地方私立大学に対する妄想と準Fラン大学
今年度の大学入試が本格化してきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
僕は大学業界の未来を憂いてあまり寝付けない日々が続いております。
そんなわけで、ついつい大学入試関連の資料や動画を漁ってしまうのですが、そんな中で興味深い動画を見つけました。それがこちら↓
山内太地さんという大学教育に関連した情報を発信していらっしゃる方の動画ですが、出てくる情報をざっくりまとめると、次のようになっています。
国公立の入学定員13万人
日東駒専・摂神追桃以上の私立大学の入学定員約18万人
2024年大学進学者数63万人
中教審予想の2040年大学進学者数49万人
これらのことから、日東駒専・摂神追桃以下(←「以下」という表現は語弊がありますがここでは高校生から見た大学序列における下という意味で受け取ってください)の大学の入試市場規模が
2024年度→63-31=32万人
2040年度→49-31=18万人(2024年比56%)
となることが予想されます。
大学市場規模の衰退予測
同様の予測をもう少し細かく見ると、ざっくり次のようになります。
2025年度→32.8万人
2026年度→32.7万人(2025年比99.9%)
2027年度→32.9万人(2025年比100.5%)
2028年度→31.8万人(2025年比97.1%)
2029年度→32.0万人(2025年比97.7%)
2030年度→30.9万人(2025年比94.4%)
2031年度→30.3万人(2025年比92.4%)
2032年度→29.9万人(2025年比91.4%)
2033年度→28.5万人(2025年比87.0%)
2034年度→28.7万人(2025年比87.8%)
2035年度→27.2万人(2025年比83.0%)
2036年度→25.4万人(2025年比77.7%)
2037年度→23.9万人(2025年比72.9%)
2038年度→20.8万人(2025年比63.6%)
2039年度→19.4万人(2025年比59.4%)
2040年度→17.8万人(2025年比55.6%)
つまり、あと7年ほどで中堅以下の大学の市場規模は10%ほど減り、12年後には30%減ることが予想されます。
かなり悪い想定をしているので、実際はもう少しマシかもしれませんが、傾向は概ね掴んでいるような気がします。
では、この中堅以下の大学のうち、残念ながら消えてしまう大学はどのような大学なのでしょうか。
準Fラン大学を定義する
Fラン大学の定義をAIに尋ねると、
Fランク大学とは、偏差値が35未満の大学、または偏差値の算定ができない大学を指します。予備校の河合塾が作成する偏差値表で「ボーダーフリー(BF)」と分類される大学もFランク大学と呼ばれます。
と回答されます。しかし、例えば受験者の優秀な学生だけを合格させてがっつり定員割れしていた場合、予備校はボーダーフリーと判定するのでしょうか?もしも、そういった大学がFランの定義から外れる場合、なんとなく感覚とずれる気がします(僕の感覚なんてどうでもいいんですが)。
そこで、Fランを定義することを諦めて、「準Fラン」を定義することにチャレンジしてみます(なんの挑戦だ)。
この少子化で厳しい大学市場において「準Fラン」に求められる条件は、2040年までに廃校となる可能性が高いことだと考えます(そんなの求めたくないが)。
そこで、次の条件のどれかを満たす学科を「準Fラン学科」と定義し、準Fラン学科に所属する在学生の総数が在学生の過半数を超える大学を「準Fラン大学」と呼ぶことにします。
(条件1)在学生の収容定員充足率が90%未満
(条件2)新入生の定員充足率が85%未満
(条件3)入試の実質倍率が1.3倍未満(ここで入試の実質倍率をすべての入試の「実」受験者数と合格者数の比で定義する。例えば複数の方式を併願した受験生が、一つでも合格すれば合格者としてカウントする。)
(条件1)を満たす大学は既に過去4年間で学生集めが上手くいっていない。少子化によりさらに悪化する未来しか見えない。
(条件2)を満たす大学は現時点ですでに学生集めが苦しくなってきている。今後の18歳人口減少に耐えられない可能性が高く、3~4年以内に条件1を満たしそう。
(条件3)を満たす大学は見かけ上は定員を維持しているが、どうしようもない受験生を除いてほぼ全入の状態なので、少し志望者が減っただけで(条件2)を満たしてしまう状態。
(条件3)については、外部に情報が出ないため外から確認できませんが、だいたい、公開されている一般入試の倍率が2倍を下回ると怪しくなってくると思います。
例えば、年内入試で50人受験50人合格、一般入試で50人受験25人合格となると、100/75=1.33となるのでギリギリ条件3を満たしません。
パスナビ等のページでいろんな私立大学の合格率を調べてみると、各地方のトップ私立校(東北なら東北学院大学、北陸なら金沢工業大学あたり)が条件3を満たしそうなので、大半の地方私立大学はこの定義における準Fラン大になりそうです。
地方私大の未来(妄想)
「準Fラン」を定義したのは該当大学を蔑みたいわけではなく、
重要なことは、2040年までにヤバいことになりそうな大学の条件を書き出してみたら、かなり多くの地方私立大学が該当しますよ、ということです。
北海道・東北・北陸・甲信越・中国・四国、このあたりは私立大学が1個2個しか生き残れず他はすべて全滅する。そんな最悪の未来が意外と近くまで迫っているのかも。
(何とは言いませんが)自分の職場の状況を見ていると、10年後まで生き残れても中身ボロボロになっているだろうな、という感想を抱かずにはいられません。
おわりに
僕のnoteの読者は、これから大学教員になろうとしている方が多いと思いますが、残念ながら大学業界は大変暗い未来が待っています。
そんな闇に飲まれないためにも研究を頑張って、きちんと研究をやらせてもらえるようなレベルの高い(それこそ日東駒専以上の)大学への就職を目指してください。
僕はいつ大学教員をやめてもいいように研究室の片づけをこまめにするようにします。
いいなと思ったら応援しよう!
