西伊豆の民宿となまこ壁めぐり。
2018年1月。前職のメンバーで静岡県、西伊豆プチ旅行へ。民宿に泊まろう!となり、ドラマ「とんび」のロケ地付近の民宿に宿泊することになった。人生初の民宿だ。
近くの駐車場に到着し、港へ行き海を眺めたり、釣りをしてる方がいたのでタイミングを見て「何が釣れるんですか?」と旅先では話しかけちゃう私になったり、予約の時間まで少し周りを散歩したりした。
(ぽつんとあるガチャガチャ。)
ガラガラっと扉を開けると民宿の店主さんが「こんにちは!」と出迎えてくれた。店主さんというより、もう愛を込めておじさんと言わせてほしい。おじさんはどこか力の抜けた、柔らかい雰囲気の人で親戚の面白いおじさんみたいな人だった。
部屋に案内していただき、荷物を置いて寝っ転がる。これが民宿マジックなのか、いとこのお家に遊びに来た、みたいな感覚になるのだ。
民宿のアットホーム感。
夕食は西伊豆の海の幸がテーブルに沢山並び、なんと…舟盛りもあった。
石鯛も。大好きな白身尽くしだ!最高だ。お、値段以上過ぎる。美味しい、美味しいとみんなで焼き魚(メギス)を頂いていたら、息子さんがイカ刺しを「良かったら!」と持ってきてくれたのだ。
おいしい。本当においしいのでそれしか言えない。
なんて素敵なお宿なんだろう。程良く、ほっといてくれるし(表現…)絶妙なタイミングで「それはね〜」と色々と教えてくれるのだ。おじさんのコミュニケーションの高さったらない。今回の旅行で私は民宿が大好きになった。私はすっかりおじさんのファンになり、帰りに記念撮影もお願いしてしまった。
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朝、民宿を出たあとは、なまこ壁通りのある松崎町へ車で向かった。途中カフェでランチ。
1時間ちょっとで伊豆文邸に到着。
■伊豆文邸
■静岡県賀茂郡松崎町
■明治43年(1910)竣工
■設計 不明
なまこ壁がとにかく目立っていて数メートル前からその姿を確認することができる。中が見えないので「入って大丈夫かな…。1月だし休みとか…?」と少々不安に思いながら、戸を開ける。良かった、やっていた。
なまこ壁とは…黒と白のダイヤの形のようなぽこぽとした壁のことで、日本伝統の壁塗りの様式のひとつ。壁面に平瓦を貼り、その継ぎ目に漆喰をかまぼこ型に盛り付けて塗る左官工法。このかたちが海鼠(なまこ)に似ていることから「なまこ壁」と名づけられたと言われている。
都内でもたまーに見かける。
さて、まず土間から帳場の広さに驚く。古民家の中の古民家という感じだ。古民家of古民家。
(カラフルな餅花、かわいい。)
無料休憩所となっているが、ガラーンと寂しい雰囲気など全然なく、無人とは思えないような安心感とあたたかさがある。
昔の家具やラジオや本なども置いてある。
お花も綺麗に活けられていて、人の温度が感じられる。『みんなの休憩所』として大事にされているんだなあ。なんだか嬉しくなる。
この日は、私たち以外見学している人がいなかったので、1階2階とゆっくりと見学を楽しむ事ができた。
隣には足湯もあった。
次なる目的地があり、急いでいたので入ることは出来なかったが、歴史ある建物に囲まれた場所で足湯を楽しめるなんて、旅の途中には最高だ。羨ましいなあ〜。
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伊豆文邸を後にし、向かった先は明治商家中瀬邸(依田直吉邸)。雨がぽつぽつ降っていたが、なまこ壁をじっくり見ないと中には入れない。
■明治商家 中瀬邸
(旧依田直吉邸)
■静岡県賀茂郡松崎町
■明治20年(1887)竣工
■設計 不明
入口には水琴壺(すいきんこ)があり、耳を澄ませてみたが何も聞こえない。
そもそも使い方もわからない。ずっと壺に耳を澄ましている。
どこから水を入れるだろうか。
私は水琴壺の前で棒立ちだった。
(右のひょうたんみたいなのが水琴壺。)
しばらくして水を上から入れないと琴のような美しい音が聞こえないと分かった。ザーザーと雨が強くなったのであきらめて中へ入ることに。結局聞けぬままだ。残念。帰って動画検索をして聞いてみたら綺麗で繊細な、美しい音だった。
内部は呉服屋のお店の様子が再現されていた。お店全体を見渡す事ができる。実際に使われていた台帳や、そろばん、お着物も飾られていた。
靴を脱ぎ、見学開始。
奥には喫茶コーナーもあった。やはり畳にお座布団…イイ。お座布団を折って枕にして寝たい。
(釘隠し発見。外ののれんと同じ橘紋。)
建物内から土蔵へ行ける。繋がっているのだ。観音開きの扉が開かれ、黒漆喰で仕上げられたなまこ壁が!とてもかっこいい。シック。
土蔵内には調度品が多く飾られていた。
離れに繋がる渡り廊下は天井がゆるーくカーブしていた。船底天井だというもので港町ならではの技法。船大工さんの技術が光っている。
曲げられた木、というのは撫でたくなってしまう。このカーブ感を写真に収めたくて3往復ぐらいしてしまった。
帰り、受付で静岡県松崎町名物の「さくら葉餅」を買うことができた。これがすごくおいしい。塩漬けされた桜の葉にほんのり甘いお餅と餡…。鼻からすーっと抜ける上品な香りが良い。車の中でその香りとおいしさに感動し、もっと買えば良かった…と後悔。
旅の最後に沼津港深海水族館へ寄ることにした。深海だ〜ロマンだ〜
ミズタコにきゅんきゅんして、冷凍シーラカンスに興奮した。3億5000万年前を感じてきた。
おわり
なまこ壁めぐり、次回へ続く。
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