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【ひかさの温泉感情論】#1 武雄温泉
はじめに
「ひかさの温泉感情論」とは、温泉入浴指導員ひかさが
あえて温泉分析書や医学的な話をせずに感じたものをそのまま感情に従って書くシリーズです。詳しい泉質の話などを聞きたい方はYouTubeチャンネル「ひかさの憧憬日記」でご紹介しますので、お楽しみに!
温泉好きは西九州新幹線の駅を聞いて、いてもたってもいられなくなったでしょう。
◆西九州新幹線
武雄温泉、嬉野温泉、新大村、諫早、長崎の5駅を結ぶ新幹線。
2022年9月に開業。
将来的には現在の九州新幹線の博多駅につなげたいらしい。
温泉って2個入ってんじゃねえか!!
聞いたことあります?5駅しかないのにそのうち2駅が温泉って。
謎でしょ。
西九州新幹線乗るなら、その2つは行くべきでしょ。
行ってきましたよ、ちゃんと。
たった1時間しか見れない楼門⁉
実は用事で博多に泊まっておりました。
7時くらいの在来線の特急に乗って武雄温泉駅まで。
武雄温泉につくと、駅前は大きな道路。
この信号がなかなかボタンを押してから青になるまで長い。
![](https://assets.st-note.com/img/1671549799276-NCyzx6jIiW.jpg?width=1200)
さて、駅を背に向けて左にてくてく歩きましょう。
「温泉入口」の交差点を右折、そしてひたすら歩き続ける。
駅から10分くらい経つと、目の前には立派な門が見える。
![](https://assets.st-note.com/img/1671548587611-mGau7piLJx.jpg?width=1200)
これが有名な楼門かぁ…
立派すぎんか、これ。
そう思っていよいよ中へ入ろうとする。
でもなんか、係員的な方が門にいる。
あ、武雄温泉っていうエリアで入園料みたいなの取るんか!
すると係員的な方に声をかけられる。
「門の2階の展示を見ていきませんか?」
なるほど、展示の担当の方だったのね。
入園料なんてなかった。
しかし、ひかさは焦っていた。
いやぁ、10時から殿様湯並びたいしそれまでに元湯入りたいからなぁ…
実は、殿様湯という大変歴史的に有名な貸切湯が存在するのだが、
これが10時から並んで先着で使用できることになっており、予約はできないのだ。
だからこそ、あえて朝早くに来て入ろうと考えていた。
※同じ日に嬉野にもいくんですから。
そう思って
「お風呂入ってから見ようかと思って!」
と返す。
すると、衝撃の一言。
「あ~、実は展示10時で終わるんですよ~」
うそでしょ⁉
今、9時やで。
1時間で閉まるんかい!
でも、せっかくならと思って入ることに。
するとそこにはガイドさんがいらっしゃって説明をしてくださる。
もちろん中身については皆さんの耳でしっかりお聞きいただきたい。
ガイドさんの熱意のこもった説明はそこでしか聞けないし、
曖昧な知識で僕の口からは語りたくない。
だが、この選択は自分にとってとても大きな要素となる。
東京駅と大きなつながりがある武雄温泉
急に東京駅の話になります。
東京駅の天井に干支が書かれているのはご存知でしょうか?
東京駅や日本銀行本店は辰野金吾さんが設計したことで有名でしょう。
しかし、東京駅の干支は実は8つ。ご存知の通り干支は12個。
他の4つはどこにあるのか。
実は東京駅を探してもない。
東京から新幹線で4時間+特急で1時間。
その先にあるここ、武雄温泉の楼門の天井にあるのだ。
これは驚きだろう。
実は行く前にこれは知っていて、絶対見たいと思っていた。
だが、どこにあるのかは現地で調べようとしていた。
あの方々に声をかけていただいていなければ、
この4つの干支を見ることなく帰ることになっていた。あぶねえ。
展示スペースは有料なので、画像は載せないが、
画像ではなく、目でしっかり見ていただきたい。
実際、その後に入浴後、この楼門に戻ると、入り口の扉は閉まっていた。
本当に1時間だけらしい。
1時間3800円の貸切湯!?
さて、時刻は9時50分。
いいくらいの時間になった。
実際、武雄温泉での滞在時間は5時間程度を見込んでいた。
殿様湯に入ってから元湯に行けばいい。
楼門に入ってすぐの受付に向かう。
「あ、ここじゃなくでですね、正面の本館の左手に受付がございます。」
ここちゃうんかい!!
実際に行ってみると受付の建物があった。
![](https://assets.st-note.com/img/1671550034667-buaMoSk4HM.jpg?width=1200)
誰も並んでおらず、無事入浴できた。
値段は1時間あたり3800円。高い。
でも、武雄温泉といえばここ。
武雄温泉の名にもなる領主 武雄鍋島氏専用として江戸時代に作られた風呂で、総大理石の風呂になっている。さらに同じ江戸時代にオランダ商館長に同行して来日したシーボルトが入浴した。
※ちなみにシーボルトは嬉野にも関係が…??
