パンデミック時のライヴ

 去年は毎月のようにライヴに行ってた。だけど、多分に漏れず3月以降予定していたライヴは全て延期か中止になった。
 長期化するライヴができない状況に、アーティスト(そしてスタッフ)たちもしびれを切らして、無料配信ライヴを行うようになった。
 パンデミックは未だ全く沈静化していないが、何故かパンデミック気分だけは沈静化し、アーティストたちも「苦しんでる人たちに課金する事」を躊躇する気持ちも薄らぎ、無料配信から有料配信ライヴへと舵を切ってきた。
 最初に書いたように僕は毎月のようにライヴに行っていたような人間なので、そういう人は普通、禁断症状を理由に積極的に有料ライヴ配信に参加したりするのかもしれない(本当のところはどうだかよく知らない)。
 でも、僕は全く「有料配信ライヴ」というものに興味が沸かないのだ、今のところは。
 だからと言ってこの状態が長期化した場合、ずっとライヴが観られない状況はなんとかしたいし、アーティストやスタッフたちの生活面の問題も心配ではある。
 そこで、僕はどういう配信ライヴならお金を払ってイイと感じるかを考えてみた。
 まず思いついたのは、VRだった。やっぱりスクリーンやモニタの中での動画では「ライヴの代替」にはならない。没入感とリアルな空気感が必要でカメラマンやディレクターが決めた角度ではなく自発的にどこに注目するかを決めれるようじゃないと満足できない。僕は楽器を多少たしなむこともあって、ライヴ中はボーカル以外の楽器の手元に注目していることが多い。でもライヴ配信だと当然ながらボーカルのアップショットが中心になる、これは不満だ。そして周りを見回しても、照明だったり、PAシステムだったり、壁だったり天井だったりそういうものが見えて欲しい。そういうアンビエントもライヴの一部として楽しんでるのだ。
 次に要望したいのは最前列だ。VRを使ったシステムならば、視聴している全員がステージに近い場所で見ることが技術的に可能なはずだ。これならば、いつものライヴ以上の感動が味わえる可能性がある。お金を払う価値が見いだせる。
 そして、少々図々しいお願いだが、料金は通常の半額くらいが望ましい。まぁおおよそ3,000円くらいだろうか。技術的な費用を考えると難しいのかもしれないが、世界中の人がキャパに関係なく試聴できるとすれば、このくらいでも充分ペイできるんじゃないだろうか?
 さらに、ぜいたくを言えば収録する場所は大きなホールじゃなくスタジオライブ的なものがイイ。でもこれは必須条件ではない。
 これら全ての条件を総合的に例えるならば「NHKの音楽番組Songsの公開収録を最前列で観られるVR」という感じが一番近いだろうか。
 これならば、お金を払ってもイイ。想像してるだけで楽しくなってきた。何か嵌ってしまいそうな気さえしてきた。

 そして、パンデミックが本当に収束した後も、観客を満員にする事が再開されても、このシステムは維持され(その時はもちろんオオバコで良い)、時間や場所の都合が悪い世界中の人がVRライヴを観ることができるようになれば、チケットの争奪戦や転売の問題も、会場不足の問題も多少は改善され、ハンディキャップの人もお年寄りも(高度高齢化社会で高齢客の集客問題は大切だと思う)ライヴを楽しむことができ、アーティストの収入もより増えていくのではないだろうか。

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