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「Rise of the Ronin」 感想

目次


【1.どんなゲーム?】


 正式名称は「Rise of the Ronin」ですが、どうやら「the」は発音しないのが正しいようです。日本語ってフシギ! Team Ninjaが培ってきたキレのあるアクションと和洋折衷の町並みや武器が楽しめる幕末オープンワールドゲーム

【2.良かったところ】


■ ひたすら追求された快適さ

 へっへっへ… わざわざ貴方様のお手を煩わせるまでもありませんよとばかりに快適さが担保されたゲームデザイン。移動は勿論ですが、戦闘においてもそれは実現されています。多対一の状況下でもそこまで苦労しなかったのは、おそらく近接系の敵AIは同時攻撃をしかけてこない仕様になっているからかな。郎党(仲間)がいる場合は自然と1vs1×nとなるように立ち回ってくれたりするのも有り難い。遠距離攻撃してくる奴は普通に同時攻撃してくるけど。誉れのわからんやつはこれだから… 

■ 能動的な殺陣を実現する石火の存在

 敵の攻撃に合わせてタイミングよくボタンを押すことで発動する”弾き”。システム名称は石火(わずかな一瞬、はかない、素早い動作などの例えに用いる言葉)であり日本語の美しさとわびさびを感じます。刀剣に限らず重火器は勿論、火炎放射器の炎すらも弾き返す様はまさにジャパニーズニンジャ!  敵の連続攻撃は最終段のみ石火で弾いてそれ以外はガードするのが鉄板ですが私は毎回全段弾くつもりで挑んでました。効率がどうとかは別にいいんです。私はチャンチャンバラバラしたいんじゃ! 刃鳴散らしたいんじゃ!


■ Team Ninjaのキャラクリは世界一ィィッ!!

 いや、真面目に。厳ついオッサンは元より日本系美人もしっかり作れちゃう自由度の高さは素晴らしいの一言。キャラモデルだけじゃなく衣装も和洋折衷取り揃えられていて、西洋騎士から忍者まで再現できまする。プリセットの充実やキャラクリのオンラインランキングから人気のあるレシピのダウンロードができたりと、キャラクリ苦手でうまくできないよ~という方にも安心の内容となっています。

■ 幕末ロマンス

 このゲームは特定の相手と恋仲になれます。主人公及び相手の性別関係なくです。LGBTへの配慮も行き届いているね! ただ、別れるのも自由自在なのはちょっとフリーダム過ぎませんか? これが幕末… まさに激動の時代よ

【3.悪かったところ】


■ 素手が不遇

 素手の流派だけ一つしかありません。不殺が目的ならそれぞれの武器カテゴリに木製のものがあるのでそちらを使った方が強いという… 武器の流派の数に偏りがあるのは仕方がないですが、どんな武器でも最低3流派はあるので余計に素手の不遇っぷりが目立ちます。同スタッフによる過去作『仁王2』には手甲という武器種があって、こちらはとても強かったので本作でも多彩な素手による格闘を見たかった。

■ 流されるだけのシナリオ展開

 拙者はルローニン。また流されるでござるよ… 先に敵対陣営に対して壊滅的な損害を与えたばかりだというのに、どしたん話聞こか?とにじり寄り力を貸すというあたおかムーブをきめてくれます。お前はフロムゲーの傭兵か? 頭レイブンなの?
 本作の物語は名も無き浪人(主人公)の軌跡を追うという触れ込みですが、その実態は坂本龍馬の生をなぞるお話と言った方が相応しい。主人公をキャラクリで生成する関係か物語で意思を主張する場面は極めて少なく、指針を坂本龍馬に委ねてしまっているせいかどうしても状況に流されているように見えがち。
 大きな分岐として佐幕と倒幕、どちらにつくかを選ぶ場面が作中でありますが、どちらを選んでも結局は幕府を離れて敵対することになります。坂本龍馬についていくからね… 本作は史実で起こったことは必ず起こるし、基本的に結果を覆すことは出来ません。これは別に良いんですよ。たった一人の人間が動かせるほど歴史は軽くないということでもありますし。ただ、せっかく選択肢があるのだから幕府と運命を共にする道があっても良かったのではないかと思うのです。
 

【4.諸々雑語り】


 立身流。『Rise of the Ronin』で私の一番好きな流派です。日本人なら知らない人はいないであろう福沢諭吉直伝の居合いを基調にした流派。ちなみに敢えて納刀状態で敵の前に立ち、敵の攻撃を受ける瞬間に石火を放つことで擬似的居合いを再現していた人は私だけではないはず。
 福沢諭吉は本作においてメインストーリーに絡んでくるタイプのキャラではありませんがサブクエでちょくちょく顔を見せてくれるし、(史実はともかく)医学の追求のために外国船に乗り込んで資料を盗…拝借する行動力は凄まじい。でも殺しはご法度。一緒に忍び込むことになっても彼は殺しを一切許容しない。でも殴ったりチョークスリーパーで昏倒させるのはOK! …倫理観の見極めが難しいぜ!!


【5.まとめ】


 戦闘は楽しくシステム周りの利便性は行き届いているため、高水準で安定したプレイングが本作の最大の魅力だと思います。シナリオの構成には少々難ありですが、日本人なら名前を聞いたことがある人物が次々と出てきて斬り合ったり意気投合した後にやっぱり敵対したりするのは得難い経験でした。

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