残念ながら撮影はNGなので中はお見せできないが、
広めの和室があり、少し廊下と階段を通って降りると若干の脱衣スペース。
そこから見えるのはさらにそこから続く階段の下にある黒と白でデザインされた1つの浴槽。
これが殿様湯。
えぐい、この広さを1人で予約したのは罪深いかもしれん。
さあ、すぐにでも入ろう。時間は1時間。
まず入ると熱い!
が、渋温泉を経験しているひかさ。
このくらいの温度なら数秒で慣れる。
泉質は言っても「弱アルカリ性単純温泉」
つまり、特殊成分のない温泉であるから、
臭いはしないし、色も透明。
ところが、入ったときの優しい肌触り。
これはやはり温泉特有なものだ。
なんか、今真横に水道水を用意してさわり比べてみたい。
天井は高く、若干暗いもののとても落ち着いた空間。
一人でいることから逆になにかそわそわするが、
でも、居心地は良い。
この気持ちをこの年で味わえることは、とてもありがたいことだろう。
あと60秒…
ひかさ恒例のラスト1分コール。
最後の1分を数えながら、体全体で感じたい温泉を感じる。
上がってすぐに服を着る。
温泉の保温効果をより高める(正確にはより長時間保温効果を維持させる)ためにだ。
そして和室に戻ってちょっと休憩。あっという間に1時間だ。
なんと優雅なんだろう。
元湯で見た衝撃の光景
さて、本来はこの間に一度駅に戻って新幹線を見に行くのだが、
今回は温泉だけを語ろう。
元湯。
これも気になっていた一つの入浴施設。
さきほど受付をしようとしてあっちですよ~と言われたあの受付だ。
値段は450円。温泉施設にしては優しいお値段。
これが結構人が多い。
写真だけ見ると、まるで昔の公衆浴場かと思っていたが、
全然違う。
広々として、明るく、人もたくさんいる。
でも、どこか歴史を感じさせるようなものなのだ。
実は日本で入浴できる最古の温泉施設の建物とされている。
浴槽は2つ。
あつ湯とぬる湯
これだよこれ。
歴史のある施設は「あつ湯」「ぬる湯」の2種類。
黒川温泉もそうだったなぁ…
ちなみに、基本的にあつ湯とぬる湯を各温泉施設が用意しているのは、
入浴法として温冷交代浴を促すためであるとされている。
温冷というものの、温度差は2度程度でも効果があるらしい。
※これは温泉保養士で聞いた話
ぬる湯は42~43度。あつ湯は44~45.5度。
あつ湯、九州ではこれでも普通なのかもしれない。
多くはぬる湯に入っていたが、常連さんっぽい人たちはあつ湯に全身を浸からせている。
自分はあつ湯に入るために頭で計画を立てる。
あつ湯の入り方は…
①ぬる湯でしっかり体を温めてしまう。
②あつ湯でまずは足湯
③あつ湯で次は半身浴
④あつ湯で最後は全身浴
⑤2分程度入ったらぬる湯に戻る。
まさにこの通りに実行した。
実際あつ湯は熱い。
やけどするって。
でも、③くらいになるとだんだん感覚がマヒする。
いや、これってだめか。
でもいい。
そしてあえて長湯はしすぎない。
これもあつ湯の大切な入り方だ。
そしてぬる湯に戻った時、衝撃の光景を目にする。
子連れのお父さんがあつ湯に難なく入る。
すると小学生くらいだろうか。
あつ湯に入ろうとする。
「こっちはあついからぬるい方にいなさい」
当然のご指摘。
しかし、
「熱くないよ~」
と子どもは一気に全身であつ湯に入る。
しかし、子どもは
「全然熱くないじゃん~」
と笑顔。
マジかよ。
周りの大人もざわつく。
子どもはすごい。
元気なだけじゃない。
熱さ耐性もあるのか。
いや、そんなことはない。
自分は渋温泉に家族で行ったとき、
49度くらいの湯船にはほぼ足すら入れることはできなかった。
でも彼は45度とはいえど高温の浴槽に全身で入っている。
すごい光景を目にしたと同時に、
負けてられないと思ってしまった。
泉質は殿様湯と変わらないので省略するが、
この温泉の歴史を感じる大切な要素だった。
ごめんなさい、なめてた。
実はこの時点で午後13時頃。
14時には出ないと嬉野温泉に行けない。
※新幹線が基本的には一時間に一本なんだもん。
![](https://assets.st-note.com/img/1671551850652-kVhdyYKNJe.jpg?width=1200)
宣伝では宿泊して、武雄と嬉野なんて言っていたが、
いやいや、この距離なら1泊も必要ないでしょ
こう思っていた。
でも、武雄温泉はまだまだ魅力があった。
もっと歴史的に学ぶべきところがあった。
ガイドさんから教えていただいた見どころも見れずに終わった。
正直、武雄温泉を過小評価してしまっていた。
大反省。
次来るときには、温泉というよりも歴史を学びに、
また武雄に来たい。
ひかさ / Hikasa
YouTube動画クリエイター、温泉ソムリエ、温泉保養士、温泉観光士、温泉入浴指導員、日本温泉地域学会会員。
人々に憧れてもらえるような旅を提供することをモットーに活動。
個人的な趣味である温泉の知識を極めようとしている変人。
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