映画を観た。
専門学生時代に出会った小さな劇場に、久しぶりに映画を観に行った。
そこで観た映画は、画像とまったく関係のない、生誕80周年を記念した、赤塚不二夫のドキュメンタリーなのだけど。
小さい頃、父がよく赤塚不二夫の絵を描いてくれた。
ニャロメ、ケムンパス。ウナギイヌはいなかったかな。特別どハマりしたわけではないけれど、赤塚不二夫の漫画やイラストを見かけると、あ。と、いらなくなったチラシの裏に、父と一緒に落書きをした景色が蘇る。
その劇場には、壁一面に映画の予告ポスターが貼られていて、パッと目に付いたポスターが、画像の映画。
走れ、絶望に追いつかれない速さで
あらすじを見ると、なぜ親友は死んでしまったのか?と。えぇ…死ぬんかい。でもキャッチコピーには、若者たちは、太陽を目指した。と書いてある。なにがどうなる。ここから急激に興味が沸くのであった。
率直な感想。
泣いた。
普通にネタバレをしますけど、
親友が東京を離れ地方で働くので送り出す会を開いているシーンから突然、一回忌のシーンに切り替わる。ああ死んだんだな。と。
かといって特に親友が死んだ理由も、謎も、一切描かれていない。観た者が、この映画を通して自らの生と向き合ってくれ。というのが、むしろテーマなのかなと、後々思う。
最後のあたり。海辺で泣き崩れる主人公のもとに1人のおじいさんが来て、家に呼び、主人公にすきやきを食べさせるシーンがある。一切セリフなし。
一口、二口と食べる主人公。その後、もりもりと食べ進めていく。
自分は腹が減っていたことを忘れていたかのように、ガツガツと、涙を流しながら、呻きながら食べる。このシーンすべて大胆なワンカット。
特に感動シーンでもないのに、涙がぽろぽろと溢れてしまった。
ご飯を食べるペースが上がっていくシーンは、この映画のテーマでもあろう、「生」と「死」のすべてが詰まっている。一番の見せ場だ。と思うほど、とても印象的でした。
俺は生きているんだ。と、こころが生に染まる、というか、取り戻していく感じ。同時に、死も受け入れなければならないという現実。
セリフもなし。言葉にせずとも伝わるメッセージ力の強さと圧巻の演技力に、胸がいっぱいになり涙が溢れた。
実体験をもとに、とあらすじに書いてあっただけ、このご飯を食べるシーンは監督が魅せたい・伝えたいすべての想いが込められているように思えた。
絶望に飲み込まれている場合ではない、走って、走って、生きなければ。と、「死」から得た太陽のように輝く「生」を描きたかったのかもしれない。
映画を観終わって、なるほど、キャッチコピーの太陽、とは、地に足つけて踏ん張って生きろ。ってことなんだなと自己解析。わたしはそう捉えました。元気付けられた。
走れ、絶望に追いつかれない速さで
というのは、夢や希望や目標や、恋でもこれからの人生でも、一個一個にあてはまるタイトルのような気もする。
絶望がどれくらいの速さか分かりませんけどね。それは自分次第と思います。きっと。
あと、個人的にカット割りが好みでした。
ワンカットが長め。間も、空気感も、とても良かった。見せるところは溜めまくる。セリフも少ない。
死と生のギャップを出すためか、コントラストやライティングもアンダーとオーバーのメリハリが効いていたのが印象的で面白かったです。
観てよかった。とても。
長々とお粗末様でした。
http://youtu.be/2x9-MHhF1W4
あ、これです。
赤塚不二夫のドキュメンタリー映画。
マンガをはみ出した男
本当にはみ出してました。
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