジニア、アーティスト、企業、行政担当者らの経験をカリキュラム化し、参加者が創造性や問題解決力を学べる環境を整備。実際のプロジェクトに参加して、OJTとして学んだり、オンライン配信など国内外の受講者が連動できる仕組みづくりも推進。ここで学んだ人々が今度たちが今度はラボやプロジェクトを立ち上げたり、ここでの“学び”が次の創造循環を生み出します。
Studio(実装)
領域を超えた専門家たちの共創型スタジオ。企業や自治体との共創はもちろん、COMMONs内のラボの研究成果やプロジェクトで浮上したアイデアの種を社会へ具体化し実装するのが“Studio”の役割です。毎回全てのプロジェクトに対して最適なチームを編成し、プロダクトからサービス、アプリケーションやインスタレーション、デザイン、エンターテインメント、映像、空間、建築、アートなど、専門領域を越えたクリエイターはもちろん各種専門家らが領域を超えて集まり制作します。また、ここから事業化したアイデアがスピンアウトした企業の一部が集まり、ここで得た資金を研究資金として再投資することで持続可能な組織を目指します。
Capital(投資)
COMMONs内で行われる研究・教育・実装など様々な活動やプロジェクトを継続的にサポートするための投資・資金循環の仕組みを指します。ラボやプロジェクトへポンサー企業や助成機関、個人投資家などとの連携にとどまらず、COMMONsメンバーシップ制度やクラウドファンディングだけでなく、研究成果の事業化やスピンアウト企業の創出にも対応し、その成果を再度COMMONs全体に還元し、次世代の創造を後押しする好循環を形成。人材やノウハウが滞留せず、常に開かれた形で知と資本が行き来する仕組みです。こうした資金循環モデルにより“COMMONs”を絶えずアップデートし続ける仕組みを目指します。
「Co-Visions Lab」という中核的Meta Lab
COMMONs内に今後Labは複数できる予定ですが、その中でもまず最初にスタートするのが「Co-Visions Lab」です。このラボは一言で言えば「Meta Lab」で今後生まれ続ける様々なラボを生み出すための起点となるラボであるという位置付けで“多彩なヴィジョンが交差する場”として設定されています。
そして、この「Co-Visions Lab」が主導する2025年にスタートするプロジェクトが先述した「POST2025」です。
第一弾プロジェクト「POST2025」
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2025年のその先を考える
COMMONsの第一弾プロジェクトとして、「POST2025」を万博期間中に本格始動します。万博は2025年のイベントですが、私たちはその先こそが本番だと捉えています。つまり、万博の時点で登場する技術やアイデアを、いかに万博後の社会に活かし、発展させるかという問いこそが鍵です。
万博後の2025年の先の社会の未来像を様々なデザイナー、クリエーター、アーティスト、エンジニア、研究者、起業家、教育者、企業、行政、NPO/NGO、市民らと共に考え、2025年の先の未来に社会実装していくプロジェクトです。AIが創造的な作業を担おうとする現代に、今改めて「人間は未来社会において、何をデザインすべきか?」という本質的な問いを多様な人たちとの対話を通して考えていくべきタイミングにあると思います。万博のその先の未来社会をいかに構想し実装していくか?という未来に向けたプロジェクトをスタートします。これは来年だけでなく今後創造的人生を通して取り組んでいきたいプロジェクトになると思います。現時点では、万博までまだ少し時間がある段階ですが、COMMONs内のラボを中心にアイデアを煮詰めつつ、実際の展示やイベントの形を検討しています。万博が終わったあとも、多様な視点を掛け合わせつつ自走する仕組みを残していきます。
と、ここまで書いてかなり長くなってしまったため「POST2025」プロジェクトに関しての詳しい内容は、また後日発表します。
最後に
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まだ構想の一部しかここでは発表できませんがそれだけでもかなり長くなってしまいました。Co-Futures Platform『COMMONs』は、一つの分野や組織だけでは解決できない複雑な課題に向き合い、複数の未来像を開かれたまま探究・実装していく新しい「共有地(コモンズ)」です。研究(Lab)、活動(Project)、教育(College)、実装(Studio)、投資(Capital)までを有機的につなぐことで、多様な視点や専門性、文化が交差し、従来の枠組みではなし得なかった創造性が循環する社会を育むことを目指しています。
私たちが掲げる「複数の未来(Visions)」という発想は、単なる概念に留まりません。各ラボの研究成果を社会実装し、そこから得られたノウハウやリターンを再度研究や教育に還流する“循環的なエコシステム”を作ることで、新たなプロジェクトやスピンアウト企業、チーム、ブランドや文化を次々と連続的に生み出そうとしています。
実際にこのCOMMONs構想をベースとした、まずは1月6日にその最初の会社を実際に立ち上げますのでこちらもチェックしてください。
創造性が社会のインフラとなり、循環するエコシステムを作る
これから自分の創造的人生を賭けて取り組んでみたいことはこのCOMMONs
というプロジェクトです。
その根底には「創造性が社会のインフラとなり、循環するエコシステムを作る」ということです。デザイナーやクリエーターだけではなく、全ての人たちが自分が生まれ持った創造性を発揮し自分らしい未来へ向けて生き生きと生きること。そしてその創造性が血液のように流れる社会を作ることで、様々な新しい可能性が次々と生まれ、未来が心が躍るようなワクワクするような世界に変わっていくこと。そのような社会を次世代や子供達へ残したいと思って活動していきたいと思っています。
万博に向けて始動する「POST2025」はその象徴的な一歩です。POST2025はある種、COMMONsというプロジェクトのプロトタイプでもあります。このプロジェクトを通して万博終了後の社会をどう描き、どう自走させるかを多彩なプレイヤーと共に考え、実際のイベントや作品づくりを通じて具現化していきます。そのアウトプットはこのCOMMONsにおけるアクションにつながっていくと思います。
未来は決して1つで固定的ではなく、もっと多様で有機的なはず。
それは生命のように。
そして、あらゆる専門性や価値観が出会う“共有地”だからこそ、今までは思いつかなかった解決策や新たなカルチャーが芽生えるでしょう。どうかあなたも、この土壌にアイデアや技術、想いを持ち寄り、共にアクションしていたければ嬉しいです。
このプロジェクトはまだ始まったばかりです。まだ決まっていないことも多く多様な人たちと共に対話しながらこれからもどんどん変化し続けていくと思います。noteとXで随時プロセスに関しては共有していきますのでどうぞ、みなさんフォローしていただき、応援していただけると嬉しいです。