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『マジでビリー・ミリガン?』


変わった症例を一つ。

まだ開業して間もない頃で、
施術の内容も禊技と言霊しかなかった時期のお話…。

ある日の午前中、
医者から精神病院への入院を勧められているという10代の娘さんを、
そのお母様が連れて来られました。

医者が言うには、昔でいう精神分裂病じゃないか?という話だったのですが、私が対面した時には、
それらしき症状も観られなかったので
普通に施術を行い、
次回の予約をして帰られました。

ところが、その日の夕方に電話があり、
何やら大変な事になっているという話。
よくよく話を聞いてみると、
色んな人格が現れて訳が分からない状態らしい。
前からそうなのかと思いきや、
こんなことは初めてだという。

次の予約日にちゃんと来た本人によると、
他の人格は呼べば現れるし、
呼ばなくても勝手に出てくるのだとか。
で、その間の記憶は無いのだとか…。

ちょうど「24人のビリー・ミリガン」を
読み終えたばかりだったので、
これは夢じゃないのか?
と少々本気で思ったものです。

後日、5人くらいの人格とも話をしながら、
何回か施術をしている内に、
人格の殆どが漫画のキャラな気がしてきたので、
よくよく観察した結果、
自称動物霊という1人だけが本物で、
残りは全て自称動物霊が作ったダミーだ
という確信に至りました。

何故、自称動物霊だけが本物かと言うと、
禊技の性質について、
当時まだ誰にも話したことがないことを
知っていたからです。

そして、ある施術の予約日の前日、
自称動物霊から電話が…。

もう主人格は出てこれないゾとか言ってきたので、そこからは自称動物霊との交渉。

そもそも何故取り憑いたのかと訪ねると、
助けて貰いたかったからだと言います。

やさしい人なら助けてくれるという
発想だったらしい。

そこで、
力の無い人に助けて貰おうとしても無理だ
ということを説明し、
代わりに力のある自分の方に乗りかえた方が得策だと説明したら、妙に合点がいったらしく、
翌日の施術の時に
私の方へ引っ越すと約束してくれました。

ちょっと危険な約束をしたかな?
とは思いましたが、
どうせ自分の方が強いだろうと思っていたので
あまり気にせず、その日は就寝…。

翌日の朝、目が覚めると乳糜槽が気持ち悪い。

頭の中がぐるぐる回ってる。これはイカン。
何が起きた !?
まさか、前乗りで夜の内に引っ越して来た?

うむむ…。
多重人格になった人はこれに負けたのか…。
どうやら、精神に於ける
喰うか喰われるかの勝負らしい…。

しかし、
こちらは今迄にもっと苦しいのを
何度も経験して来ているから、
この程度ならまだ負けない。勝てる!

というわけで、乳糜槽を浄化しながらの
喰い合いを続けること6時間…。

なんとか予約時間の30分前にして
完全に喰い勝った手応え!
もう大丈夫になった。
(今なら、いづな剣法でいけるんじゃないかな?
と思う)

そして予約時間。主人格の本人が到着。

実はもう全て終わってるんじゃないかと思って
本人に聞いてみた。

すると、
他の人格がもう呼んでも出てこないと言う。

しかも昨夜、自称動物霊が頭の中の引き出しを
整理して出て行く夢を見たそうな。

本人曰く、自称動物霊に憑かれていた
何年かの記憶が無いそうです。
(いわゆる狐憑きの類のケースなんでしょう)

それきり他の人格が現れることもなく、
ヘアメイクの仕事に就くまでに
成長してくれました。

その後、娘さんの話によると、
その娘さんの病気は、
家族の間で
初めから無かったことにされたそうな…。



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