アイスタイル 3660の転換社債&新株予約権
転換社債と新株予約権あたりの解像度をもう一段高めましょう。
今回の中期事業方針を受けて、転換社債並びに新株予約権は期限までに全て転換、行使されると見たほうが良いと思います。それを前提として株主価値を上げていく方針を示したものにほかないからです。 新株予約権自体の価値は株価が上がると高くなります。513円の株を262円で買う権利ですから昨日の引けの瞬間は251円まで価値が上がっています。株高の局面では新株予約権を買い戻すのにも多額の費用がかかるので、そんなことはしない。本当に償還しないつもりなら経営陣は株価を下げる方針を出すはずです。
さて、期限である2027年までの全転換・全行使を前提とすると、
27/8の発行済株式数は1.44億株に
現在からの希薄化率は76.6% に
変化し、株数が増えて1株あたりの価値は下がります。例えば、27/8の時価総額を1500億円と期待するなら、その時点の期待株価は1041円となります。希薄化がなければ1840円あたりで評価されたでしょう。ただ、このファイナンスがないとそんな未来もなかったわけです。
なお、この希薄化の株価への織り込みに関してですが、
理論的には発行時に全て織り込まれるものの、現実は部分的にしか織り込まれないとみるのが妥当
株価が上がると転換・行使の蓋然性が高まるので織り込みが進みやすく、逆は逆。
種類や内容、期限までの期間によっても織り込み度合いは変わる 私としては、
転換社債分18.7%は25/8を期限としていてかつ今の株価で償還はありえないので、現時点で全て織込済みと捉えるのが妥当
新株予約権分は部分的には織り込まれているけど、行使が進む蓋然性が高くなるにつれて再び織り込み度合いが増す、私としては26年以降かなと見てます。
さて、希薄化だけを懸念する声もありますが、希薄化と引き換えに、倒産回避と成長の機会を得ましたし、さらにこれから得るものあります
Amazonから100億の追加出資
追加出資によりAmazonの出資比率36.9%となり、正式にグループ入りが果たされます
つまり、「Amazonグループのアイスタイル」になるということ。この価値をどれくらい評価するか。約37%が一般株主に渡る希薄化と、それがAmazonに渡る希薄化はその価値評価、同じじゃないですよね。
したがって、希薄化を単独で捉えず、「希薄化によるマイナスとAmazonのグループ入りによる価値増大」の綱引きとなると捉えるのが妥当です。
「転換社債の償還がー」とか「希薄化がー」、とか一面だけを切り取って不安を煽る行為は売り煽りなので注意です。
全ては繋がり複雑に絡み合っています。複雑なものを全て理解した上でシンプルに一言いうと「株価は上がりそう」ということかなと。